「重陽」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「重陽」について
【表記】重陽
【読み方】ちょうよう
【ローマ字読み】choyo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・重九(ちょうきゅう:chokyu)
・菊の節供(きくのせっく:kikunosekku)
・今日の菊(きょうのきく:kyonokiku)
・菊の日(きくのひ:kikunohi)
・重陽の宴(ちょうようのえん:choyonoen)
・三九日(さんくにち/みくにち:sankunichi)
・みくにち茄子(みくにちなす:mikunichinasu)
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季節による分類
・「ち」で始まる秋の季語
・「秋の行事」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
重陽を含む俳句例
父母に重陽の燭奉る/香月梅邨
重陽の被綿とこそ寿/山田弘子
朝露や菊の節句は町中も/炭太祇
一僧の少し乱れぬ菊の酒/上野泰
心から栗に味ある節句かな/鬼貫
重陽の雨が叩けり真葛原/有働亨
菊の日や水すいと引く砂の中/目
末永う二人三脚菊の酒/高澤良一
雙六の石もまばらや菊の宴/俵雨
小座敷や袖で拭ひし菊の酒/一茶
菊の酒人の心をくみて酌/星野立子
草の戸の用意をかしや菊の酒/太祇
烏相撲終りて賜ふ菊の酒/板谷芳浄
重陽の風雨に菊を起しけり/橡面坊
団欒や民喜びの菊の酒/河東碧梧桐
重陽や内湖のえりは杭ばかり/民郎
重陽や底岩までも汐の澄み/有働亨
菊の日や丸うて臣を愛み/作者不知
木曽谷の養生訓に菊の酒/加藤耕子
借りかけし庵の噂や今日の菊/丈草
俳句例:21句目~
立砂の鋭く尖り今日の菊/阪本早苗
重陽や書斎に翁の酒を呼ぶ/角田竹冷
人心しづかに菊の節句かな/黒柳召波
重陽に偲びて式部官杞陽/粟津松彩子
生き上手はなし上手や菊の酒/台迪子
丹田へとくくそそぐ菊の酒/川崎展宏
重陽や海の青きを見に登る/野村喜舟
重陽の日の春慶の色に似し/岡井省二
これよりは菊の酒また菊枕/山口青邨
重陽や花麩豊かにすまし汁/有馬朗人
重陽の朝封切りし庫の酒/西山小鼓子
重陽の節句と思ふ忌日かな/稲畑汀子
重陽の栗を琥珀の珠と煮たり/秋櫻子
鍬提げて野に重陽をうたひけり/菫哉
よもぎふや袖かたしきて菊の酒/一茶
重陽や天日変はりなく廻り/福島清恵
重陽や帯に織り込む金の蝶/阿戸敏明
菊の香にくらがり登る節句かな/芭蕉
菊の日や御岳烏も出でて啼く/蒼きう
重陽の穴ある三角定規かな/栗栖恵通子
俳句例:41句目~
重陽や冷き茣座を抱いてゆく/飯島晴子
重陽や出逢ひ約せし日の遥か/蒲みつる
重陽や眠つたままの着物出す/土生依子
重陽や青柚の香ある雑煮椀/水原秋櫻子
ほこほこと菊の宴の炬燵の火/木村蕪城
日出づるところの天子菊の宴/福田把栗
菊の宴に心利きたる下部かな/夏目漱石
くさの戸の用意おかしや菊の酒/炭太祇
重陽や温室の七棟灯ともりて/加藤草杖
去来忌や相逢うて酌む菊の酒/茂里正治
売文は明日へまはして菊の酒/加藤郁乎
母を締め吾を締むる帯菊の酒/大館史子
船を憶ふわれらが集ひ菊の酒/高濱年尾
草の戸や日暮てくれし菊の酒/松尾芭蕉
菊の酒一杓づゝの回向かな/都甲久美子
菊の酒上げて卒寿を自祝せん/村上三良
菊の酒酌むや白衣は王摩詰/芥川龍之介
身の内のこきと音して菊の酒/川崎展宏
正午かと思へば菊の節句かな/清水径子
塗師蔵へ重陽の潮照り返す/本谷久邇彦
俳句例:61句目~
太刀持の脊中に菊の日なた哉/高井几董
菊の日の長き汀を歩きをり/大峯あきら
菊の日の陽明り残る磯の空/古畑丁津緒
重陽の屋上にこそ運ばれめ/相生垣瓜人
重陽の改札口にもたもたす/伊規須富夫
重陽の日や琴出して妻老いぬ/岸風三樓
重陽の日を宿かりし豪家かな/大谷句仏
指に入ル風はや寒し今日の菊/服部嵐雪
重陽の月打ち落し毛氏逝く/殿村莵絲子
重陽のこのわたを盛る津軽塗/鳥居美智子
寿ぎの舞終へて注がるゝ菊の酒/中村芳子
重陽の酒贈るべき人減りて/きくちつねこ
偲びては重陽の日のめぐり来し/桑田青虎
よく続く菊の日和の一と日かな/高濱年尾
枯菊の日矢まとひたる微塵かな/小林康治
籾蔵の戸が開いてゐる重九かな/宮岡計次
重陽の山里にして不二立てり/水原秋櫻子
菊の日の門に風出できたりけり/小林虚人
重陽の夕焼に逢ふ幾たりか/阿部みどり女
生涯にまたなきけふぞ菊の酒/五十嵐播水
俳句例:81句目~
重陽や椀の蒔絵のこと~し/長谷川かな女
重陽の夕日をのこす奥嶺あり/大峯あきら
うは露も御覧を経たり今日の菊/尾崎紅葉
手折りもす五色の香の今日の菊/石口光子
重陽やこだまし吠ゆる杣の犬/大峯あきら
枸杞酒得て重陽の日となりにけり/村上麓人
重陽の遅れゆく雲やさしげに/鍵和田ゆう子
重陽の日と知るのみの菊を買ふ/川上百合子
上戸下戸けじめな云ひそ菊の酒/島村元句集
菊の日のまだ膝だしてあそびゐる/田中裕明
菊の酒あたゝめくれしこゝろざし/星野立子
菊の日の渚づたひに来る子かな/大峯あきら
菊の日に唇赤く病婦酔ひ居りぬ/阿部みどり女
菊の日のふとん部屋まで子がつき来/山本洋子
菊の宴いまのわが身にはれがまし/松尾いはほ
今日シヤトームートン開けん菊の宴/稲畑廣太郎
菊の日に用ため置いてうかと居ぬ/阿部みどり女