「弓始」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「弓始」について
【表記】弓始
【読み方】ゆみはじめ
【ローマ字読み】yumihajime
子季語・関連季語・傍題・類語など
・的始(まとはじめ:matohajime)
・弓矢始(ゆみやはじめ:yumiyahajime)
・射初(いぞめ:izome_)
・初弓(はつゆみ:hatsuyumi)
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季節による分類
・「ゆ」で始まる新年の季語
・「新年の行事」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
弓始を含む俳句例
緋袴と紫袴弓始/塩川雄三
青年に青年の肱弓始/大島雄作
粥捧げ山鳥捧げ弓始/前山久子
控には林なす弓弓始/村上冬燕
乱好む人誰々ぞ弓始/高浜虚子
的中の二矢に一礼弓始/林昌華
山里の学童八人弓始/奥村梅村
玄海へ放つ禊矢弓始/梅津皓童
弓始め禄百石の指南番/北村雪山
まづ的に慇懃の礼弓始/塩川星嵐
初弓や千年杉の雫して/大竹淑子
矢面に立つ人はなし弓始/桂信子
風花に的の遠のき弓始/内田一郎
弓始大阪人のわが師かな/原月舟
弓始弓の形の国なれば/藤田湘子
顔に弦の影あり弓始/谷水百合子
天清浄地清浄や弓始/河東碧梧桐
白足袋の位置の磐石弓始/岩田千恵
的それて幣を落せし弓始め/檜紀代
こころいま天山にあり弓始/石嶌岳
俳句例:21句目~
的を射て直立まもる弓始/能村研三
もどかしき衣冠の起居弓始/藤井亘
乙女子の手力見よと弓始/土山紫牛
的中の矢が震へをり弓始/新田祐久
会心の一矢とならず弓始/小林呼溪
的遠く雪降りかくす弓始/大橋宵火
地を擦る孔雀の羽や弓始/中島ふき
真つ新な的に日当り弓始め/檜紀代
真星や千代ははづさぬ弓始め/調玉
確と立つ欅の幹や弓始め/石田波郷
鏑矢を矢筒に飾る弓始/岩谷山梔子
音一つふたたび一つ弓始/増成栗人
弓始め射手の少女の白袴/高橋悦男
弓始や天に向つて第一矢/吉田冬葉
弓始一切松林中のこと/加倉井秋を
弓始命中ゆゑの音くもる/能村研三
弓鳴りを天に放ちて弓始/角川春樹
当り矢に幣の上りし弓始/大野林窓
松風の降らせる塵や弓始/上杉緑鋒
弓始真の祈りは口外せず/北野民夫
俳句例:41句目~
いづかたも敵と思はず弓始/赤尾兜子
矍鑠の父初弓の矢を放つ/加賀さとし
ととのふる息こそ聞え弓始/大橋宵火
争はぬことはよろしや弓始/高浜虚子
吐く息のしづかにのぼる弓始/小島健
塵ひとつなき道場や弓始/中村吉之丞
大釜に白湯たぎらせて弓始/西川雅文
老の腰すつくとのびぬ弓始/木村四海
弓始まづ長老の綾だすき/甲斐すず江
渚辺や蜑も見てをる弓始/水原秋桜子
長身のひかへの射手や弓始/山口青邨
弓始大いに弓弦うならせん/長谷川櫂
鯛の絵を的に漁港の弓始/藤田かよ子
祖母の縫ひたまひし袴弓始/井阪月子
鳴く鳶の高みにありて弓始/田中岡衛
弓構へに入ると雪映え弓始/皆吉爽雨
弓始たすき真白くをみななる/吉田速水
矢渡しをゆがけに享くる弓始/内山泉子
打ちいだす弓矢始の太鼓かな/野村泊月
甲矢外れ乙矢あたりし弓始/松沢みさ女
俳句例:61句目~
弓始身よりも長き弓持ちて/山口波津女
雪散らし野鳩翔け出づ弓始/柄沢ひさを
弓始矢羽根白きを一の矢に/塩田たつを
矢のふるへ見えて発しぬ弓始/吉岡恵信
初弓の振袖しぼる白だすき/岸川素粒子
初弓の申し分なき絃の張り/片山那智児
初弓の矢来は昔ほど結はず/平井備南子
射初また谺はじめの松の幹/中戸川朝人
打ちいだす弓矢始の太鼓かな/野村泊月
うら若き娘も打ちまじり弓始/広沢紀念子
弓始め射ぬきて的を揺がしたり/山口誓子
禰宜の矢のおほらかに逸れ弓始/平松措大
弓始め雪の大阿蘇真向に/吉武月二郎句集
初弓や遠く射かけてあやまたず/飯田蛇笏
射初めせし残身をなほ崩さざる/皆吉爽雨
しづかなる射初の音のしてをりし/富安風生
弓始我が朱の弓のはれがまし/川原田薄公英
初弓のまなざし澄みてすずろなる/美川れい
われらまた射初見るなる息を断つ/皆吉爽雨