俳句例:101句目~
砂風に馬上の禰宜や秋祭/楠目橙黄子
漁夫の手に綿菓子の棒秋祭/西東三鬼
トラックの荷台の舞台秋祭/大貫正子
石鹸の匂ひする子や秋祭り/田中冬二
年よりが四五人酔へり秋祭/前田普羅
上つ毛の家群片寄る秋祭/加倉井秋を
下戸なりし父の遺伝子秋祭/今井操庵
秋祭道ひとところ潮を浴び/友岡子郷
他所者にかかはりうすき秋祭/源一朝
余所者も御酒に和みて秋祭/杉山青風
真つ青き蜜柑も売るや秋祭/西山泊雲
秋祭蝶々小さくなりにけり/前田普羅
海沿の道に灯が点き秋まつり/大串章
在所の名くらく灯りて秋祭/永井一子
坂をなす町すぢが見え秋祭/中村若沙
垣を刈り辻の草刈る秋祭/水原秋櫻子
塩田に影ひく幟秋まつり/佐野まもる
秋祭終の鮨つけ母逝けり/鈴木早通甲
樫の木の蔭も古りけり秋祭/前田普羅
搾乳につれだち帰る秋祭/阿部ひろし
俳句例:121句目~
大いなる里の団子や秋まつり/上村占
秋祭空より届く風のいろ/櫛原希伊子
天照す月のさむさや秋祭/五十嵐播水
一の鳥居濤うちかぶり秋祭/中野鶴平
擦り傷の癒らぬままに秋祭/鈴木鷹夫
秋祭比叡の僧に招かれて/中井余花朗
放生の鯉のゆらりと秋祭/ふじの/茜
秋祭小さき柿をかじるかな/野村喜舟
秋祭り近き里曲のよき日和/田中冬二
秋まつり錻力の金泳がせて/星野繁子
秋祭り声で押し上ぐ樽神輿/桝田国市
少年のどを買ひ居り秋祭/吉岡禅寺洞
秋祭じりじりと日は隣国へ/井上康明
神楽師の一人の酔ひし秋祭/笹原耕春
福耳の後ろから見る秋祭/甲斐多津雄
行人にすゝめる酒や秋祭/楠目橙黄子
漁やめて瑠璃の海底秋祭/百合山羽公
農を継ぎ笛を継ぎたる秋祭/平林青雲
辻ごとに樽酒そなへ秋祭/野村多賀子
還り来し兵にその夜は秋祭/本多草明
俳句例:141句目~
生簀箱畦に乾きて秋まつり/岡本高明
鍋つけて野川暮れ行く秋祭/前田普羅
面売りのおどけ顔もて秋祭/稲生正子
風のみち鳥のみち野は秋祭/藤田湘子
麻だすきして昼寝子よ秋祭/富田木歩
宴たけて教師くははる秋祭/阿部ひろし
寿司桶に酢の香の残る秋祭/吉田ひさ枝
射的屋のむすめものぐさ秋祭/小沢信男
小鳴門をながるる渦や秋祭/水原秋桜子
山坂に山車がつまづく秋祭/百合山羽公
山風にまだ咲く茄子や秋祭/大峯あきら
慾深大明神といふ神様の秋祭/柏木白雨
秋祭きこえて誰も黙し臥す/古賀まり子
灯されてゐるだけの秋祭かな/北川英子
秋祭くろき鳴瀬をよこたへて/平畑静塔
秋祭すみたる浦の子供かな/大峯あきら
相撲取かたまりありく秋祭/五十嵐播水
湖へだてあなたこなたの秋祭/福田蓼汀
わが町にして秋祭あることを/稲畑汀子
秋祭ま近う蚕棚解かれたり/金尾梅の門
俳句例:161句目~
牧水忌島のひとつは秋まつり/飯田龍太
秋祭り近し早目に胡麻刈らん/田中冬二
秋祭リボン古風に来たまへり/平畑静塔
秋祭了えて旧家の通し土間/久保山正雄
秋祭木曽馬の尾も梳かれたる/石河義介
漆黒の闇を川ゆく秋まつり/栗田九霽子
水の秋まつり蒸籠を舟に干す/吉田紫乃
秋祭誘ひに寄りてまだ待つ子/中村汀女
秋祭馬撫でられて老いにけり/花尻万博
秋祭鬼の草鞋の緒が切れし/小川原嘘帥
笛吹いてすぐ終るわが秋祭/小泉八重子
かたつむり木にねむりをる秋祭/上村占
暮れて知る葛西の町の秋まつり/瀧春一
神酒受くる日焼禰宜より秋祭/亀井糸游
かまきりも少きとしの秋祭/百合山羽公
船の名で呼び合ふ浦の秋祭/永松文鳥子
茶屋へ寄る若連中や秋まつり/会津八一
私生児が畳をかつぐ秋まつり/寺山修司
すさまじき落葉の中の秋祭/竹末春野人
ばらばらに賑つてをり秋祭/深見けん二
俳句例:181句目~
街中にふるさとはあり秋祭/深見けん二
川越えて同じ青空秋まつり/百合山羽公
詩碑前に白秋祭の徳利置く/古賀寿美人
踏んばれる百の地下足袋秋祭/松本洋子
踏切は村のつなぎ目秋まつり/桂樟蹊子
ふりむけば夫も来てをり秋祭/鶴間恵子
秋まつり子消し人形川に捨て/寺山修司
べつ甲飴舐めて透かして秋祭/芳原民枝
みな母となり相逢ふも秋祭/小原菁々子
一日の秋にぎやかに祭りかな/正岡子規
光る水載せて堰板秋まつり/百合山羽公
露店立つ前を走り根秋まつり/皆吉爽雨
千木見ればとぶ落葉あり秋祭/皆吉爽雨
夜汽車にてすぎし小駅の秋祭/田中冬二
晴着よりゆふぐれとなる秋祭/山口誓子
鶏の羽の野川に舞へり秋祭/米沢吾亦紅
妻が買ふ起上り小法師秋祭/五十嵐播水
みちばたの蓮の実売や秋まつり/木津柳芽
ふかぶかと森に灯入りぬ秋祭/石田あき子
秋祭生き種子死に種子選りて父/齋藤愼爾