「年忘」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「年忘」について
【表記】年忘
【読み方】としわすれ
【ローマ字読み】toshiwasure
子季語・関連季語・傍題・類語など
・忘年会(ぼうねんかい:bonenkai)
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季節による分類
・「と」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「仲冬」に分類される季語
月ごとの分類
年忘を含む俳句例
年忘昔念者と若衆かな/青峨
お噺も芸の中なり年忘/小波
年忘れ最も老を忘れけり/風生
酌下手の妻を呵るや年忘/草城
行灯を消せば鼠の年忘れ/丈草
春かけて旅の万や年忘れ/惟然
馬方や恋を罵る年忘/角田竹冷
折角に忘れて居たを年忘/一茶
笑より涙あふれて年忘れ/林翔
屋敷から梅もらふたり年忘/暁台
いかめしや鯨五寸に年忘れ/樗良
三河より五人の女年忘/渡辺竹子
山の貌ながめつくして年忘/黛執
新橋の奥の細道年忘れ/高澤良一
年忘乱に至らず終りけり/桜坡子
川舟やこたつしこみて年忘/成美
久闊も昨日会ひしも年忘/堀恭子
二次会の階段狭き年忘れ/斉藤節
人々の中に我あり年忘/清崎敏郎
人に家をかはせて我は年忘/芭蕉
俳句例:21句目~
年忘橙剥いて酒酌まん/正岡子規
今もなほ戦の歌を年忘れ/森田峠
歌よみの猛き言の葉年忘/森田峠
年忘一木の瘤拳打ち/上田五千石
年忘終り一等星を見き/池田秀水
幽冥へ去りし論客年忘/千原叡子
衝立の花鳥はなやか年忘れ/木国
駅近き会場と決め年忘/稲畑汀子
鳥の心は知らず年忘れ/松尾芭蕉
厨にも味見の客や年忘/坊城中子
黒膳の整然並ぶ年忘/高木/静花
忘年や醸れて梅酒の真紅/辻桃子
年忘噂の主も参じけり/荒井正隆
森の影ある忘年の葱畑/和知喜八
同人会忘年会と金嵩む/高澤良一
我を入ると膝あひゆづる年忘/元
月まぶし忘年会を脱れ出て/遷子
大名に酒の友あり年忘れ/炭太祇
大男腰をかがめぬ年忘/草間時彦
遅参なき忘年会の始まれり/普羅
俳句例:41句目~
家の子に酒ゆるしけり年忘/士喬
小僧等に法問させて年忘れ/蕪村
一湾の眺めを肴年忘れ/佐藤鬼房
居酒屋に日雇ら足る年忘れ/昌寿
玉子吸ふ女も見えつ年忘/黒柳召波
いきいきと話に尾鰭年忘/西川織子
アジトから男が届く年忘/櫂未知子
この町に料亭ひとつ年忘/上崎暮潮
年忘れ老は淋しく笑まひをり/虚子
房州の波を見に来つ年忘/野村喜舟
独り者ゐるが興添へ年忘/山田弘子
牛の子の角や待つらん年忘れ/荊口
年忘れ府中帰りの南部黒/中村史邦
年忘侍りて下戸の刻ながし/金子潮
一輪の梅を見て来ぬ年忘/山口青邨
一門の人を集めて年忘/寿々木米若
忘年の駅乗り過ごす為体/高澤良一
戦争の句を忘るるな年忘/黒田杏子
句を作る屏風の陰や年忘/山口青邨
年忘妾宅といふ恥るもの/野村喜舟
俳句例:61句目~
夜十時より看護婦の年忘/樋口陵雨
また一つ訃の加はりし年忘れ/原裕
まだ若しまだ若し交す年忘/及川貞
泣き人形交々叩き年忘れ/川村紫陽
年忘面々無職ながら生く/高田蝶衣
冒頭にひとりを悼み年忘/細川加賀
凭るるに一壁はあり年忘/綾部仁喜
雀見て忘年会へ急ぐかな/岸本尚毅
半日は神を友にや年忘れ/松尾芭蕉
毒舌も親しさのうち年忘/山田弘子
甘口の酒も好みや年忘/大場白水郎
来て泊る横川の僧や年忘/高田蝶衣
糟糠の妻にも一つ年忘れ/相馬沙緻
耳しひに声々は楽年忘れ/皆吉爽雨
腰掛の樽叩きつれ年忘/肥田埜勝美
若き人ゐなくて愉し年忘/田中裕明
襟巻と手袋買つて年忘れ/田中冬二
酒量落つ話どうでも年忘/高澤良一
酔臥の妹なつかしや年忘/黒柳召波
階段の上のくらがり年忘/藺草慶子
俳句例:81句目~
須弥壇の闇に隣し年忘れ/亀井糸游
飛行距離伸ばさぬ鳶と年忘れ/原裕
家中衆のしのびしのびや年忘/召波
忘年の城全燈を灯しけり/館岡沙緻
忘年の山遠ければ遠き闇/平根良子
忘年の水の上にある虫柱/山尾玉藻
忘年の街に別るる好敵手/椎橋清翠
忘年や本物は見ぬ己の顔/出井一雨
年忘れ一本杉の唄が出て/高澤良一
忘年会一番といふ靴の札/皆川盤水
口裏を合せかねゐる年忘れ/石原八束
年忘老は淋しく笑まひをり/高浜虚子
年忘れ徒食は人の屑ならむ/西本一都
海原をうしろに昼の年忘れ/松根久雄
師直の憎さが足らず年忘れ/西本一都
猪鍋の火がやや強し年忘れ/土方秋湖
生きて泣く籏こと給ふ年忘/石川桂郎
生き残りたるは四五人年忘/野原春醪
しろ金や霰ふる夜の年忘れ/上島鬼貫
御勝手にお唄ひなされ年忘/高澤良一