「太箸」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「太箸」について
【表記】太箸
【読み方】ふとばし
【ローマ字読み】futobashi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・孕み箸(はらみばし:haramibashi)
・腹太箸(はらふとばし:harafutobashi)
・羹箸(かんばし:kambashi)
・柳箸(やなぎばし:yanagibashi)
・祝箸(いわいばし:iwaibashi)
・餅箸(もちばし:mochibashi)
・箸包(はしづつみ:hashizutsumi)
・箸紙(はしがみ:hashigami)
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季節による分類
・「ふ」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
太箸を含む俳句例
嫁がせて一膳余る祝箸/関口美子
雑煮箸水引かけてひとり~/鬼城
太箸の太きを主持たれけり/涼葉
湖のしぐれてきたる祝箸/福島勲
橿原の宮の太箸今年又/谷村喜美子
太箸に枝の俤ありにけり/長谷川櫂
太箸に根深の芯の熱きこと/辻桃子
昔より細うなりけり柳箸/高本時子
雪の比良軒に迫れり祝箸/板谷芳浄
太箸の木目匂へり祝ひ膳/阿部寿雄
太箸や淡しと思ふ母の面/山田みづえ
太箸や言葉あらたに夫の前/小泉良子
太箸を添へて一椀奉る/五十嵐/象円
深熊野の杉の太箸匂ひけり/清水礼子
貧に処して太箸やまづ潔き/松瀬青々
これは~腰がある餅雑煮箸/川崎展宏
太箸の神と居並ふ心地かな/尾崎紅葉
太箸の素きが母に長かりき/野澤節子
柳箸今年は母の亡かりけり/小澤碧童
太箸まづ常の梅干摘みをり/北野民夫
俳句例:21句目~
太箸も其庭訓の威儀にこそ/石井露月
太箸やいただいておく静心/飯田蛇笏
背のびして鴎見る妻雑煮箸/佐川広治
太箸やまずは丹波の黒き豆/此口蓉子
太箸や廂の空は梅もどき/波多野爽波
太箸や御祓の木のあまりにて/言/水
太箸や惣領といふは粗忽者/清水基吉
太箸をいたゞいて置く内儀かな/卯七
太箸や日ごろの山に正座して/福島勲
太箸にとゞまる日光手に移す/渡辺桂子
太箸のたゞ太々とありぬべし/高浜虚子
太箸の白きに言葉あらたまる/永方裕子
太箸や頬燃えて侍す吾子二人/石田波郷
太箸や家族たしかめ合ふ正座/今木幸子
太箸や戦後を生きて五十年/多賀谷榮一
働かぬ手にいただくや雑煮箸/西島麦南
八十路なる母のおん名を祝箸/角川照子
太箸の鶴にあやかる思ひあり/尾崎紅葉
祝箸みどり児の名も加はれり/津川武子
神路山の焼印あるや雑煮箸/鈴鹿野風呂
俳句例:41句目~
太箸やどこやら梅のはや咲くと/龍岡晋
くづさずに書きし妻の名柳箸/高崎武義
いつまでも母の太箸汚れなく/鳥越すみこ
太箸のこの滑らかなふくらみよ/西田/孝
太箸の真白にうごく火勢なり/鳥居おさむ
太箸やいのち惜まむ四人子に/沢田弦四朗
太箸や覚束なくも左利き/吉武月二郎句集
太箸や帰省子の名もしつかりと/竹内光江
つねになきものめでたくて孕み箸/森澄雄
太箸や七歳にして家の主/吉武月二郎句集
太箸をそへてかげ膳ありにけり/松岡君子
太箸を洗ひざらしてつかひけり/橋本鶏二
太箸の名は子が書いてくれにけり/大石悦子
太箸や染めものばかり喰はさるる/石川桂郎
名を書くや奈良墨にほふ雑煮箸/的場/敏子
太箸やふところふかき父のこと/佐々木菁子