「網戸」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「網戸」について
【表記】網戸
【読み方】あみど
【ローマ字読み】amido
子季語・関連季語・傍題・類語など
・網窓(あみまど:amimado)
・網障子(あみしょうじ:amishoji)
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季節による分類
・「あ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
網戸を含む俳句例
網戸はめ白樺の白変らざる/森田峠
緑増す景に御陵も網戸越/亀井糸游
笛少女網戸より風漉き入るる/原裕
夜は木々の匂を強く網戸風/堤京子
郭公や網戸に青き渦ならび/堀口星眠
軽井沢網戸に白みそめしかな/車谷弘
蛍籠網戸のごとく灯りたる/行方克巳
晩涼や網戸に透ける港の灯/高濱年尾
月光も潮の香りも網戸越し/岡本虹村
夕星を迎へむ網戸洗ひけり/織田耀子
網戸越し十日月あり山泊り/木村蕪城
身辺に加はる青さ網戸出す/児玉輝代
網戸抜け行ける煙草の煙かな/本井英
網戸より夕風心地よき時間/稲畑汀子
音読の背なに重ねし青網戸/平林恵子
蛾のほかは遠き山の灯青網戸/桂樟蹊子
雨音の近づいてゐる網戸かな/斉藤京子
露七彩網戸に満つや姉祷る/中戸川朝人
春生死す青き網戸に風出入り/宮坂静生
中尊寺その一坊の網戸かな/深見けん二
俳句例:21句目~
水音の檜山夜に入る網戸かな/木村蕪城
俄か涼網戸うるさくさへ目立ち/及川貞
水鶏鳴く闇が埋めし網戸の目/亀井糸游
深海の明るさに青網戸かな/上田五千石
青芝の匂ひが網戸ごしにして/高木晴子
真昼の村蝶のあらきを網戸越し/中拓夫
馬追の網戸を去らぬ胸さわぎ/伊藤孝一
網戸より雨の森とは遠くあり/星野高士
網戸入れ夜は深海に在る如し/平賀扶人
網戸押してインコ羨む犬の顔/堀口星眠
巌の濤見て来ていまは網戸の中/山口青邨
網戸入れ夜を鮮しくひとり住む/菖蒲あや
たらたらと星流れたる網戸かな/高野素十
ゑんどうや網戸が水に浸りをり/田中裕明
何よりも沼の夜風のある網戸/石井とし夫
切り返す言葉失くして繰る網戸/西村雅苑
網戸入れ波おとなしき日暮かな/花尻万博
網戸して叱る声にも遠慮あり/谷口まち子
守宮今ゆつくり網戸這つてをり/宮路夢樹
山せまりくる眞青なる網戸ごし/星野立子
俳句例:41句目~
網戸たて月明の海遠くしぬ/長谷川浪々子
山荘にきてゐるらしく網戸嵌め/清崎敏郎
破れたる網戸にいつも行く視線/黒川悦子
網戸ごしの葉ずれ映して赤ん坊/伊藤淳子
指置けば網戸の山河凹みたる/田川飛旅子
故人の間網戸のうちも固く締め/手塚基子
湖風の網戸を抜けるとき青し/梶山千鶴子
網戸嵌め只強くこそ住みなせり/高浜虚子
網戸より見えてあふるる玩具箱/布川武男
網戸より見ゆるものみな網戸色/原田耕二
網戸して五感の世界広がりぬ/堀川/福子
青梅雨の網戸を忘れゐたりけり/石川桂郎
青網戸張りても竹のまぎれなし/石川桂郎
風位正しく網戸を抜ける目高たち/穴井太
夜明しのわれと蛾と居る網戸かな/永井龍男
網戸していつしか鳥となり眠る/八百板俊子
網戸ごしに雲灼く入日卓を灼く/川島彷徨子
花火焚く網戸ごもりの吾に見よと/亀井糸游
病む母にみどりの網戸引きにけり/館岡沙緻
蜜分離網戸へ蜂がきてはとまる/川島彷徨子
俳句例:61句目~
蝶は飛び蛾の眠りゐる網戸かな/鈴木洋々子
街の灯のみんな十字となる網戸/木暮陶句郎
すぐ眠れさうな気のして夜の網戸/高橋笛美
娑婆といふ紅蓮を堰きて網戸あり/高澤良一
灯を消して海の夜気くる網戸かな/田辺城司
網戸はめ風が通るの通らぬのと/窪田鱒多路
網戸より変はらぬ山河見てゐたり/星野高士
山に向き網戸に向きて目覚めけり/館岡沙緻
網戸して世に遠ざかるおもひかな/中田禮子
網戸より夕ぐれいろのはじまりぬ/橋場千舟
灯を取りにきたぞと網戸の外の蝉/高澤良一
灯を消して網戸越しなる山の精/渡辺/和子
網戸越し例の合図をしてゆける/波多野爽波
くらがりに白雲のこる網戸かな/阿部みどり女
忘れゐし網戸の部屋であることを/中島よし絵
網戸して世をはばかれるこころもち/福永鳴風
網戸して小鳥のこゑのなかに病む/石田あき子
網戸越し隣はチャイコフスキーの夜/山田弘子
網戸入れてより喪ごころもなじむ青/能村登四郎