「円座」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「円座」について
【表記】円座
【読み方】えんざ
【ローマ字読み】enza
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「え」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
円座を含む俳句例
黄檗の円座並びし甃/桑田青虎
正月や藁の円座に痘の神/森澄雄
苜蓿の円座に配る金平糖/品川鈴子
花鎮め祭の円座新らしき/高野素十
切株は神の円座よ霜の花/武智忠子
渡殿に敷きし円座や山桜/橋本鶏二
料亭となりし酒蔵菰円座/山田千代
雨乞の円座打敷く巌かな/橋本鶏二
若芝や旅の生徒の黒い円座/蛯原喜荘
花冷に瓢亭藁の円座出す/橋本美代子
切株は風の円座や蝶群るる/真鍋和瑞
円座置く上框のふきこまれ/近藤雅恵
木の本に円座取巻け小練年/向井去来
絵襖をあけて円座を取り出し/上野泰
夏祓古き円座のあるばかり/高木石子
奥飛騨の一工房の円座かな/池上秀子
蛇死すや己の円座解き放し/有馬朗人
飴色となりし円座に村の長/加藤洋子
一枚の円座に托す老後かな/竹末春野人
万福寺磚に敷かるる円座かな/平井富子
俳句例:21句目~
山の日の円座乾きし色並び/石川星水女
円座一つ打坐即刻の如くあり/鈴木鷹夫
円座虫捉へて闇へすてにけり/山口早苗
煤掃いて配れる四十八円座/大橋櫻坡子
涼風に円座あり他は無用なり/高浜虚子
回廊に円座干しあり神の留守/阿部夕礁
曲水の円座にどかと緋衣の僧/江口竹亭
藺草もて円座初めて作りし町/板谷芳浄
飾らない人の集まる円座かな/寺田り江
神官の説く史に正す円座かな/青木つね子
湖を見る円座一まい持ち出して/児玉輝代
灯取虫に円座を起ちし一人かな/野村泊月
稚児うまれ円座一途に古びけり/小林康治
花嫁の立ち上がりたる円座かな/茨木和生
落ついて来れば風来る円座かな/高木晴子
円座より見えて濃き山うすき山/児玉輝代
円座重ねあるだけ今年使はれず/高木晴子
読経洩る鞍馬のみ寺円座干す/村上みきお
囀りにもつとも近く円座組む/佐々木徳子
大雨の降り昏めたる円座かな/波多野爽波
俳句例:41句目~
寝る蛇の頭はかなし身の円座/中村草田男
鮮人等円座まどかに花に酌めり/森川暁水
山崩す音や円座の梅雨湿り/鍵和田ゆう子
ひぐらしや円坐に尻の痩せを知り/石川桂郎
なまはげに父の円座を踏まれけり/小原啄葉
待たされて雨を見てゐる円座かな/細川加賀
蓮見る円坐ならべし大寺かな/長谷川かな女
君来ねば円座さみしくしまひけり/村上鬼城
積まれたる円座一つをとりて敷く/森信坤者
人の来ぬ円座を据ゑて病みにけり/小林康治
蓮見る円坐ならべし大寺かな/長谷川かな女
ひぐらしや円坐に尻の痩せを知り/石川桂郎
ひんやりと円座の客となりにけり/谷口ゆり女
勝頼の寺の大きな円座かな/石田勝彦「雙杵」
虚子恋ひて円座に坐りつづけをり/成瀬正とし
他人の家に円座も古りてしまひけり/小林康治
義士の日のいつとはなしの円座かな/吉田鴻司
涼しさは椅子に円座をたまひしこと/後藤夜半
山かけて赤松つづく円座かな/武藤紀子「円座」
蕎麦をまづつきあへといふ円座かな/龍岡晋「龍岡晋句抄」