「屠蘇」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「屠蘇」について
【表記】屠蘇
【読み方】とそ
【ローマ字読み】toso
子季語・関連季語・傍題・類語など
・屠蘇祝う(とそいわう:tosoiwau)
・屠蘇酒(とそざけ:tosozake)
・屠蘇袋(とそぶくろ:tosobukuro)
・屠蘇散(とそさん:tososan)
・屠蘇延命散(とそえんめいさん:tosoemmeisan)
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季節による分類
・「と」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
屠蘇を含む俳句例
同座して老母も屠蘇の小杯/衛
屠蘇重し軽き朱金の酒杯に/草城
屠蘇酌めり前鬼後鬼の山長者/青畝
この窓も大島の景屠蘇をくむ/青邨
金泥の屠蘇や朱塗の屠蘇の盃/漱石
九十の父母揃ふ屠蘇の膳/和田郁子
縁先へお屠蘇と申せ沓の客/森鴎外
此家に輝くや屠蘇の小盃/石井露月
指につく屠蘇も一日匂ひけり/梅室
屠蘇汲むや酌に立ちたる愛娘/梨葉
恵比須まで屠蘇の盃預けけり/野坡
御代ぞ続く屠蘇の大滝竜の口/雪色
屠蘇の酔大福長者となりにけり/紅葉
六十や高野の屠蘇を賜はりて/杉本寛
屠蘇祝ふ傘寿の母を戴きて/大橋敦子
金泥の鶴や朱塗の屠蘇の盃/夏目漱石
髯殿の話し可笑や屠蘇の酔/羅蘇山人
屠蘇酌みてまだ晩年の持時間/柊愁生
七草の屠蘇の色濃く酔ひにけり/桂子
屠蘇の酔生涯知らぬ膝頭/猿橋統流子
俳句例:21句目~
屠蘇匂ふお朝の物の使ひ人/中川四明
屠蘇くむや流れつつ血は蘇へる/楸邨
平凡を仕合せとして屠蘇祝ふ/森白象
いはけなや屠蘇なめ初むる人次第/荷兮
屠蘇臭くして酒に若かざる夕かな/虚子
屠蘇酌むや膳の上なる鶴の羽/大谷句佛
父の座は床の間のまえ屠蘇祝う/森松清
屠蘇祝ふ病みても夫の長寿眉/増田富子
黄鳥にさげものやらん屠蘇袋/松岡青蘿
屠蘇散や夫は他人なので好き/池田澄子
決戦下米塩たまひ屠蘇たまひ/河野静雲
屠蘇つげば頬白鶲つぎつぎに/黒田杏子
金粉の沈める屠蘇を干しにけり/滝戸蓮
次の子も屠蘇を綺麗に干すことよ/汀女
齢高き父より受くる屠蘇の盃/福田蓼汀
屠蘇注ぐや袂の隙に炭火赤し/中村汀女
わが齢肯ひがたし屠蘇を酌む/大橋敦子
戸口より山路はじまる屠蘇の酔/上村占
屠蘇の酔棚田の径を落ちもせず/上田操
屠蘇酌むや南海道の鯨守り/広江八重桜
俳句例:41句目~
屠蘇を注ぐ指美しく婚約す/勝又星津女
大和一の宮三輪明神の屠蘇給ぶ/安住敦
差向ひ屠蘇祝ひ居る長屋かな/篠崎霞山
金盃の重み消えしよ屠蘇注げば/中村汀女
雪沓を穿くときどつと屠蘇の酔/木村蕪城
頽齢の舌にとろりと屠蘇あまし/富安風生
たら~と母につぐ屠蘇こぼれけり/青陽人
一年の計まとまらぬ屠蘇の酔/田中こずゑ
人の世に素直に向ふ屠蘇機嫌/岡本まち子
古妻の屠蘇の銚子をさゝげける/正岡子規
土器の三輪の三つ杉屠蘇を受く/下村梅子
声の似し親子となりし屠蘇祝ふ/前橋春菜
宵年や先づは呑みこす屠蘇の酒/水田正秀
家族いま五人半なり屠蘇を酌む/山田弘子
屠蘇うけて居並ぶ顔を愛しめり/酒井彩雨
屠蘇くめや短くなりしいのちの緒/森澄雄
屠蘇の子や一重まぶたを引継げり/高岡慧
屠蘇の座をはなれて仰ぐ白伊吹/近藤一鴻
屠蘇の酔妻の化粧を子にささやく/西垣脩
屠蘇気分ふつ飛ばしたる一辞令/山田弘子
俳句例:61句目~
仰向けの口中へ屠蘇たらさるる/日野草城
屠蘇祝ひ異国の至友と詩の談義/関森勝夫
屠蘇酒に酔ひつつありて鮨握る/久永芦秋
屠蘇祝ぎて米寿とはそらぞらしけれ/風生
屠蘇飲むは幸を飲む如くなり/相生垣瓜人
山行きの荷を携へて屠蘇の座に/岩垣子鹿
我に過去君には未来屠蘇を酌む/亮木滄浪
母がりの屠蘇の美しとうけ重ね/後藤夜半
猪弾を込めたる友と屠蘇酌めり/萩原麦草
生恥の屠蘇したゝかに膝よごす/小林康治
看護婦もわが家の家族屠蘇の膳/市村不先
言うなら何う屠蘇の顔東風の面/斯波園女
屠蘇飲んでほうと酔ひたり男の子/原田浜人
せはしなき人やと言はれ屠蘇を受く/秋櫻子
曽孫にも屠蘇舐めさすと騒ぎをる/武井三重
屠蘇注ぐや吾娘送りきし青年に/加倉井秋を
嫁ぎ来てその家のならひ屠蘇祝ふ/稲畑汀子
屠蘇散といひて散薬めかせるも/後藤比奈夫
火の国に住みて地酒を屠蘇がはり/大島民郎
山を見て山に見らるる屠蘇機嫌/木附沢麦青
俳句例:81句目~
屠蘇一献妻に感謝のぎこちなく/藤野/重明
屠蘇のむや正座して病なき如し/高橋蒼々子
屠蘇の酔ひ「吉原雀」聞きながら/高澤良一
屠蘇の酔あらはに杣の王子守る/田守としを
屠蘇の酔ひ男の顔のうるはしき/高橋淡路女
屠蘇の眼に吾子の凧もやと見あげたり/耒井
屠蘇の杯船乗りびとと肩ならぶ/小川濤美子
屠蘇の香やほのぼのとして八雲山/吉田冬葉
屠蘇酌みて父の器量を想ひをり/北見さとる
正面になだらかな山屠蘇を酌む/福田甲子雄
屠蘇ごゝちことしは雪の舞ふ街を/林原耒井
老朽ちし妻をあはれみ屠蘇を酌む/高浜虚子
屠蘇酌んでここに一人の太郎冠者/池谷/陶
還暦と謂ふはにかみの屠蘇を酌む/前田忠男
勇み駒盃にふくるる屠蘇を酌む/中戸川朝人
屠蘇酌んで悔なき生と思ふべし/鈴木真砂女
音楽の鳴らぬ他郷の屠蘇に酔ふ/八木三日女
雑煮より屠蘇を密かに好しとせり/相生垣瓜人
父となる子の提げてきし屠蘇に酔ふ/宮田富昭
屠蘇うけてゐてもそゞろに旅を恋ふ/宇田零雨