「柚子湯」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「柚子湯」について
【表記】柚子湯
【読み方】ゆずゆ
【ローマ字読み】yuzuyu_
子季語・関連季語・傍題・類語など
・柚子風呂(ゆずぶろ:yuzuburo)
・冬至湯(とうじゆ:tojiyu)
・冬至風呂(とうじぶろ:tojiburo)
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季節による分類
・「ゆ」で始まる冬の季語
・「冬の行事」を表す季語
・「仲冬」に分類される季語
月ごとの分類
柚子湯を含む俳句例
手術痕改め入る冬至風呂/高澤良一
冬至湯の煙あがるや家の内/前田普羅
冬至湯に絆創膏も浸りゐて/高澤良一
柚子風呂に浸す五体の蝶番/川崎展宏
柚子湯出て夫の遺影の前通る/岡本眸
金星と月を左右に柚子湯かな/橋本薫
柚子湯出て蹠に荒き畳の目/菖蒲あや
生涯の女書生や柚子湯して/黒田杏子
白々と女沈める柚子湯かな/日野草城
柚子湯の煙あがるや家の内/前田普羅
燈台に波あがる見て冬至の湯/針呆介
三更の月天心に柚子湯かな/太田光子
若き日の火筒暮しや冬至風呂/柴田保人
柚子湯出て櫛目の深き妻の髪/岡田貞峰
剃刃の傷あとうづく冬至風呂/河野南畦
柚子風呂にひたす五体の蝶番/川崎展宏
釜茹でを承知の上の冬至風呂/高澤良一
十年の宿痾の癒えし冬至風呂/池田博子
柚子湯してよき転職の一日目/都筑智子
今更に母の手細し冬至風呂/古賀まり子
俳句例:21句目~
五六日半鐘きかぬ柚子湯かな/増田龍雨
熱き湯に痒み覚えぬ冬至風呂/高澤良一
一升星硝子戸越しに冬至風呂/田中冬二
勉強のわが少年に柚子湯の香/細川加賀
柚子湯出て枯山の日に歩きけり/石原舟月
柚子風呂に妻をりて音小止みなし/飴山實
とっぷりと柚子湯につかる風の音/林民子
なつかしや柚子湯は熱く青文身/石川桂郎
竹くべし音すさまじき冬至風呂/前田普羅
柚子湯して髪ゆたかなる山乙女/有泉七種
柚子湯出て家族の中に戻りけり/藺草慶子
よき眠り給へ柚子湯の香を夜具に/杉本寛
歳月を浮かべ沈めて冬至風呂/佐々木早月
庭掃除すませ今宵は柚子風呂に/大原雅尾
三従の身を深々と柚子湯かな/加藤安希子
柚子湯ほのぼのと牛啼く声聞ゆ/松村多美
柚子湯出て山姥のごと横坐り/大木あまり
念願のセンサーにして冬至風呂/白鳥順子
四十の肉やはらかき柚子湯かな/黒田杏子
武蔵野や柚子湯を貰ふ宵ながら/石川桂郎
俳句例:41句目~
柚子湯出し素顔のままに長電話/西村和子
冬至湯に乳房の谷を深くして/金久美智子
星辰のことふと思ふ柚子湯かな/仙田洋子
傘もちてささで戻りぬ冬至風呂/宮武寒々
冬至風呂上面うめたぐらいでは/高澤良一
夫の恩人の恩柚子湯勿体なし/殿村菟絲子
雨音やひとりの柚子湯愉しめば/安田晃子
痩せこけて肩の骨立つ柚子湯哉/瀧井孝作
柚子湯してぬくもる嬰を皿秤/佐藤美恵子
柚子風呂に聖痕のなき胸ひたす/有馬朗人
柚子湯流せば日本に星いつぱい/今瀬剛一
柚子湯沁む無数の傷のあるごとく/岡本眸
柚子湯して命の末の見ゆるかな/小林康治
子が蹠膝にふわりと柚子湯の香/林原耒井
旅はもう叶はぬ母に柚子湯立て/樹生和子
ちちははの慰めあひし柚子湯かな/廣瀬直人
ほのぼのと母の首ある柚子湯かな/保坂春苺
むつかしい一日が暮れ柚子湯の柚子/桂信子
一族郎党が沈んでゐる柚子湯かな/八木忠栄
創痕の臍にて止まる柚子湯かな/萩野をさむ
俳句例:61句目~
古びゆくいのち柚子湯に沈めをり/杉山岳陽
天上の湯浴みをここに柚子湯かな/渡辺恭子
女工たち声あげ入りて柚子湯たり/菖蒲あや
妙案の浮かべるごとく柚子湯の柚/高澤良一
子育てし乳房柚子湯にいとしむも/吉野義子
存念やこの身大事と柚子湯して/宇多喜代子
旅どまり柚子湯に入れて貰ひけり/小澤碧童
柚子湯して五欲も淡くなりしかな/小林康治
柚子湯して厨に残す柚子ひとつ/明比ゆき子
柚子湯です出て来る客に這入る客/川崎展宏
柚子湯もう握り潰してありし柚子/岩田由美
柚子湯出て妻のクリーム少し塗る/雨宮昌吉
子の忘れし乳房漂ふ柚子湯かな/丹間美智子
沈めたり浮せたりして柚子湯かな/今橋浩一
独り身の客に柚子湯をすすめけり/白岩三郎
生き延びて柚子湯を華と溢れしむ/菱田好穂
胸の灯を点す柚子湯となりしかな/小林康治
のごとく啼きぬ柚子湯の柚子押せば/岡崎光
とくとくと血は巡るかな冬至風呂/中村苑子
二人には煮つまりすぎし冬至風呂/武田和郎
俳句例:81句目~
冬至湯の柚子と浮沈の子がふたり/野中亮介
冬至湯の湯気まうまうを纏ひ出づ/高澤良一
冬至風呂せめてゆつくり入りけり/小川竜雄
現身をもて冬至湯を溢れしむ/松岡ひでたか
柚子湯して柚子とあそべる独りかな/及川貞
柚子風呂に一生を経しごとくあり/蒔田光耕
柚子風呂に吾が胸いだく愛すごと/菖蒲あや
柚子風呂に離れ住む子を思ひけり/藤原照子
柚子風呂のあとみごもりの深睡り/仙田洋子
柚子風呂を母在りし日のごと沸す/栗原米作
二千年来るともかくも冬至の湯/北見さとる
いつさいを柚子湯に沈め生家なり/辻美奈子
臍ひとつしみじみとあり冬至の湯/角川春樹
香の深き柚子湯や年のけぢめとす/加藤知世子
遅き子に柚子湯の柚子を一つ足す/船坂ちか子
柚子湯出て慈母観音のごとく立つ/上田五千石
金溜まることに縁なき柚子湯かな/鈴木真砂女
雨やがて霧となりたる柚子湯かな/鈴木しげを
柚子湯して「石版東京図絵」と決む/永井龍男
柚子の里いづこも真昼柚子湯わき/古賀まり子