俳句例:101句目～
秋近き水の関所の燈籠かな/長谷川零餘子
秋近し素馨のかほりかやに入る/中川四明
秋近し黄な斑出来て葉鶏頭/長谷川かな女
過ぎしこと水に流して秋を待つ/南雲糸虫
秋近き夜もまだ火照る中華街/宿谷百合香
原宿と越すさき聞きぬ秋隣/久保田万太郎
秋近くサーカスめぐり来りけり/相島虚吼
日のさして来て秋近し草の中/久保田万太郎
風は草を分けて野中の清水秋近し/藤野古白
池ありて鯉すむと聞けり秋隣/久保田万太郎
停車場の灯のみあか～秋近し/久保田万太郎
ゆく水の秋近づくとせせらぐや/稲垣きくの
椅子の向くまゝに湖見て秋近し/大久保橙青
秋近き灯の艶蕎麦の実かりんとう/高澤良一
秋待つはさびしけれども鶏頭植う/細見綾子
栗鼠も来て土はしたしや秋近き/室生とみ子
秋近し吹けばどこ迄とぶ小虫/長谷川かな女
四方の秋ちかやまはまだかすみをり/飯田蛇笏
秋近き底ぬけぶりとなりにけり/久保田万太郎
野雲ながう尾にひく夜半や秋近し/金尾梅の門
俳句例:121句目～
果知らずの記のあとを来ぬ秋の風/河東碧梧桐
秋を待つ佛具一つを買ひ足して/野見山ひふみ
おのづから秋を待つ句の詠めしかな/久保田万太郎
