「若水」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「若水」について
【表記】若水
【読み方】わかみず
【ローマ字読み】wakamizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・若水汲み(わかみずくみ:wakamizukumi)
・若水迎え(わかみずむかえ:wakamizumukae)
・初水(はつみず:hatsumizu)
・若水桶(わかみずおけ:wakamizuoke)
・一番水(いちばんみず:ichibammizu)
・井華水(せいかすい:seikasui)
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季節による分類
・「わ」で始まる新年の季語
・「新年の行事」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
若水を含む俳句例
汲初て若水分る隣哉/浪化
若水や冬木が丘に鐘の声/青々
若水や老を忘れて筒井筒/乙由
藪の穂に北斗輝き井華水/露月
若水や土瓶一つに角田川/一茶
若水や人の声する垣の闇/犀星
灯ともして若水汲める隣哉/鳴雪
若水も初瀬は花の流れかな/月居
若水も割貸し住居一の井戸/繞石
若水や花のつぼみの一釣瓶/蕪村
若水や虚子存問のありどころ/目
若水や車つくりは宇治の者/涼莵
若水や霜の門井の森漏る陽/句仏
若水を汲む杓音の闇深し/峰山清
暁天に残月淡し若井汲む/柊愁生
若水を汲むや南の大河にて/鶴夢
若水に奈良井の宿の杓卸す/青畝
若水や島に畏き帝の井/加藤了谷
若水や柳のかたへあまり行/馬光
若水に皺影笑ふあしたかな/杉風
俳句例:21句目~
若水や真先浴びる紅雀/野村喜舟
若水や硯の湖に花の雲/水田正秀
若水に鰹のをどる涼しさよ/其角
杜若水は薄氷張りしごと/久米正雄
若水や一つの桶へ二釣瓶/小杉余子
六波羅に若水を汲む石畳/松本澄江
若水を大俎に流しけり/合田丁字路
若水や星うつるまで溢れしむ/種茅
若水の溢るる甕のかがやけり/緑葉
源流に落す若水過疎部落/北野民夫
若水や藻に咲く花もこの雫/千代尼
若水や人の聲する垣の闇/室生犀星
若水や糊ごは~の割烹着/吉屋信子
若井汲み神の力を授りし/大橋敦子
若水のけむりて見ゆる静かな/鬼城
若水の鉄気多きを供へけり/吉田鴻司
蛇口より東若水ほとばしる/平畑静塔
水甕へほとばしり出る井華水/俳小星
垣そとを川波ゆけり杜若/水原秋櫻子
若水や星辰澄みて鳴る一樹/村山葵郷
俳句例:41句目~
若水は水道の水くちそそぎ/清水基吉
山里や若水くみの遠あるき/井上井月
帝井に若水汲むや佐渡が島/三輪未央
乳搾り青年牧に若井汲む/高野喜八郎
今も尚井戸の暮しや若井汲む/神九六
汲みとりし若水甕にさざなみす/南北
金色の巫女の元結若井汲む/立花波絵
父在すごと筆洗に若水を/川端紀美子
白き衣の兵ら若水担ひ来し/萩原麦草
若水は鎌倉佳しと思ひけり/飯野砂不
若水や瓶の底なる去年の水/正岡子規
若水に智恵の鏡を磨うよや/服部嵐雪
若水に知恵の鏡を磨うよや/服部嵐雪
若水やむすべば黒き爪の垢/幸田露伴
若水や人のこゑする垣の闇/室生犀星
若水や人汲み去れば又湛ふ/赤木格堂
若水や裏戸を出づる星明り/佐藤肋骨
若水や流るゝうちに去年今年/千代女
若水を遺影の妻と分ち合ふ/野原春醪
若水を飲む百薬の長として/角田サチ
俳句例:61句目~
古戦場なる若水を迎へけり/吉本伊智朗
噴きあげて若水豊かなる生家/道山昭爾
太陽のひびく若水汲みにけり/鈴木太郎
杜若水ただならぬところあり/田中裕明
一睡のあと暁闇の若井汲む/福田甲子雄
若水の闇の重さを汲み上げし/八染藍子
若水を掬びてあさきたなごころ/本井英
若水を汲につけても庵のはる/松岡青蘿
若水や六蔵いまだ明けざるに/立花北枝
若水にはや塵のうく日影かな/籾山梓月
若水を汲む足笹にとられけり/石川桂郎
若水や紺ほのかなる鞍馬苔/下村ひろし
若水に笹の葉まじる谷の水/瀧澤伊代次
若水や三斗ばかりも墨すらん/尾崎紅葉
明け方の星のみどりや井華水/太田寛郎
若水の釣瓶に溢れつゝ汲めり/笹野寿盛
若水のつるべに丸ろき空を上げ/紀千束
ちかき田ぞ神の若井をいただける/誓子
若水や雪の井桁に湛へ澄む/広江八重櫻
若水をまづ頒ちけり藍の甕/森田連雀子
俳句例:81句目~
筆洗の若水に朱を走らしむ/小金井絢子
菖蒲田の鳴き翔つ鴨に若井汲む/由基人
若水や噴井に手指ゆるべつつ/石川桂郎
隣人と闇のつらなる若井くむ/本多静江
若水のあふるる杓の小さかり/久垣/三代
若水を汲む井戸のあり父の郷/小俣由とり
若水のあふれて暁の星あまた/福田萬喜子
若水を汲む深爪のあと滲みて/佐々木瑞人
若水のみどりあふるゝ国に在り/岸秋渓子
若水の冷え心までしみわたる/橋本自然児
若水へ四五歩の酔をかくしけり/石川桂郎
若水桶白木の軽さありにけり/高木みつ子
若水や小女郎の今日おもがはり/幸田露伴
遠洋漁船那智の若水積みて発つ/門みのる
閼伽桶に若水満たしありにけり/西沢信生
若水や夢の世の眉引いてをり/辺見じゅん
ふるさとの若水深き井に汲めり/佐納冬芽
牛小屋も灯りてうれし井華水/村山たか女
浄水器つけて若水たつぷりと/吉田みどり
若水や妹早くおきてもやひ井戸/高浜虚子