俳句例:101句目~
炎昼を静止しているなにもかも/高桑弘夫
炎昼のしづかに巨き牛たおる/今井杏太郎
炎昼の多感な駅夫レールに出て/桜井博道
炎昼のゆけどとどかぬ天涯見ゆ/細谷源二
炎昼やとぼしけれども蔵書あり/山口誓子
ハドソンも炎昼くらむ疲れ濃し/稲垣きくの
みじろぎもせず炎昼の深ねむり/野見山朱鳥
炎昼を来てくらくらと喪の花輪/森松まさる
炎昼やタールが見えぬ火に煮ゆる/塩川星嵐
炎昼や身ほとりの木はむらさきに/下村槐太
待つはかなし炎昼へ出て鮮明に/河野多希女
炎昼の葬ねむたかりかなしかり/鳥居おさむ
炎昼のおのれの影に子をかくす/日下部宵三
炎昼ヘバスよりぞ吐き出されたる/木下夕爾
注射し守る炎昼石廊に臥しいるを/古沢太穂
炎昼の二児守ることに明け暮れし/伊藤敬子
炎昼をへたばりをると誰が云ひし/高澤良一
レール無音にして炎昼悲痛に似る/榎本冬一郎
炎昼やするめのごとく部屋にゐる/山田真砂年
炎昼のチェスはさびしき遊びかな/大木あまり
俳句例:121句目~
布施がらを焚けば炎昼まほらあり/赤松ケイ子
炎昼の追ひかけてくるムンクの目/野見山ひふみ