「風呂吹」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「風呂吹」について
【表記】風呂吹
【読み方】ふろふき
【ローマ字読み】furofuki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・風呂吹大根(ふろふきだいこん:furofukidaikon)
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季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
風呂吹を含む俳句例
風呂吹や飯粒沈む椀の底/会津八一
風呂吹や忙は心を亡ぼすと/森澄雄
風呂吹や年頃つかふ薬味入/原俊子
風呂吹や蕪村百十八回忌/正岡子規
風呂吹に舌焼き己れ欺くや/本橋仁
風呂吹や小窓を圧す雪曇/正岡子規
煮大根ゆるり清貧裏返す/武田和郎
ざる一枚風呂吹地酒小一合/黒田杏子
風呂吹や闇一塊の甲斐の国/廣瀬直人
風呂吹や師走の闇を鬼女の影/中拓夫
風呂吹に集まる法師誰々ぞ/子規句集
獄にゐてひと懐しや煮大根/角川春樹
風呂吹に舌一枚の困るなり/中原道夫
風呂吹や海鳴しげき島泊り/舘野翔鶴
風呂吹や旅の終りの京の宿/幅/降明
煮大根や烏賊の諸足そり返り/東洋城
蕪村忌の風呂吹足らぬ人数哉/正岡子規
ほろ苦きもの風呂吹と俳縁と/小出秋光
わが生や風呂吹に身の温もりし/森澄雄
風呂吹の一きれづつや四十人/正岡子規
俳句例:21句目~
風呂吹を喰ひに浮世へ百年目/子規句集
風呂吹や眼鏡曇れば泣く如し/杉山文女
風呂吹を鞆の泊りの蓋のもの/宮下歌梯
風呂吹の椀の並びし一会かな/下村秀の
禿椀に風呂吹ばかりうづ高き/寺田寅彦
風呂吹の熱つ口に夜のとばりかな/原裕
雛僧のただ風呂吹と答へけり/夏目漱石
風呂吹やいよいよ父の翁眉/佐藤まさ子
風呂吹や二人の夕餉静かなる/吉村容子
風呂吹や動くと見えぬ沖の船/桑島あい
風呂吹や妻とはいつも国言葉/三浦誠子
風呂吹や母にとどきし妻の齢/古舘曹人
風呂吹や火棚に吊す熊の肝/菅原多つを
風呂吹や窓にからびし峰二つ/田中蛇湖
風呂吹や音におどろく框の雨/古舘曹人
進みけり白柄の切貝風呂吹の兵/上島鬼貫
風呂吹の心髄かくもなめらかに/井沢正江
風呂吹をすくふ円かさ月の如/赤松ケイ子
風呂吹やドラマの母とわれの母/細川加賀
波郷忌や風呂吹に箸あそばせて/小林康治
俳句例:41句目~
風呂吹や山を背にして旅の部屋/椎橋清翠
風呂吹に水害の身をあたたむる/近藤一鴻
風呂吹といま生れし句を舌頭に/鈴木栄子
風呂吹を褪ます松風入れにけり/久米正雄
風呂吹や山裾にねむたくなりぬ/田中裕明
風呂吹に杉箸細く割りにけり/高橋淡路女
風呂吹に機嫌の箸ののびにけり/石田波郷
風呂吹を食ふ猟犬も老いにけり/萩原麦草
煮大根のくづれ加減も七日かな/清水基吉
風呂吹の塗り椀くもる夜雨かな/秋篠光広
風呂吹の味ひ古詩に似たるかな/永田青嵐
風呂吹の味噌は古人のねぶり粕/駒井胡周
煮大根喉をするりと果報なり/竪阿彌放心
風呂吹を妣のぬくみと思ふとき/池松昌子
風呂吹の湯気に皺面つき出せる/川崎展宏
風呂吹やすっと消えたる大首絵/延広禎一
風呂吹や手作り味噌の味添へて/河本遊子
風呂吹は端然とあり味噌蕩け/阿波野青畝
風呂吹や曾て練馬の雪の不二/水原秋櫻子
風呂吹や朱唇いつまでも衰へず/村上鬼城
俳句例:61句目~
風呂吹や何煮ても思ふ子みな失せ/及川貞
風呂吹や母にぬけざる国訛/佐久間木耳郎
風呂吹や母に似て来し妻のこゑ/水原春郎
風呂吹や使ひふるしに夫婦箸/三ケ尻湘風
風呂吹の舌焼くに酒急かれけり/石川桂郎
風呂吹や妻の髪にも白きもの/軽部烏頭子
風呂吹や誠実は愚かなるまでに/福田蓼汀
風呂吹の湯気の中なる師弟かな/永田青嵐
風呂吹や家族三人は輪になれず/白岩三郎
伊賀の夜の風呂吹憶ひ寝てしまふ/下村槐太
善か悪か風呂吹を喰つて合点せよ/夏目漱石
四方の風落ちて風呂吹にある熱さ/久米正雄
病む夫に風呂吹の湯気届きけり/中山/康子
風呂吹にあたゝまりたる夕餉かな/岩木躑躅
風呂吹にとろりと味噌の流れけり/松瀬青々
風呂吹に箸入れて湯気もつれけり/瀬木清子
風呂吹の味噌火襷となりにけり/阿波野青畝
風呂吹の湯気の眼鏡となりにけり/草間時彦
風呂吹はとろ火にあづけ夜なべ妻/中村金鈴
風呂吹の夜は一灯で足る暮し/野見山ひふみ
俳句例:81句目~
風呂吹や耳うとき人のあちら向く/羅蘇山人
風呂吹を釜ながら出して参らせる/高浜虚子
煮大根煮かへす孤独地獄なれ/久保田万太郎
ほうほうと風呂吹召され老いたまふ/林紫楊桐
風呂吹に煤うごき居る天井かな/長谷川かな女
風呂吹やふるき咎めをゆるされて/中戸川朝人
煮大根を煮かへす孤独地獄なれ/久保田万太郎
風呂吹をめでゐる歳をおそれたり/瀧澤伊代次