「蕪」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蕪」について
【表記】蕪
【読み方】かぶ
【ローマ字読み】kabu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・すずな(すずな:suzuna_)
・かぶらな(かぶらな:kaburana)
・据り蕪(すわりかぶ:suwarikabu)
・近江蕪(おうみかぶ:omikabu)
・聖護院蕪(しょうごいんかぶ:shogoinkabu)
・尾張蕪(おわりかぶ:owarikabu)
・天王寺蕪(てんのうじかぶ:tennojikabu)
・日野蕪(ひのかぶ:hinokabu)
・寄居蕪(よりいかぶ:yoriikabu)
・津田蕪(つたかぶ:tsutakabu)
・博多蕪(はかたかぶ:hakatakabu)
・温海蕪(あつみかぶ:atsumikabu)
・小蕪(こかぶ:kokabu)
・大野赤蕪(おおのあかかぶ:onoakakabu)
・伊予緋蕪(いよひかぶ:iyohikabu)
・矢島蕪(やじまかぶ:yajimakabu)
・万木蕪(ゆるぎかぶ:yurugikabu)
・蛭口蕪(ひるくちかぶ:hirukuchikabu)
・赤蕪(あかかぶ:akakabu)
・緋蕪(ひかぶ:hikabu)
・黄色蕪(きいろかぶ:kiirokabu)
・スウェーデン蕪(すうぇーでんかぶ:suedenkabu)
・大蕪(おおかぶ:okabu)
・蕪菁(かぶら:kabura)
・かぶら引く(かぶらひく:kaburahiku)
・かぶら干す(かぶらほす:kaburahosu_)
・干蕪(ほしかぶ:hoshikabu)
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季節による分類
・「か」で始まる冬の季語
・「冬の植物」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
蕪を含む俳句例
寒菊や蕪引たる裏の畑/五城
高々と田園まさに蕪哉/淡々
故郷や蕪引く頃墓参/子規句集
臘八や今朝雑炊の蕪の味/惟然
赤蕪を一つ逸しぬ水迅く/青邨
鷹狩の道にひきたる蕪哉/蕉笠
蕪白し順縁に母送らねば/秩父
幸木ほの紫のかけ蕪/呼子無花果
おく霜の一味付けし蕪かな/一茶
蕪白く沢庵黄なり春夕/会津八一
俤や目鼻かきたる赤蕪/会津八一
塀の泥水仙咲ける蕪畑/滝井孝作
誰かしる今朝雑炊の蕪の味/惟然
赤蕪を吊る粗壁に荒莚/角川春樹
笹緑鰤まくれなゐ蕪白/高橋睦郎
乗鞍に雪光る日や蕪引/瀧井孝作
太陽に黒点出来し蕪かな/原石鼎
袋から童子のごとく赤蕪/原田喬
鷹峯雲放ちたる蕪かな/小川軽舟
風まぜに蕪ひく野の霙かな/信徳
俳句例:21句目~
山焼の雨に終れば鯛蕪/角川春樹
雪晴の伊賀の古町蕪売/橋本鶏二
日中や佛出てゐし蕪畑/関戸靖子
春月や畑の蕪盗まれし/高野素十
長安の夢のつづきの赤蕪/原田喬
日のさせばもどる鶫や蕪引/金子潮
蕪洗ふ男がひとり湖の縁/関戸靖子
能登どこも緋蕪畑を畑境/不破幸夫
手の力そゆる根はなし蕪引/千代女
大釜に煮ゆる蕪や寒施行/大竹孤悠
朝市の味見くさぐさ赤蕪/高澤良一
朝市の真ん中赤き蕪売り/佐川広治
触らねば生涯寂し板間蕪/永田耕衣
くくりたる藁の切つ先赤蕪/原田喬
姉川の入日みだして蕪洗ふ/川勝春
近江路や飾すれ~に干蕪/大谷句佛
街道を西へ歩けば蕪引き/山本洋子
ふと訛出て天王寺蕪買ふ/千賀静子
赤蕪は峠越えくる風の色/和知喜八
赤蕪の百貫の艶近江より/大石悦子
俳句例:41句目~
届きけり霰ちる日の蕪寿し/飴山實
賽の神へ畝深くたて蕪畑/吉田紫乃
山見えて蕪の歩く無人駅/平林孝子
霜月や京の小蕪の美しき/角川春樹
菜のはなや畑まぶりの大蕪/毛がん
負ふものに柱一本蕪むし/石田勝彦
蕪はこぶ女盛りの紺絣/つじ加代子
雪掘りて雪の甘みの葱蕪/細谷鳩舎
掘起す蕪の根そゝくしくれ哉/吟江
洗ひても洗ひても赤蕪かな/大串章
長蕪の青首曲る小春かな/細谷不句
冬川や蕪流れて暮かゝり/加舎白雄
大切なものでもなくて大蕪/倉本岬
蕪の禅画禅味の風吹かす/高澤良一
里人や深泥ケ池に蕪洗ひ/尾崎迷堂
月光の降るにまかせて大蕪/中田剛
蕪大根時羞の奠を具へけり/寺田寅彦
蕪干して軒の歪みの見ゆるかな/死洒
とし玉の蕪菜かろげや黒木うり/蝶夢
蕪洗ふ鞍馬の水の早さかな/赤塚五行
俳句例:61句目~
蕪蒔く唐人といふ名の小里/岩佐千代
まだ濡れてゐる夕市の紅蕪/新田祐久
赤蕪笊うす濡れて二日経つ/伊藤敬子
辛口や蕪飴色に煮冷まして/石川桂郎
むまさうな蕪に似て円相圖/高澤良一
露の蕪抜いておどろく声洩らす/楸邨
餅つく頃蕪は土出て肌並べ/香西照雄
丈高き青鬼灯や故園蕪る/池上浩山人
餅焼けて蕪酢づけは箸やすめ/及川貞
寂光院までの古みち蕪引く/鍛治桂子
蕪干して軒の歪みの見ゆるかな/死洒
冬蕪の真つ白な尻積みあげゆく/太穂
蕪引河南の路に似たるかな/数藤五城
大空のました帽子かぶらず/尾崎放哉
天才を産せし村の蕪かな/長谷川太虚
嫁がせて何となくゐる蕪畑/関戸靖子
土を出て蕪一個として存す/中村汀女
想軽く一句成りたる蕪かな/尾崎迷堂
春雨や人住みて煙壁を洩る/五車反古
木曽駒に雪きて蕪もろ手抜き/下田稔
俳句例:81句目~
桟橋をふさぎて洗ふ近江蕪/和田祥子
母の忌はかならず晴れる蕪畑/澁谷道
水飼ひの赤蕪芽吹き小鉢皿/石川桂郎
濁り江に出荷のための蕪洗ふ/森田峠
牛のための赤蕪育つせつに赤く/林火
留守の間につゐ煮てゐる蕪菜哉/馬光
白玉の蕪を包丁始めかな/山下喜代子
笹みどり鰤まくれなゐ蕪白/高橋睦郎
紅葉連山赤蕪掘りが働ける/和知喜八
紅蕪うす日に干して湖の町/西村公鳳
緋の蕪の三河島菜に誇つて曰く/子規
緋蕪一つ育つ子の畑万愚節/大橋敦子
飛騨一之宮抜きたての赤蕪/金子青銅
葉を切つて趣もなき蕪かな/喜谷六花
蕪四角に切り朝からの均衡/山崎愛子
あたたかき月のひかりに浸る蕪/中田剛
巣燕やつられて買へる蕪の紅/石川桂郎
抜き残す赤蕪いくつ余寒哉/芥川龍之介
蕪甘く煮えて任地の住み心地/田中英子
雪はげしかり劉生のかぶらの絵/中田剛