「冬の鵙」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「冬の鵙」について
【表記】冬の鵙
【読み方】ふゆのもず
【ローマ字読み】fuyunomozu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・冬鵙(ふゆもず:fuyumozu)
・寒の鵙(かんのもず:kannomozu)
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季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の動物」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
冬の鵙を含む俳句例
冬の鵙放言癖を虔めと/脇祥一
一徹な男の眉間冬の鵙/石川辛夷
巡礼の老のよき顔冬の鵙/向笠和子
低くとぶ分水嶺の冬の鵙/河合凱夫
冬鵙や風が磨ける石畳/大岳水一路
山に向く複線工事冬の鵙/飯田弘子
一川を引いて他なし冬の鵙/斎藤玄
少年に白紙おかれて冬の鵙/桂信子
一本の白髪おそろし冬の鵙/桂信子
大学に兵舎残れり冬の鵙/丹羽登代
古戦場訪ふ冬鵙の猛る駅/岡田游子
沐浴の胸にまつすぐ冬の鵙/下田稔
忘恩の囚の頬骨/冬の鵙/野村秋介
廃鉱の空縄張りに冬の鵙/菅原文子
冬の鵙墓犇きてあるばかり/石田波郷
パン袋掌に冬鵙とはたと会ふ/原田喬
冬の鵙荷役いたみの石の階/石田晶子
冬の鵙誓子第一線を退く/橋本美代子
冬の鵙遁れ来りし如くなり/石田波郷
冬の鵙醫師に訴ふ聲甘し/石田あき子
俳句例:21句目~
吾に子の五十年忌や冬の鵙/西村公鳳
女面割つて修羅断つ冬の鵙/勝村茂美
冬鵙の目の張り朝日水に射す/桂信子
寒の鵙墓犇きてあるばかり/石田波郷
小さくてその面構冬の鵙/小檜山繁子
山削る音昨日より冬の鵙/船坂ちか子
檣頭にこゑ切り落す冬の鵙/山口誓子
冬の鵙時に石打つ乙女の鍬/飯田龍太
冬鵙や分秒に塔暮れてなし/井沢正江
死者の髪伸びる刹那を冬の鵙/今井豊
沈黙の筋を通して冬の鵙/香川千江子
冬鵙や山稜に日の環ふるへ/矢島渚男
磔像に切傷ふやす冬の鵙/成瀬桜桃子
稲架竹に青さ残れり冬の鵙/椎木嶋舎
耳病むや近く遠くに冬の鵙/斎藤愼爾
冬鵙や高干をして男シヤツ/遠藤梧逸
冬鵙よ汝の贄は薄目して/大木あまり
磨かれし冬鵙のこゑ生駒山/廣瀬直人
端役にも心動かすとき冬鵙/高澤良一
誰もゐない公園冬鵙枝移り/大高弘達
俳句例:41句目~
冬の鵙空に盲ふるごとくなり/矢島渚男
冬鵙が家族のごとし喪の終り/中山純子
冬鵙が恋しや咽喉に湿布して/三橋鷹女
冬鵙となる一幹に夕日透き/神尾久美子
冬鵙に常より小さく髪束ね/長谷川秋子
一揆の地いま名水の地寒の鵙/上野英一
冬の鵙病者の一人ふりむける/椎橋清翠
冬の鵙男に老いのはやきかな/大野悠子
冬鵙の贄なるものの鼻の穴/大木あまり
冬鵙や鏡みがいて朝始まる/田口美喜江
冬鵙の鳴かで渡りぬまむし沢/青木重行
冬の鵙かんばせ七つ茫々たり/鈴木湖愁
人間をやめるとすれば冬の鵙/加藤秋邨
冬鵙や手術の髪を切らぬ意地/朝倉和江
冬鵙や流されゆかむ転居の荷/手塚美佐
冬鵙や百姓肩をまろめ来る/米沢吾亦紅
冬鵙を前や俳句は気合いもの/高澤良一
冬鵙や骨壷しかと抱きゆく/小野寺安居
冬の鵙いぶかしむ子の眸に朝暾/瀧春一
冬鵙や針山待針咲くがごと/大峯あきら
俳句例:61句目~
師の声のある日の声を冬の鵙/石川桂郎
師の聲のある日の聲を冬の鵙/石川桂郎
冬鵙や足になじまぬ露地草履/斉藤小夜
志賀直哉今も栖むかに冬の鵙/右城暮石
冬鵙や綺羅を野道にかがやかす/桂信子
寒鵙の今を墓守の妻も聴けり/下村槐太
冬鵙切に泣けど動かぬ遺髪塚/原子公平
太陽の淋しさに在り冬の鵙/河原枇杷男
冬鵙や石も煤けて工都の墓地/北野民夫
父は言葉失い冬の鵙を聞く/田川飛旅子
冬の鵙裾なき山が湖の上に/米沢吾亦紅
神のもの神の火に焚く冬の鵙/池田幸利
光陰をほづえにわする冬の鵙/飯田蛇笏
素寒貧冬の鵙来て啼きにけり/高澤良一
冬の鵙人をいざなふ声からび/岩田昌寿
言ふも悔言はざるも科寒の鵙/野澤節子
いまありし鋭声かへらず冬の鵙/井沢正江
冬の鵙五十路はものゝ遽なり/米沢吾亦紅
冬の鵙伐折羅は指を地へひらく/橋本鶏二
冬の鵙切り火の声をもらしけり/石飛如翠
俳句例:81句目~
冬の鵙啣へしものを垂らしけり/勝又一透
冬の鵙ももいろの骨捨へといふ/水野恒彦
冬鵙に天あり孤児の提げしもの/加藤楸邨
待つに鳴く二た声までも冬の鵙/石塚友二
後れ毛のあるいは冬の鵙なるか/橋石和栲
冬鵙のぎうと落柿舎暮れにけり/高澤良一
冬鵙のさびしきときは樹を離れ/中島ふき
暮れきつてつひの絶叫冬の鵙/野見山朱鳥
冬鵙や取り替へきかぬ山の数/大木あまり
冬の鵙頸かしげゐて人を過す/米沢吾亦紅
黙殺をもてとゞめ剌す冬の鵙/上田五千石
冬の鵙飛んで大きく見えにけり/猪股洋子
前向けばうしろ見られて寒の鵙/長谷川双
冬鵙や寺の日暮れは一段づつ/小島千架子
目端利く冬の鵙とはなりゐたり/高澤良一
冬鵙の顔をはなるる日射かな/小島千架子
天辺に個をつらぬきて冬の鵙/福田甲子雄
射程距離にて冬鵙の尾を振れる/岸風三樓
はみだされゆく農なるや冬の鵙/影島智子
まばたきに十年を消し冬の鵙/堀井春一郎