「文月」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「文月」について
【表記】文月
【読み方】ふみづき/ふづき
【ローマ字読み】fumizuki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・七夕月(たなばたづき:tanabatazuki)
・文披月(ふみひろげづき:fumihirogezuki)
・女郎花月(おみなえしづき:ominaeshizuki)
・秋初月(あきはづき:akihazuki)
・涼月(りょうげつ:ryogetsu)
・親月(しんげつ:shingetsu)
・餞月(せんげつ:sengetsu)
・蘭月(らんげつ:rangetsu)
・相月(そうげつ:sogetsu)
・七夜月(ななよづき:nanayozuki)
・めであい月(めであいづき:medeaizuki)
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季節による分類
・「ふ」で始まる秋の季語
・「秋の時候」を表す季語
・「初秋」に分類される季語
月ごとの分類
文月を含む俳句例
文月や眠剤容るる旅鞄/根岸善雄
文月や屋根美しき観世音/野村喜舟
文月や砂丘のかげに湖青し/岩田潔
文月のひと日ひと日が寿/長谷川双
文月や眦濡れて子を宿す/秋山卓三
文月や六日も常の夜には似ず/芭蕉
文月や田伏の暑き仮り厠/飯田蛇笏
文月やひとりはほしき娘の子/其角
文月の返しに落る一葉かな/千代尼
文月や童画切手の便り来て/吉田麗子
文月や立てて使はぬ琴二面/若林一童
文月のまばたき涙乾かして/石井里風
文月の三十日おどろく灯籠かな/此竹
文月やそばがらこぼす旅枕/黒田杏子
文月の六日の夕焼羨しかり/窪田英治
文月の文の切手を予約せん/渡辺竹子
文月の沼面鈍らす日を雲に/石川桂郎
文月の葛がびつしり最上川/皆川盤水
文月や豆腐の白にある一偈/野村喜舟
雌牛の群れは文月の偏頭痛/児玉悦子
俳句例:21句目~
文月の根気仕事に雨の日當て/高澤良一
文月の梶の実あかき御山かな/富安風生
文月の終りの湖や雨駈けて/星野麦丘人
文月やちぎりて蒼き和紙の縁/丹羽啓子
文月や京に逢ひたきひと一人/島谷征良
文月や吹かれて老いし馬の貌/船越淑子
文月やたより書かむと身繕ひ/毛塚静枝
文月や唯々白湯のかむばしく/野村喜舟
文月や海苔場の芦に雨ますぐ/下村槐太
みちのくの星美しき文月かな/石田踏花
鳥籠に羽毛吹かるる文月かな/野中亮介
煌々と三十路も末の文月照/中村草田男
葛原に風立ち易き文月かな/北野石龍子
文月の京にまかりし無骨者/鈴木しげを
雨宿り文月三日の旅にして/藤原たかを
文月や蛾がでてあそぶ黄色い繭/萩原麦草
文月の音色さまざま玩具がふえ/中村明子
文月や豆腐欠かさぬ夜のつづき/石川桂郎
文月や夫には夫のつもりごと/石村ハナ女
文月人はなはだ太く寝たりけり/橋石和栲
俳句例:41句目~
文月の牛のさびしいからだかな/飯島晴子
立読みの背中合はせの文月かな/光成宏子
文月や野に瓜食めば火は流れり/金子兜太
文月や和紙の封書のくづし文字/増田松枝
雲はやしあだかも文月七日の夜/飯田蛇笏
簗を跳ねたらウロコが落ちる文月/林恒子
ささ降りや文月の花落ち流し/長谷川かな女
梅史忌の文月のつどひ衣もしろく/森川暁水
文月けふ大き師の忌に妻とやすむ/森川暁水
遠きほど美しくしづかな文月の樹/柴田白葉女
仏壇より借りくる文月のチャッカマン/高澤良一
朝々に供華とりかふる文月かな/吉武月二郎句集
文月の揚羽は高う松に飛ぶ(大山にて二お/廣江八重櫻