「汗」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「汗」について
【表記】汗
【読み方】あせ
【ローマ字読み】ase
子季語・関連季語・傍題・類語など
・汗ばむ(あせばむ:asebamu)
・玉の汗(たまのあせ:tamanoase)
・汗水(あせみず:asemizu)
・汗の香(あせのか:asenoka)
・汗みどろ(あせみどろ:asemidoro)
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季節による分類
・「あ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
汗を含む俳句例
へそが汗ためてゐる/山頭火
汗と拭く柱鏡の脂顔/石塚友二
汗拭や左袒ぐ夏芝居/高井几董
祇園会や古き錦に汗の玉/青々
汗取や袖に浪こす沖の石/調鶴
汗取や菅の小笹に残す風/西和
青空と一つ色なり汗拭ひ/一茶
團結の歌ごゑ汗の拳振り/上村占
発掘に従ふ学徒汗拭かず/森田峠
母の汗拭へば終の白額/野澤節子
泥汗に眦ただれ田草取/大熊輝一
大仏の蔭や汗拭く旅の人/谷活東
汗臭き手拭濯ぐ流かな/羅蘇山人
淵にたつ汗の父拭く夕茜/渋谷道
石仏に雲累々と汗落す/古舘曹人
汗拭いて米搗く僧や帰り花/蓼太
盆踊汗水節といふ曲も/沢木欣一
雫汗雫男らどつと汽車へ/原田喬
小説の発端汗の捨切符/藤田湘子
曇日の汗頸すぢに君失ふ/岸田稚
俳句例:21句目~
鐘撞いて男ひと日の汗拭ふ/原裕
汗入て身を仏体と知る夜哉/我則
豚饅に汗し行列中華街/高澤良一
南天にしばしと干すや汗拭/山店
汗や露おのが染たる柿帷子/自鶴
花木槿美作に来て汗白し/森澄雄
花に酒汗して牛の引く日哉/蓼太
汗は汗私は私誤字探す/高澤良一
汗の旅生徒教師を敬はず/楠節子
街を出る喝采あれや肩の汗/竹中宏
病人の汗は流れず縷紅草/石田波郷
二歳児に存分の汗森深し/都筑智子
畳屋の汗は大粒鳳仙花/大岳水一路
産声や目鼻にからむ泪汗/杉山岳陽
塔逆さまに頭の汗を拭き/和知喜八
塩一石汗一石砂積み崩し/沢木欣一
人の汗見る鏡中の街角で/対馬康子
戦う汗涙となりぬ夕栄に/高澤良一
生死や一本の葦汗の手に/齊藤美規
夏草の溝越え茂る街汗す/横光利一
俳句例:41句目~
生の松いかに忘れん汗拭/榎本其角
玉の汗五大堂にて一休止/高澤良一
夕焼の栄光の中胸汗ばむ/斎藤空華
爆心地汗の帽子の裏を干す/小田亨
流す汗今若からず終戦日/手島靖一
仏桑華汗の眼窩に朱狂ふ/脇野素粒
汗若き鉄工に浮き黄の気球/徳弘純
休暇語る汗の生徒ら燦爛たり/林翔
文弱の身ほどに汚れ汗拭/深谷雄大
汗拭ふ向ふに高し雲の峯/子規句集
汗拭ひ拭ひ漢の一礼す/涌喜摩耶子
黄の色の汗修道尼日本人/右城暮石
傾城の汗の身をうる暑哉/横井也有
傾城の汗臭くなるをどりかな/木導
太陽も金の汗する田草取/辻田克巳
旅人や杖に干し行く汗拭/正岡子規
汗垂れて乾き渺たる一僧侶/斎藤玄
あぐらかく者に満つ汗蟇/赤尾兜子
駒よせに汗打ち払ふ風もなし/一鳥
耕すや天より汗を賜りて/細谷源二
俳句例:61句目~
日盛を御傘と申せ萩に汗/榎本其角
子の汗のすがしく匂ひ神輿振/林翔
頑なに汗の背中や泥鰌汁/加藤楸邨
兜虫漆黒なり吾汗ばめる/石田波郷
汗し倦む法皇庁の宝石庫/小池文子
ハンカチや汗一滴の広額/西山泊雲
静脈の黒さ汗の手吊革に/石塚友二
老車夫の汗を憐む酒手哉/正岡子規
羅に汗さへ見せぬ女かな/高浜年尾
神妙に汗も拭はず鉾の児/伊藤松宇
少年の汗ほとばしる大太鼓/酒井武
雲雀野をゆく膕の汗ばみて/中田剛
汗し病み馬肉煮る日の蹠/片山桃史
神の座へ急峻の證汗光る/島田青琴
汗冷えつ笠紐浸る泉かな/飯田蛇笏
石に絞る香や橘の筆の汗/浜田酒堂
鉄斎へ汗念力の膝がしら/加藤楸邨
鼻梁汗かく原爆祭うつろなり/原裕
山畑や笠の紐より汗しづく/上村占
ぼんのくぼ押へし汗の掌/高濱年尾
俳句例:81句目~
札所寺百日紅に汗退けり/高澤良一
金売露地深く来て汗拭ふ/加藤楸邨
出色の百日紅に汗退けり/高澤良一
軍艦や流るる汗に鋼の膚/筑紫磐井
勤勞の汗が君らの宝なり/筑紫磐井
足早に本堂よぎる汗手貫/加藤節子
松籟は峠ならむと汗ばみ登る/篠原
貝をむく汗の口辺法師蝉/古沢太穂
一瞬の汗引く仰臥漫録に/藤浦昭代
言葉つまる心の隙に汗ありて/林翔
万歩計見て満足の汗拭ふ/小林勇二
三人の汗の男の石を切る/本岡歌子
褒貶や汗で真向ふ挽肉機/河野南畦
裾の蝉汗かき不動峰の蝉/和知喜八
薄髭に汗溜め遊泳監視員/永作火童
友の前胸の薄さの汗拭ふ/木村蕪城
盆踊り汗水節といふ曲も/沢木欣一
百姓の広き背中や汗流る/高野素十
榊鬼汗拭く暗き隅を得て/星野昌彦
芋団子汗の童べ膝に肩に/細谷源二