俳句例:101句目~
減らしたる衾の上も夜のおぼろ/皆吉爽雨
はつ秋の朝の小衾ゆづり合ふ/篠田悌二郎
四ッに折て行李にあまる衾かな/高井几董
鼠よけに燈ともして寝る衾かな/吉田冬葉
みちのくや疲れ田つつむ衾雪/平井さち子
夜夕立ひやゝかに衾かぶりけり/金尾梅の門
浮くぶ瀬に鴛鴦の衾も見えにけり/樋口得川
今日を明日へ衾の睫毛あはせけり/川口重美
ほしきものも食はで短かし夏衾/廣江八重櫻
身に付かぬ所はかたきふすまかな/立花北枝
衾なほつめたく年の明けにけり/鷲谷七菜子
いま眠りに入らむ衾のなかの双手/松村蒼石
風邪衾かすかに重し吾子が踏む/能村登四郎
すさまじや夫婦の部屋の茣蓙衾/上野さち子
着てたてば夜るのふ衾もなかりけり/内藤丈草
衾から皃出してよぶ菜うり哉/一茶/文化十年癸酉