「読初」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「読初」について
【表記】読初
【読み方】よみぞめ
【ローマ字読み】yomizome
子季語・関連季語・傍題・類語など
・初草紙(はつぞうし:hatsuzoshi)
・読書始(どくしょはじめ:dokushohajime)
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季節による分類
・「よ」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
読初を含む俳句例
白川静新訂字統読始/黒田杏子
読初の双手に重き劇作史/樋笠文
ある本の海賊版や読初/山口青邨
読初は花鳥諷詠論序説/西村和子
読初や卓上白文唐詩選/高浜虚子
双六めく盲暦を読初に/野澤節子
読初の和漢朗詠集は春/岩崎照子
読初の隣主人見ゆ庭つづき/林翔
倫敦は巧みな宛字読始/藤田湘子
子曰く孔子廟頭読始む/田中水桜
読初の撰び~し書は経/暁烏非無
読初や机上白文唐詩選/高浜虚子
読初の葩餅の由来かな/大橋敦子
読初の巻の十四の東歌/大石悦子
狛氏の裔笛の名手と読始/辻桃子
読初の胸中熱し昭和篇/西田妙子
読初の相聞訛る東歌/秋元不死男
座右の書兵火免れ読始/山口青邨
読初や栞代りの冬紅葉/岩田由美
読初を聴初とせり盲の座/村越化石
俳句例:21句目~
読初の茂吉の眼光りだす/火村卓造
読初や錦古れども湖月抄/飯田蛇笏
読初は父の形見の農日記/百井芳枝
後醍醐の島脱けの段読初/山本杜城
読初や古き季題をなつかしみ/林翔
読初めの今は昔の天竺部/高澤良一
読初や百二十句集師賜ひて/及川貞
読初めや今中世の戦場へ/山本佳子
旅にして西行の歌読初に/佐野美智
読初の一書栞を深くせり/川畑火川
読初や戞々として板響神/石田波郷
巨き手に撲たるるごとし読始/斎藤玄
傾倒する馬鹿一ものを読初/富安風生
創世記花文字もつて読初む/有馬朗人
読初や病む子の漫画三国志/小西藤満
読初や異宗なれども歎異鈔/景山筍吉
虔みて「真理先生」読初め/原田青児
虫ばめる炭俵など読初めに/中川四明
読初の島原乱史地図ひらく/河野静雲
読初の天平の海広かりし/岩淵喜代子
俳句例:41句目~
酒強く恥しき歌人読初めに/矢島渚男
読初はアジア異母兄物語/宇多喜代子
読初や雪墜る音のひとしきり/志城柏
読初の書への抜毛はそつと吹く/林翔
読初は昼にしたりし夜は遊び/森澄雄
読初の本の大きな活字かな/細川加賀
ひらきたる扉の錆朱読始/片山由美子
われになき捨身恋歌読始め/松村多美
読初の心にたゝみ虚子俳話/土山紫牛
読初の張謇傅に地図添へて/田中英子
読初や幼に文字を指にさし/中村汀女
読初や耕二句集を声出して/谷川典大
読初めの突如大海原へ出づ/鷹羽狩行
読初めの蓮如上人御文章/蒲原ひろし
読初の景叙して簡尽したり/荒井正隆
読初や邪馬台国は謎のまま/中村明子
読初にハーン蔵書を千鳥読/平畑静塔
読初や活字の魔性詩の魔性/宇咲冬男
読始紙背に徹すことなくて/岡本圭岳
頭註にひつかかりたり読始/藤田湘子
俳句例:61句目~
読みはじむカフカ池内紀訳/黒田杏子
読み初めの横臥椿子物語/神尾久美子
読み初めや歳々声して創世記/及川貞
門蛙夫読みわれも読みはじむ/及川貞
読初めの大江健三郎迷路なり/沖/和子
読初やナイチンゲール看護論/井出富子
読初や一葉のものかかへ来て/原阿弥女
読初や手慣れそめたる筆写本/西村和子
読初や露伴全集はや五巻/久保田万太郎
せがまれて字のなき絵本読始/嶋田一歩
一二三四五六波羅蜜読始め/竹中碧水史
匂ひ立つものに紙の香読始/梅田実三郎
句の丈に俯仰ひまなし読始/赤松けい子
呵責なき子規の歌論を読初に/斎藤節子
歳時記に載りしわが句を読始/高間礼子
玄孫弟子亜浪序文を読初めに/高澤良一
血湧き肉おどるト伝読初めに/高澤良一
読初といへども去年の栞より/都筑智子
謹みて虚子の俳話を読始/長谷田/義人
雨も佳し芭蕉書簡を読始め/下村ひろし
俳句例:81句目~
読初の出雲風土記に国を恋ふ/木村蕪城
端に日ののりて大冊読はじめ/皆吉爽雨
読初の娘の横顔を頼もしく/鈴木洋々子
読み初めの扉や龍の一朱印/上野さち子
読初の少年のわが負ひしもの/加藤楸邨
読み初めの死を賭す愛の物語/楠本憲吉
読み初めの近視や細字馬太伝/平畑静塔
読初はこゑに茨木のり子の詩/江口井子
謹んで君が遺稿を読みはじむ/高浜虚子
読初めの一気に了る戦記物/下村ひろし
青猫をめでゝ聖書を読み初む/飯田蛇笏
読初の春はあけぼのなるくだり/下村梅子
読初や手に馴染みたる鳥図鑑/小杉伸一路
香燻いて荷風日歴読み始め/阿部みどり女
中国史読み初めに古稀うべなへり/杉本寛
読み初めの僕発止と打て七部集/楠本憲吉
五万分の一黒部白馬読みはじむ/黒岩有径
円空の出遁読み初め「畸人伝」/高澤良一
読初は大和の春をたたふうた/小澤満佐子
読初はイソツプ童話子に聴かす/山下佳子