「秋の雲」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「秋の雲」について
【表記】秋の雲
【読み方】あきのくも
【ローマ字読み】akinokumo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・秋雲(しゅううん:shuun)
–
季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の天文」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
秋の雲を含む俳句例
一片の又一塊の秋の雲/上野泰
崑崙の人と筆談秋雲下/下田稔
苅株や水田の上の秋の雲/洒堂
珍しき山容ち旅秋の雲/上野泰
待宵や流浪の上の秋の雲/惟然
秋雲やいよいよ遠き末弟子/林翔
山荘の鏡に移る秋の雲/松本澄江
灰色をふくみ大塊秋の雲/上野泰
脱帽の浅間や秋の雲離す/渋谷道
今朝秋の雲の影あり築地川/梓月
校庭の土俵均され秋の雲/塩谷康子
秋の雲尾上の薄見ゆるなり/泉鏡花
校塔の時問は古し秋の雲/小川軽舟
閉店の昨を船出の秋雲に/久米正雄
栄転も母には別離秋の雲/中村稔子
夕空の秋雲映ゆる八重葎/飯田蛇笏
教官の帽子の上や秋の雲/内田百間
秋雲や庇曲りし診療所/瀧澤伊代次
徒らに古塔ぞ聳ゆ秋の雲/臼田亜浪
王陵に牛を放つや秋の雲/三好達治
俳句例:21句目~
桑畑に綿の白さの秋の雲/細見綾子
時計台白し秋雲尚白し/佐藤夫雨子
あら海や波をはなれて秋の雲/暁台
深山木や斧に湿ふ秋の雲/尾崎紅葉
雪線の十字架かなし秋の雲/有働亨
秋雲や釣人によき礁伸び/宮津昭彦
鉄棒の少年見てる秋の雲/大西健司
逃るため登る鉄階秋の雲/対馬康子
秋雲と索道天にやすみなき/瀧春一
秋雲を浮かべ美ケ原といふ/轡田進
秋雲の厚きところは山に触る/篠原
竹林を出て洛北の秋の雲/佐藤光風
秋の雲担いて王位継承者/対馬康子
ねばりなき空に走るや秋の雲/丈草
秋の雲峡の吊橋渡りけり/八十島稔
丘に住んで秋雲長き晝寝哉/内田百間
係累のある旅秋雲追ふ秋雲/香西照雄
秋の雲杣木の棚のみづみづし/瀧春一
秋の雲浮かべてやがて厨水/吉屋信子
窓あけば家よろこびぬ秋の雲/小澤實
俳句例:41句目~
峡中に入る秋雲の一片と/上田五千石
峰の松秋雲掠め掠めゆく/鈴鹿野風呂
二色の絵具に足るや秋の雲/黒柳召波
逝く秋の雲翔りたり五稜郭/佐藤春夫
枕出せ裏屋にまはる秋の雲/内藤丈草
梨棚の上へ秋雲ひりごり来/関夫久子
引汐や蘆間にうごく秋の雲/永井荷風
松の幹人を倚らしむ秋の雲/山口青邨
秋雲の下に広ごる沃野かな/西村和子
秋雲の凝り上京の意の如し/杉山岳陽
秋雲の白き見つづけ部屋くらし/篠原
秋雲は老の心にさも似たり/高浜虚子
秋雲やふるさとで売る同人誌/大串章
秋雲や羅天ラをわたるなる/尾崎迷堂
夜の秋の雲たむろして馴れし町/雅人
秋雲を縫う岩燕見えそめぬ/飯田蛇笏
今はたゞ敵機仰がむ秋の雲/深田久彌
苅かぶや水田の上の秋の雲/浜田酒堂
凩のまじりて吹くか秋の雲/中村史邦
すい~と流れて早し秋の雲/幸田露伴
俳句例:61句目~
吉野気の離れて白し秋の雲/上島鬼貫
水禍田の一望の黄に秋の雲/宮武寒々
炭竃のみな煙りをり秋の雲/前田普羅
目路の果青田の果の秋の雲/原コウ子
石に踞し仰で秋の雲を見る/寺田寅彦
秋の雲一刷き利根の大曲り/加藤耕子
網干唄の浦山つゞき秋の雲/中川四明
秋の雲大仏の上に結び解け/高浜虚子
秋の雲奥の大湖を今見たり/大森桐明
秋の雲故宮の空に放たるる/西村和子
噴煙はゆるく秋雲すみやかに/橋本鶏二
山国へ秋雲も歩を早むかな/冨田みのる
岩に坐せば秋雲膝に平らなり/内藤吐天
日の入りしあとに秋雲むらがれる/篠原
猿あそぶ嶽の秋雲きえゆけり/飯田蛇笏
虹如す秋雲二点白きは白鳩か/香西照雄
秋雲や昼寝の友のとかさぬ髪/古沢太穂
一族と弟子残し逝く秋の雲/柴田白葉女
日蝕せんとして秋の雲黄なり/寺田寅彦
稚児隼の帰巣や秋雲より一気/奈良文夫
俳句例:81句目~
秋の雲ピント硝子に映りけり/籾山庭後
秋雲離々赤牛を汝が墓標とす/岡田日郎
雌阿寒の噴く秋雲は赭きかな/久米正雄
停りてほぐれつつあり秋の雲/高野素十
秋の雲太虚の風に乗りにけり/日野草城
少しづつゐざる景色や秋の雲/村上鬼城
秋雲は空の溜息かも知れず/後藤比奈夫
秋雲の移りや藪に小さき墓/松根東洋城
秋雲の地球の円に従へり/阿部みどり女
学僧のすめるまなざし秋の雲/河野静雲
夕富士のかくれゐる空秋の雲/高木晴子
秋の雲歳月はやくながれけり/飯田蛇笏
秋の雲気象の青旗は昏れのこり/井上雪
貌の小さい猫と秋雲国ざかい/中島斌雄
秋の雲立志伝みな家を捨つ/上田五千石
秋の雲雨ならむとして海の上/永井荷風
秋の雲飛天のごとく流れゆく/野村美恵
峰を出てそこら遊ぶや秋の雲/立花北枝
昇れば昇る程富士高し秋の雲/高濱年尾
糸巻きに母の色あり秋の雲/長谷川秋子