「蟻地獄」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蟻地獄」について
【表記】蟻地獄
【読み方】ありじごく
【ローマ字読み】arijigoku
子季語・関連季語・傍題・類語など
・擂鉢虫(すりばちむし:suribachimushi)
・あとずさり(あとずさり:atozusari)
・あとさり虫(あとさりむし:atosarimushi)
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季節による分類
・「あ」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
蟻地獄を含む俳句例
荒涼と月面の景蟻地獄/瀧春一
蟻地獄並ぶ完成未完成/山田弘子
西行堂裏も表も蟻地獄/角川照子
人忌はわが衰へか蟻地獄/岡本眸
結界に一光円の蟻地獄/近藤一鴻
蟻地獄童女が二人風の中/皆吉司
敗頽と女坐れり蟻地獄/萩原麦草
親鸞の分骨堂の蟻地獄/新村富代
軍扇の裏の白泥蟻地獄/吉田紫乃
陵も父も翳なす蟻地獄/齋藤愼爾
光陰と土に鎮まる蟻地獄/飯田蛇笏
蟻地獄死ぬ時の貌考える/寺井谷子
蟻地獄火伏の神の縁高き/半田順子
やや傾ぐ海龍王寺蟻地獄/橋本榮治
俳諧や斧鉞一閃の蟻地獄/石原八束
蟻地獄鐘楼の土知り尽す/石川桂郎
倖か蟻地獄など数ふるは/杉山岳陽
天平の伽藍の下の蟻地獄/野村美恵
奔放に生きて骸や蟻地獄/岡田守生
蟻地獄赫く集りなほ二三/萩原麦草
俳句例:21句目~
小祠に豆粒ほどの蟻地獄/細井将人
少年の孤独捕へし蟻地獄/清水節子
日蝕や父には暗き蟻地獄/齋藤愼爾
蟻地獄女の髪の掌に剰り/石川桂郎
曇天の白き太陽蟻地獄/柴田白葉女
朗々の勤行堂下蟻地獄/邑上キヨノ
男立ち女かがめる蟻地獄/西東三鬼
梅干の種の真紅と蟻地獄/近藤一鴻
蟻地獄仏足石の影およぶ/荒川幸恵
律院の縁の高さよ蟻地獄/千原叡子
鍵ささぬ木喰堂や蟻地獄/渡辺立男
鬼貫の塋域にして蟻地獄/千原叡子
頬杖の石仏のまへ蟻地獄/宮原双馨
高野にもある殺生や蟻地獄/乾一枝
蟻地獄深し松籟絶ゆるなく/内藤吐天
及ばざる天の光りに蟻地獄/飯田蛇笏
洞然と二つならべる蟻地獄/河野静雲
否応もなく落されて蟻地獄/鷹羽狩行
墓の裾蟻地獄あり暗からず/小林康治
墜ちし虫一瞬に消ゆ蟻地獄/高橋利雄
俳句例:41句目~
白昼の不意打ち巨き蟻地獄/渡辺恭子
蟻地獄歳月人をへだてけり/青木重行
蟻地獄しづかに昼は移りをり/有働亨
蟻地獄全き月の上がりけり/斎藤梅子
石仏の視野のはずれの蟻地獄/芝由紀
ああかくて胸に空洞蟻地獄/西本一都
蟻来ねば蟻地獄空漠として/細見綾子
濃影曳き無欲者精励蟻地獄/香西照雄
蟻地獄ありて古家に男住む/入江朝子
納骨のあとの渇きに蟻地獄/横山房子
蟻地獄昨日も今日も新しく/下村非文
子を連れて佇む墓地の蟻地獄/三谷昭
蟻地獄戦ふ音は持たざりき/加藤楸邨
父たらむ日へ幾許ぞ蟻地獄/杉山岳陽
この旅の一天守一蟻地獄/赤松けい子
寺の子の遊び上手や蟻地獄/橋本榮治
蟻地獄鼻唄まじり来し蟻を/京極杞陽
蟻地獄青空木々の上にあり/飯田龍太
蟻地獄何事もなき砂落ちぬ/西岡正保
殺生のまだなき深さ蟻地獄/野村久子
俳句例:61句目~
蟻地獄長屋のごとく並びけり/日原傳
蟻地獄遺し尽して怒り消ゆ/根岸善雄
蟻地獄観音様の前にあり/高田マサ江
蟻地獄娼家のごとく並びたる/西山誠
手をあげて蟻沈没す蟻地獄/橋本鶏二
蟻地獄蟻にも今は忘らるゝ/右城暮石
蟻地獄群るる病者の床下に/石田波郷
蟻地獄のぞき第三者の立場/池田秀水
蟻地獄砂の切味あざやかに/山口誓子
わが心いま獲物欲り蟻地獄/中村汀女
わが跼む孤絶の影よ蟻地獄/山口草堂
月光の創かくれなし蟻地獄/齋藤愼爾
蟻地獄石ころ一つ振舞はん/高澤良一
朝の蟻蟻地獄行はじめたり/萩原麦草
用済みの骸をはねる蟻地獄/柴崎公子
蟻地獄在り山中の暦日に/松本たかし
バビロンの都の址の蟻地獄/山本歩禅
来る蟻にひそと傾き蟻地獄/皆吉爽雨
蟻地獄むずつと仁王の力足/北澤瑞史
蟻地獄病者の影をもて蔽ふ/石田波郷
俳句例:81句目~
蟻地獄同心円を並べけり/野見山朱鳥
丹の透ける木彫仏や蟻地獄/小島花枝
蟻地獄異変は杖の一突きに/杉原昌子
人声の稀に落ちくる蟻地獄/右城暮石
人間に蟻をもらひし蟻地獄/右城暮石
雨遠き思ひに並び蟻地獄/後藤比奈夫
倖せか蟻地獄など数ふるは/杉山岳陽
働いてゐる蟻地獄見当らず/小島梅雨
高音部奏でしギター蟻地獄/栗林千津
松の雨つい~と吸ひ蟻地獄/高浜虚子
妻病臥子を連れのぞく蟻地獄/石田波郷
室生寺の床下にして蟻地獄/瀧澤伊代次
尼逝きて久しくなりし蟻地獄/山本祐三
山中に時の澄みゆく蟻地獄/山上樹実雄
山鳴に馴れし静けさ蟻地獄/隈元いさむ
待つものの静けさにゐて蟻地獄/桂信子
故郷につながれている蟻地獄/川端妙子
斑猫のふんまへたちし蟻地獄/河野静雲
朝の路水より素し蟻地獄/竹下しづの女
木洩日の言葉は尽きず蟻地獄/鷹羽狩行