俳句例:101句目～
浅蜊掘めぼしきものは乏しくて/高澤良一
浅蜊汁殻ふれ合ふもひとりの餉/永方裕子
浅蜊減る海のさざ波聞きゐたり/高澤良一
浅蜊縞流行りの縞もありぬべし/高澤良一
浅蜊船ゆさりゆさりと戻りけり/野口文吾
手応えのこれは大きな縞あさり/高澤良一
浅蜊ほる母とほし白帆母の背に/秋元不死男
浅蜊売り濡れ手をふって銭を受く/小俣襄一
浅蜊舟かへる水脈ひくみをつくし/石原八束
蜆は紫衣浅蜊は幇斗目着たりけり/柳川春葉
朝日真向浅蜊屋の声頭を越え行く/岩田昌寿
あどけなき浅蜊も見逃さぬこころ/櫂未知子
潮たるる浅蜊を下げて見舞はるる/稲垣由江
掻き当ててゴッと鳴れるや鬼浅蜊/高澤良一
大浅蜊ほうらと気宇を吐き出せり/坊城俊樹
地震すぎて歯軋りのごと浅蜊磨ぐ/横山房子
口開かぬ浅蜊ごときは天の邪鬼/北見さとる
浅蜊はこぶ零るるものはみな浅蜊/堀米秋良
ジーパンをたくしあげては浅蜊掻く/高澤良一
をとこ立ちをんな屈める浅蜊舟/鍵和田のり子
俳句例:121句目～
ちらつく雪浅蜊掻きても籠に満たず/小林康治
ことごとく浅蜊舌だすおぼろかな/柴田白葉女
浅蜊の殻に同じ柄なし個を重んず/田川飛旅子
母の忌の浅蜊ちひさく鳴きにけり/永島理江子
金曜日が好きで韮/鯖/浅蜊買ふ/正木ゆう子
ぎしぎしの穂の立ち錆びし浅蜊掘り/遠藤梧逸
露路の桜に雨そそぎ朝を来る浅蜊売/大橋裸木
手つかずの浅蜊掘り場の無きものか/高澤良一
浅蜊掘りし手がからからになりゐたり/高澤良一
浅蜊つぶやき独りぐらしは埓もなし/稲垣きくの
浅蜊鳴く言はねばならぬことありて/菅原さだを
バレンタインデー浅蜊が舌を出してをり/大森理恵
あさり、うっかり閉じ忘れた口をとじる/住宅顕信
「あさり、しじみョォ」貧乏路地を起しにくる/橋本夢道
