「除夜の鐘」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「除夜の鐘」について
【表記】除夜の鐘
【読み方】じょやのかね
【ローマ字読み】joyanokane
子季語・関連季語・傍題・類語など
・百八の鐘(ひゃくはちのかね:hyakuhachinokane)
–
季節による分類
・「し」で始まる冬の季語
・「冬の行事」を表す季語
・「仲冬」に分類される季語
月ごとの分類
除夜の鐘を含む俳句例
胴炭も置心よし除夜の鐘/不白
鍋のもの暖め直す除夜の鐘/福島司
又一つ風の中より除夜の鐘/岸本尚毅
除夜鐘韻即時過現未如是我聞/林昌華
除夜の鐘金輪際の暗みより/平畑静塔
除夜の鐘父が厠へ足摺りて/皆川白陀
除夜の鐘小児病棟異常なし/水原春郎
除夜の鐘焔さかりのいま終る/井上雪
街中に大寺除夜の鐘撞かず/高濱年尾
除夜の鐘撞きて俄に今日遠し/福井仁
除夜の鐘妻に小さな耳の穴/辻田克巳
空襲の乱打の鐘を思ふ除夜/三橋敏雄
除夜の鐘この時見たる星の数/原石鼎
寺多き京都の山や除夜の鐘/福田把栗
湖へ四ヶ寺除夜の鐘鳴らす/松井利彦
絶えかけし命一つを除夜の鐘/中勘助
煩悩とも忘恩とも除夜の鐘/川崎展宏
除夜の鐘幾谷こゆる雪の闇/飯田蛇笏
牡蠣船の大繁昌や除夜の鐘/清原枴童
恙なく一家の揃ふ除夜の鐘/梅沢信作
俳句例:21句目~
六角堂六面とざす除夜の鐘/西川織子
重ねおく紅型帯や除夜の鐘/大嶺清子
除夜の鐘月の幾山ひゞきゆく/辻本青塔
時雨月をり~除夜の鐘照らす/高濱年尾
除夜の鐘柞の森を圏の中に/加倉井秋を
水を掃く音一としきり除夜の鐘/上村占
除夜の鐘疼痛地獄解きたまヘ/西本一都
除夜の鐘葱の白さを洗ひ上げ/安村敏子
津々浦々還らぬ骨や除夜の鐘/川崎展宏
除夜の鐘雲辺寺より天伝ふ/百合山羽公
また一つ風の中より除夜の鐘/岸本尚毅
海老寝して一韻二韻除夜の鐘/猿山木魂
火を修し水を修して除夜の鐘/高橋克郎
灯を煌と泊船並ぶ除夜の鐘/下村ひろし
除夜の鐘静かな雪を誘ひけり/都谷文子
除夜の鐘音高らかに締りけり/清原枴童
甘きもの頻りにほしく除夜の鐘/原石鼎
町と共に衰へし寺や除夜の鐘/高浜虚子
人夫々音色それぞれ除夜の鐘/弓場汰有
磯山の扼す真闇に除夜の鐘/八木林之介
俳句例:41句目~
今年見し花も紅葉も除夜の鐘/川崎展宏
空耳か夢かかそかな除夜の鐘/岡本昼虹
約束のひとつ果せず除夜の鐘/高岡昭子
堂塔の闇あたらしき除夜の鐘/狹川青史
大榾に火の移りたり除夜の鐘/松尾隆信
萬寿寺の界隈に住み除夜の鐘/徳永球石
失ふも得しも百年除夜の鐘/甲斐すず江
奥武蔵雪山ならぶ除夜の鐘/水原秋櫻子
妻よ聴け観世音寺の除夜の鐘/河野静雲
蒼然と鉄心の鐘除夜を待つ/下村ひろし
除夜の鐘聞きつつ長き髪洗ふ/中村節代
除夜の鐘いつもの道が靄の中/岩田由美
除夜の鐘きく約束を起しやる/原田種茅
島と島交互に除夜の鐘鳴らす/阪上史琅
除夜の鐘きゝ煩悩の髪を剃る/一田牛畝
除夜の鐘全天の星動き初む/中林美恵子
除夜の鐘吾身の奈落より聞ゆ/山口誓子
全身の水の波紋や除夜の鐘/宮川としを
除夜の鐘大き雫にあたりたる/宮坂静生
戦争の世紀よさらば除夜の鐘/紙野康美
俳句例:61句目~
除夜の鐘愈々雨のふりしきる/徳川夢聲
念々と次の音を待ち除夜の鐘/加倉井秋を
除夜の鐘一打して身の軽くなる/松尾隆信
除夜の鐘建長寺先づ撞き出でし/小村塘雨
病み克ちし身に殷々と除夜の鐘/中嶋秀子
けふもまた月の障子や除夜の鐘/岸本尚毅
除夜の鐘その第一打撞きにけり/高浜年尾
除夜の鐘うしろへひゞく前も闇/山口草堂
除夜の鐘つきをさめたる僧の息/西島麦南
除夜の鐘撞きはじめしは伯耆坊/山本杜城
除夜の鐘ぬる湯の壁に響きけり/会津八一
除夜の鐘星は地平に墜ちにけり/島田セツ
除夜そして一碧楼忌鐘を打つ/松田ひろむ
祖よりの青岸渡寺の除夜の鐘/榎本冬一郎
一痕の月に鳴りゆく除夜の鐘/塩崎晩紅里
亡妻よ聴け観世音寺の除夜の鐘/河野静雲
今年又患家に聞きし除夜の鐘/坂本ひろし
北辰のひかる方より除夜の鐘/宗像夕野火
吾をみとる妻も聞きをり除夜の鐘/上野泰
大津絵の鬼が火を焚く除夜の鐘/渡辺信子
俳句例:81句目~
除夜の鐘今を鳴るなり善光寺/甲田鐘一路
除夜の鐘敷居の上に立ちしとき/高室呉龍
寒くなれば篝にも立ち除夜の鐘/星野立子
岡寺にこだまやすらふ除夜の鐘/山田孝子
除夜の鐘撞く列にゐる妓かな/野田瑠璃子
除夜の鐘撞く一と呼吸二た呼吸/後藤一秋
除夜の鐘撞くや焚火へ尼も来て/高濱年尾
我宿も寺領のうちや除夜の鐘/今井つる女
除夜の鐘ナース小窓にある偽薬/姉崎蕗子
時計みな合せて除夜の鐘を待つ/道川虹洋
若僧ののけぞって打つ除夜の鐘/白井良治
水甕に水も充てけり除夜の鐘/中村草田男
除夜の鐘一山の闇揺らしけり/田守としを
浜の寺山の寺より除夜の鐘/きくちつねこ
除夜の鐘燈を向けて水流れゐし/館岡沙緻
用ひとつ忘れ心地に除夜の鐘/岩崎きゑ子
除夜の鐘かすかに聞え深雪かな/清原枴童
除夜の鐘真顔となりし子に対ふ/原田種茅
除夜の鐘聴くや炭斗引寄せて/五十嵐播水
除夜の鐘きき堪へぬらし夫寝ねぬ/及川貞