「初鶏」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「初鶏」について
【表記】初鶏
【読み方】はつとり
【ローマ字読み】hatsutori
子季語・関連季語・傍題・類語など
–
季節による分類
・「は」で始まる新年の季語
・「新年の動物」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
初鶏を含む俳句例
初鶏や富士白々と明心/友之
初鶏の声山光の空はしる/亜浪
初鶏や天地の凍に朗々と/月斗
初鶏や野の八方に道通ず/鴻村
初鶏のなほ眠る山従へて/原裕
初鶏や漸く静なる厨/浅井歌村
初鶏や津守の君が薄化粧/半自
初鶏や昔神達東ヘ/東洋城千句
初鶏は若紫の声ひけり/平井照敏
初鶏に神代の臼と申すべし/一茶
初鶏や大仏前の古き家/松瀬青々
初鶏や農継ぐ家の深庇/塩田晴江
初鶏や明けあを~と谿千戸/諏訪
初鶏やしづかに長き老の息/風生
初鶏や頂上一戸谿十戸/近藤一鴻
初鶏や彩羽躍つて臼の上/野村喜舟
初鶏や又市に住む甲斐ひとつ/蓼太
初鶏やまだつごもりの人の顔/梨葉
初鶏や家中柱ひきしまり/加藤楸邨
初鶏に先立つ隣家の母の声/草田男
俳句例:21句目~
谷深く雪の初鶏きく十戸/京極高忠
初鶏に孟甞君の竃かな/安藤十歩老
初鶏に応ふ鶏ゐる小学校/松岡博水
初鶏の更に遠きは浦隔つ/児玉小秋
初鶏に海暗くあり耳が冷え/中拓夫
對岸の初鶏きくや泊り船/会津八一
初鶏はいつも遠くの方で鳴く/秋を
初鶏の銘酒の里に谺して/木内彰志
初鶏や応へるこゑも闇の中/河野友人
初鶏や暁闇の星わかわかし/小西藤満
初鶏や皆潔斎の湯を了へつ/高田蝶衣
大船の中に初鶏うたひけり/川村鳥黒
放浪の厠にて聴く初鶏よ/堀井春一郎
初鶏となりそこなひし鶏あるく/楸邨
木曽に来て初鶏のこの勁き声/所山花
初鶏に北の底よりの鬨の声/平井照敏
初鶏に海のくらさや耳が冷え/中拓夫
初鶏に糞ひり落せ初からす/会津八一
初鶏に鋤鍬ばらの控へたり/石井露月
初鶏のあとを雪折ひびきけり/岸田稚
俳句例:41句目~
初鶏の一声夢の向こうから/柳田芽衣
初鶏の吾を見てなく畑かな/会津八一
初鶏の声さやかなり宮の馬場/上村占
初鶏の声を遠くに火を使ふ/柿本多映
初鶏の百羽の鶏の主かな/池内たけし
初鶏の籠込の声と思はれず/鷹羽狩行
初鶏の言挙げぞする三輪の杜/原柯城
初鶏の長鳴けば風出でにけり/脇祥一
初鶏の闇の彼方を透し見る/市川百杭
初鶏の面目かけて胸反らし/貫井爽水
初鶏の次までの闇緊りをり/加藤楸邨
初鶏は灯の見ゆる家か否か/会津八一
初鶏やうごきそめたる山かづら/虚子
初鶏や丘に登りて人が泣く/桑原三郎
初鶏や動きそめたる山かづら/高浜虚子
初鶏の吾にあつまる戸口かな/会津八一
初鶏のはばたき降りし秣飛ぶ/工藤節朗
初鶏や庫裡の大炉の火明りに/臼田亞浪
人波へ初鶏とほく声張れり/石川かづ子
初鶏の長鳴き地声出でにけり/池元道雄
俳句例:61句目~
初鶏の入江を渡りきこえ来る/田中冬二
初鶏の鳴いて展ける海の青/阿部美恵子
初鶏や上海ねむる闇の底/久保田万太郎
初鶏は鳴きぬ竃は焚きつけぬ/笠井歎水
初鶏のひと声闇を動かせり/伊藤芙美子
初鶏や怒りほとほと酔に似る/加藤楸邨
初鶏の次の声待つ山河かな/遠藤若狭男
初鶏の家通り越す声に覚む/五十嵐研三
初鶏や子連れの旅の靴履けば/皆川白陀
初鶏や宇陀の古道神ながら/鈴鹿野風呂
初鶏の姿正して鳴きにけり/吉川よしえ
初鶏ののんどしきりにうごかせり/鷺風
初鶏や蒸籠重ねの宵のまゝ/大須賀乙字
初鶏のあとは松吹く嵐かな/筏井竹の門
間をおかずして初鶏につづきけり/澄雄
梁近き初鶏亡父の世も凍てし/栗生純夫
歩を止めて初鶏に声合せみる/江藤ひで
瓏々と初鶏謳ひつゞけけり/高橋淡路女
初鶏に天地大きく明け初めし/熊谷秋月
初鶏のめでたき声を夢うつゝ/高橋淡路女
俳句例:81句目~
アパートの初鶏声をはりにけり/川上梨屋
初鶏やものぐさ太郎の碑をつつき/辻桃子
初鶏に覚めつゝありしとも思ふ/高濱年尾
初鶏は遠くの方でばかり鳴く/加倉井秋を
初鶏の薄目してまた鳴きにけり/石崎素秋
放たれてより初鶏となりにけり/山口鉄石
初鶏の刻つげてなほ風にあり/豊長みのる
浄闇のまだ初鶏を聞かずゐる/下村ひろし
初鶏や手にとるからに火うち石/星野麦人
したたかに初鶏に餌を与へけり/会津八一
初鶏や背戸の海鳴りしづまりぬ/村山たか女
初鶏に目覚めて父母の家なりし/松本みどり
初鶏やひそかにたかき波の音/久保田万太郎
初鶏の身近に啼けばおろかしく/加倉井秋を
初鶏にこたふる鶏も遠からぬ/阿部みどり女
初鶏やカアテン垂れて冬薔藪/竹下しづの女
初鶏や稚児がいふこと皆新らし/加藤知世子
「人の人たれ」初鶏鳥の鳥たるに/磯貝碧蹄館
初鶏やはや御師町の高きより/飛鳥田れい無公
地平の涯からも初鶏のこえがきこえてくる/吉岡禅寺洞