「秋の燈」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「秋の燈」について
【表記】秋の燈
【読み方】あきのひ
【ローマ字読み】akinohi_
子季語・関連季語・傍題・類語など
・秋燈(しゅうとう:shuto_)
・燈火の秋(とうかのあき:tokanoaki)
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季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
秋の燈を含む俳句例
五十八階全階の秋灯/辻桃子
襖立てきれば磐石秋灯/上野泰
病院の正面淋し秋灯/京極杞陽
対岸に雨の秋灯夥し/西村和子
秋灯机の上の幾山河/吉屋信子
秋灯古川温泉赤濁湯/高澤良一
嫋嫋の女形の仕種秋灯/片山暁子
里の灯を岸に浸すや秋の水/成美
秋灯の流しに蛸の墨袋/横山房子
秋灯や青龍刀の触るる舞/角光雄
病間より下げ来し膳や秋燈/汀女
聞法の頭上に高く秋灯/能美丹詠
秋燈や病ひよければ志/細川加賀
対岸の秋燈を入れ薪能/関森勝夫
木母寺の灯に見る秋の行方哉/暁台
あたふたと何捜しゐる秋灯/神崎忠
どの島の秋燈もはや遠し低し/予志
秋灯下古りし机の幾山河/吉屋信子
秋灯や要かなめの小町針/橋本白木
秋灯や夫婦互に無き如く/高浜虚子
俳句例:21句目~
三崎より戻る電車の秋灯/高澤良一
秋燈や円卓螺鈿の鳥の恋/関森勝夫
暁のボウ河秋灯ともす橋/高木晴子
秋燈や夫婦互に無き如く/高浜虚子
秋燈や学期はじめの寮の窓/秋櫻子
行商の人もをりたる秋灯/野中亮介
語り合ふ旅はや遠き秋灯/中村汀女
郷愁を持ちしは昔秋灯/中口飛朗子
学究に年の枠無し秋灯下/中井苔花
針穴に集まるこころ秋灯/中垣成子
貝殻に秋の灯細し蜑が家/大谷繞石
旧近衛師団司令部秋灯/文挟夫佐恵
和ろうそく作り細々秋灯/高澤良一
坑木に愛のらくがき秋灯/西本一都
秋灯に客少なきも祝かな/皆川白陀
市中の秋灯として灯りけり/辻桃子
を獲し貧厨の灯や秋の風/会津八一
夫婦箸姉妹が使ひ秋灯下/後藤綾子
秋灯の交し合ひたる閾かな/上野泰
子の折りし鶴を栞に秋灯/佐藤美恵子
俳句例:41句目~
仮面とりにくる頼家の秋灯/萩原麦草
一つ濃く一つはあはれ秋燈/山口青邨
秋灯や駅にそなへる文庫本/和田郁子
秋灯にヘブライの史書繙けり/坂井建
水滴の兎を秋の灯に放つ/相生垣瓜人
ふと寒くさへ覚えをり秋灯/高木晴子
秋灯に音を忘れし硝子器具/浅賀渡洋
秋の燈や指にをどらす小人形/より江
夜の秋灯なき葭倉匂ひけり/伊藤京子
秋灯に袋の耳を寄せて結ふ/敦賀恵子
祖師堂に昼の灯影や秋の雨/夏目漱石
自ら秋灯となる机辺かな/深川正一郎
卓袱の円卓は朱に秋灯下/野中貴倶子
秋の灯のほつりほつりと京の端/草城
店頭の秋の灯のみづみづし/西村和子
秋灯の一つが頼り帰り来る/工藤隆子
秋灯に大きな振子時計かな/山田弘子
敗戦下秋燈となる風吹けり/萩原麦草
机よりからだの生えし秋灯/依光陽子
秋灯下ピカソの女何を見る/岩崎照子
俳句例:61句目~
秋灯下新刊書より正誤表/新津むつみ
秋灯下長崎港の古図赤し/筒井珥兎子
秋の燈に鰺の焦目の美しき/川崎展宏
合掌の像をうつす秋灯かな/松村蒼石
秋燈にある階段の上り口/波多野爽波
秋燈に膨る聖夜の飾り具店/関森勝夫
秋燈の一つにたつき一つづつ/上野泰
秋燈の華やぐところ海の上/佐川広治
秋燈の角まがるまで見送りぬ/上村占
摩訶蘇波訶秋灯を継ぎ奉る/大橋杣男
秋の燈や机に開く厚き辞書/樋口明子
筆筒も湯呑も秋の灯を容れて/草田男
秋燈絵皿の毬は皿を出ず/磯貝碧蹄館
秋燈蝉の穴より戻り来て/佐々木六戈
管制の灯低く垂り秋燈なり/藤木清子
糶箱の蝦蛄秋灯に鎌を上ぐ/園部雨汀
警報下秋灯に寄せ時計巻く/中村汀女
遺影笑む秋燈の陰ありながら/森田峠
草深く住まへる秋の灯かな/長谷川櫂
秋の燈やゆかしき奈良の道具市/蕪村
俳句例:81句目~
隠れ湯の仕切りなきかに秋灯/島汀子
面映えて智照尼点ず秋灯/小原菁々子
秋の灯へ農婦負ひくる何々ぞ/安東次男
秋灯にかざして眼鏡の球の瑕/高澤良一
秋の灯や二人の一人羽織なし/野村喜舟
秋灯きれいや酒をのます家/成瀬正とし
行く秋の闇を早めし学舎の灯/蒲生繁代
秋の灯の橋をわたれば東京市/京極杞陽
踏切の燈にあつまれる秋の雨/山口誓子
秋の燈の糸瓜の尻に映りけり/正岡子規
秋灯下ひらく写楽のきらゝ摺/岡村一郎
秋の燈を享く向日葵の花の端/下村槐太
岩風呂の秋燈暗し瀬を照らす/福田蓼汀
秋の燈の白さ人形つくりをり/臼田亞浪
その生活手に取るやうに秋燈/高澤良一
たゝみおく羽織に沁みる秋灯/山口青邨
秋灯をともすてふこと旅てふこと/秋を
どの部屋も夫在りし日の秋灯/稲畑汀子
秋灯よのつねならぬ枕辺に/三島由紀夫
秋灯下もはやなげかぬ一茶像/河野友人