俳句例:101句目~
別れ蚊帳干すも河畔のくらしかな/諸富芳子
秋蚊帳の干さるるみどり天に富士/村越化石
古蚊帳に別れて灯す柱かな/五十崎古郷句集
秋の蚊も隔つる蚊帳も透くあはれ/石塚友二
ひそ~と寝ねぬ子どちや秋の蚊帳/金尾梅の門
夢に鎌ひし人つれなくて秋の蚊帳/高橋淡路女
芝居みて来て眠るなり秋の蚊帳/久保田万太郎
ふと目覚め蚊帳に別れてゐたりけり/佐藤漾人
みづいろの蚊帳に別れて老いやすし/長谷川双
秋の蚊帳よく眠る母と寝たりけり/大場白水郎
秋の蚊帳よく寝る母と寝たりけり/大場白水郎
秋蚊帳の一と夜一と夜と釣り来しか/石塚友二
腹なりを問はるゝ蚊帳の別れかな/金尾梅の門
秋の蚊帳ふたことみこと言つて寝る/田原陽子
老いぬれば蚊帳の別れも惜しまれて/富安風生
辞儀もなく今日と別れぬ蚊帳に入る/中島月笠
秋の蚊帳たたみてみどり古りにけり/行方克巳
非時除隊の君泊めし蚊帳が別れなる/久米正雄
寝しわれにさやり吊らるゝ秋の蚊帳/篠田悌二郎
さしてゐる日の眩しさや秋の蚊帳/久保田万太郎
俳句例:121句目~
秋の蚊帳たゝめば落ちし蛾のむくろ/高橋淡路女
寝すがたの行儀あはれや秋の蚊帳/久保田万太郎
とことはの御別れ蚊帳となりにけり/竹下しづの女
秋の蚊帳まだあかるきにつられけり/久保田万太郎
明日待ちて秋の蚊帳越しかたればや/久保田万太郎
秋の蚊帳かみなりうすくきこゆなり/久保田万太郎
寝るまへのートときいとし秋の蚊帳/久保田万太郎
別れ蚊帳老うつくしきあしたかな/『定本石橋秀野句文集』