「葡萄」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「葡萄」について
【表記】葡萄
【読み方】ぶどう
【ローマ字読み】budo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・甲州葡萄(こうしゅうぶどう:koshubudo)
・マスカットオブアレキサントリア(ますかっとおぶあれきさんとりあ:masukattobuarekisantoria)
・キャンベルス(きゃんべるす:kyamberusu)
・デラウェア(でらうぇあ:derauea)
・黒葡萄(くろぶどう:kurobudo)
・葡萄園(ぶどうえん:budoen)
・葡萄棚(ぶどうだな:budodana)
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季節による分類
・「ふ」で始まる秋の季語
・「秋の植物」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
葡萄を含む俳句例
掌に愛して見する葡萄哉/太祇
水の月汲て拾はん梨葡萄/沾徳
鈴虫の音毎に透て葡萄哉/仙鼠
露とけて韋駄天走り葡萄蔓/普羅
琅かんの簷の葡萄に寿/木村蕪城
魂の一つ一つの黒葡萄/和知喜八
鹹き一日なりし黒葡萄/友岡子郷
葡萄一粒の弾力と雲/富澤赤黄男
亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄/茅舎
一粒の葡萄の曇り愛しゐる/綾子
月影に数へて見たり棚葡萄/吟江
一房のぶだう浸せり原爆忌/原裕
寺の月葡萄膾は葉にもらん/其角
月光の洽き夜の葡萄かな/樋笠文
葡萄一粒一粒の弾力と雲/赤黄男
大熱の脣ひやす葡萄哉/寺田寅彦
ろうかんの簷の葡萄に寿/木村蕪城
後の月葡萄に核のくもりかな/成美
心臓を透視の如き葡萄哉/瀧井孝作
葡萄棚一痩骨で生徒支ヘ/香西照雄
俳句例:21句目~
葡萄枯れ対岸の人朝陽の中/中拓夫
酒折の石白うして葡萄祭/萩原麦草
夜々月の雫や凝りて蔓ぶだう/素丸
葡萄垂れ下る如くに教へたし/静塔
沈黙の海の深さの黒葡萄/藤岡筑邨
手を振れば臍出る童葡萄熟れ/林翔
透かし見る葡萄の種や掌/会津八一
すでに秋葡萄の葉先うら返り/朱鳥
夜の雨葡萄太らせゐる斜面/見学玄
藤に春くれて葡萄に秋くれぬ/乙由
木鼠の葡萄棚這ふ月夜哉/寺田寅彦
葡萄作りは皆若者よ夏近し/瀧春一
神棚のぶだうに映る灯哉/寺田寅彦
一窓のみ葡萄粒々光頒つ/香西照雄
晩春の河内に低き葡萄棚/角川照子
黒葡萄天の甘露をうらやまず/一茶
黒きまで紫深き葡萄かな/正岡子規
落日運ぶ少年の船黒ぶどう/伊藤和
収穫のあとも鍵掛け葡萄園/檜紀代
洋梨蠢き葡萄膨らむ佐伯の眼/林翔
俳句例:41句目~
岩鼻や葡萄終りし地の傾斜/徳弘純
夏めくや天へ挙りて葡萄蔓/今井竜蝦
砂漠にも木下闇あり葡萄棚/品川鈴子
重き房なりし葡萄を食べ終る/波津女
夕空に蚊の湧き上る軒葡萄/富田木歩
船倉の葡萄は熟睡して運河/塩見恵介
編物の季節来ぬ食後の葡萄/内藤吐天
大阪を通過して来し葡萄狩/右城暮石
葡萄食ふ一語一語の如くにて/草田男
葡萄酒の滓引にほふ寒夜かな/甲子雄
紫のぶだうを置いて雨の音/細見綾子
葡萄酒の壜はあげ底緑の風/平井照敏
のちの月葡萄に核のくもりかな/成美
宮様の道に影さす葡萄かな/前田普羅
糖度計あるよ葡萄の畑毎に/品川鈴子
ひと房の葡萄を貰ふ胸の上/加畑吉男
掌に葡萄を置いて別れけり/前田普羅
一房に秤かたむく葡萄かな/吉屋信子
葡萄樹下少年と黙分ちあひ/橋本榮治
一房の秤かたむく葡萄かな/吉屋信子
俳句例:61句目~
葡萄吸う腰から下に夕日浴び/徳弘純
移り鳴く雉の声せり葡萄園/猪股洋子
恩光やいのち久しき葡萄文/和田悟朗
煮凝や月夜のどこも葡萄棚/三森鉄治
一房の葡萄を沈め生家なる/柿本多映
葡萄園の霧に人声近づき来/内藤吐天
われに母健か葡萄軒に垂れ/木村蕪城
一箱の闇より出でて黒葡萄/谷元左登
葡萄盛りて運ぶ船員と海境/金子皆子
日曜や枯れて日洩らす葡萄棚/有働亨
葡萄の葉白き巌をとほくにす/中田剛
ぶだう郷飛んで甲州雀かな/高澤良一
葡萄くふ壁の影肺蝕まれ/林田紀音夫
黒葡萄月ゆく音を耳のうら/庄司圭吾
葡萄吸えば星痕の空深くあり/須藤徹
人生はまあまあ美しく葡萄/櫂未知子
葡萄うるはしまだ一粒を損はず/虚子
秋櫻子忌葡萄の露に指濡れて/瀧春一
黒葡萄よりも冷たき女の手/名取文子
葡萄箱釘の早打ち父子して/三好潤子
俳句例:81句目~
マーラーの重音ひびく黒葡萄/石嶌岳
南方に曲江の景や葡萄園/楠目橙黄子
葡萄垂れ天上をゆく強き櫂/飯島晴子
葡萄園出て碧落に身を涵す/木村蕪城
ぶだう摘一房ごとに目を細め/森田峠
川音や起伏つゝめる葡萄棚/手島靖一
風生れ葡萄熟る丘と親しめり/杉本寛
風光り無一物なる葡萄の木/茂里正治
吐魯番の葡萄の粒の尖りけり/日原傳
空透きて秋風となる葡萄棚/茂里正治
月光の果に翳こく葡萄園/川島彷徨子
雨あがる至福に満ちて葡萄の香/遷子
葡萄若葉堂は弘仁仏を秘む/木村蕪城
堕天使に悪相見えず黒葡萄/吉原文音
墨染の葡萄一房皿にあり/田川飛旅子
リー伝記終焉の章葡萄垂る/村越化石
あをのけば蛙飛び付く葡萄哉/寺田寅彦
炎帝に葡萄の種を抜かれたる/高澤良一
熱の手に葡萄の種がべたべたす/長田等
猟鳥の死に切りし眼の葡萄色/右城暮石