「炎天」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「炎天」について
【表記】炎天
【読み方】えんてん
【ローマ字読み】enten
子季語・関連季語・傍題・類語など
・炎日(えんじつ:enjitsu)
・炎気(えんき:enki)
・炎天下(えんてんか:entenka)
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季節による分類
・「え」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
炎天を含む俳句例
其中一人として炎天/山頭火
炎天の山荘に老郵便夫/上野泰
炎天下磨滅鉄蓋濃紫/香西照雄
炎天や裏町通る薬売/寺田寅彦
炎天も色を失へり/相生垣瓜人
炎天に眩むや髄細りたり/林翔
網走も炎天の下箒草/高濱年尾
炎天の能楽堂草擦る音か/中田剛
炎天や水に磧に橋の影/野村喜舟
物言はぬ額炎天の笑ひ受く/原裕
往生の道炎天を貫けり/伊藤通明
はぐれ猿来て炎天の鏡立つ/原裕
炎天の樟を越えつつ兜虫/鈴木元
炎天や道路工事の異国人/井上幹
土煙炎天に立て羊追ふ/下村梅子
炎天や瓦をすべる兜蟲/室生犀星
出し店の雫滴々炎天下/右城暮石
炎天下廃磔像に悴むか/小林康治
炎天や家に冷たき薬壺/松瀬青々
心太くふ炎天の人の餓/西島麥南
俳句例:21句目~
炎天の坂や怒を力とし/西東三鬼
炎天の群蝶を喰ふ大鴉/石原八束
佛像に飽き炎天の石跨ぐ/渋谷道
炎天に山風の香や吉野口/桂信子
水鏡して炎天はいづこにも/原裕
炎天や厩の軒の古草鞋/寺田寅彦
炎天の室戸怒濤の鬼薊/橋本夢道
炎天や一重瞼が恋しくて/錦織鞠
炎天や一念一歩山深し/古舘曹人
炎天の中空を雲押し来り/柴浅茅
炎天や森の青々樅梢/東洋城千句
炎天の石の剛直安土城/橋本榮治
炎天に深谷ありぬ鞍馬寺/小澤實
炎天へ遠山をおく竹の幹/桂信子
炎天へ蝙蝠傘を挿入す/あざ蓉子
炎天の花が散るなり百日紅/篠原
炎天の色やあく迄深緑/子規句集
炎天を断つ叡山の杉襖/矢島渚男
炎天の影を離さず霊柩車/有働亨
炎天の空美しや高野山/高浜虚子
俳句例:41句目~
炎天に蓼食ふ虫の機嫌かな/一茶
炎天の白皚々の塩湖かな/森田峠
炎天の石仏にわが貌さがす/原裕
真炎天雀憶せず足許へ/高澤良一
影さへも亡び炎天の幾礎石/林翔
銭かぞふ男炎天濁しけり/下田稔
鯛泳ぐとも炎天の彩褪せず/原裕
炎天や病臥の下をただ大地/斎藤玄
炎天や田の口細き水零れ/松村蒼石
炎天の嚢中の銭うらがなし/三谷昭
炎天や棒高跳びの棒倒る/山根真矢
みちのくに春色おそし牧の草/炎天
山中の氷らぬ池や浮寐鳥/石動炎天
炎天や生き物に眼が二つづつ/林徹
山頂や三百六十度の炎天/高橋悦男
炎天や長城嶺を直下せり/加藤秋邨
己が首持てる石像炎天に/岩崎照子
炎天の老婆氷塊さげ傾ぐ/野澤節子
炎天を三半規管に従ひて/高澤良一
炎天の土の栖は影もたず/石原舟月
俳句例:61句目~
炎天の三輪山に入る鳥一つ/原田喬
炎天や金策つきし鞄置く/倉橋弘躬
炎天の下さはやかに蛭泳ぐ/原石鼎
炎天をゆく胎内の闇浮べ/坂巻純子
炎天の下に睡蓮花を閉づ/高濱年尾
炎天の中こぎゆくや車曳/井上井月
炎天をゆく明眸を失はず/鈴木貞雄
心棒に狂ひを生ず真炎天/高澤良一
炎天の浜白泡を長く保つ/右城暮石
炎天や貝殻山を踏みしだき/中田剛
炎天や麹町なし水巴なし/斎藤空華
抱き合ふ榾の中より大炎/天野菊枝
炎天や笠頼母しき鰻掻き/籾山柑子
求職の列炎天に蔭もたず/船越斗波
炎天や鴉があるく森の底/橋本鶏二
炎天にたはむれあせし牛の舌/原裕
炎天や命あるもの二三翔ぶ/滝青佳
獨立の大記念塔炎天下/保田白帆子
炎天の現実女靴みがき/石橋辰之助
炎天や鳶交る声谺して/佐野青陽人
俳句例:81句目~
炎天や十一歩中放屁七つ/永田耕衣
炎天の荷車にさす油かな/野村喜舟
犀星碑まで炎天の土不踏/吉田紫乃
炎天や蛙鳴きゐる寺の中/増田龍雨
炎天に一樹の影の地を移る/桂信子
炎天の草に沈める鉄の棒/田畑保英
炎天の山河を蔽ふ宙の濤/飯田蛇笏
炎天や蛙が鳴けば水思ふ/佐野良太
炎天やきらり~と水車/五十嵐播水
炎天の海高まりて島遠し/内田百間
氷挽く泡だちてゐる炎天に/中田剛
炎天やおもて起して甑岳/細川加賀
波追うて波の重なる炎天下/星野椿
炎天に水強くあり北信濃/長谷川双
炎天下起重機少し傾いて/田中裕明
炎天や小路を廻る薬賣り/井上井月
炎天や水を打たざる那覇の町/篠原
炎天や縄で氷を提げてきし/中田剛
炎天や空にも地にも花槐/佐野良太
しゞみ蝶紫失せて炎天下/高木晴子