「煤払」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「煤払」について
【表記】煤払
【読み方】すすはらい
【ローマ字読み】susuharai
子季語・関連季語・傍題・類語など
・煤掃(すすはき:susuhaki)
・煤おろし(すすおろし:susuoroshi)
・煤の日(すすのひ:susunohi)
・煤竹(すすだけ:susudake)
・煤竹売(すすだけうり:susudakeuri)
・煤籠(すすごもり:susugomori)
・煤逃(すすにげ:susunige)
・煤湯(すすゆ:susuyu)
・煤日和(すすびより:susubiyori)
・年の煤(としのすす:toshinosusu)
・煤見舞(すすみまい:susumimai)
・煤の餅(すすのもち:susunomochi)
–
季節による分類
・「す」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「仲冬」に分類される季語
月ごとの分類
煤払を含む俳句例
長持に鶏啼きぬ煤払/藤野古白
煤払ひ神官畳めつた打ち/林徹
命綱つけ大寺の煤払/阿部昭子
天守閣より煤掃の命綱/長田等
煤掃て障子張日や梅一枝/呑獅
剥落の千体佛や煤払/清野暁子
心得し人等に任す煤払/安原葉
月宮や白衣の上張り煤払/幽山
もゝしきや桜の枝を煤掃/三蝶
煤払車磨いて終りけり/小松和子
煤払囃す鉦鼓や善光寺/西本一都
年々や二人の親の煤ごもり/米居
裏川に鴎のふゆる煤払/斎藤梅子
煤逃の人遊びをる佃島/岩田由美
煤払や神も仏も草の上/正岡子規
煤払袋に古りし戦時債/小林祗郊
門口に歩みの板や煤払/黒柳召波
閻王の水晶の目を煤払/長谷川櫂
松かぜや琴とりまはす煤払/臥高
楼に哥舞伎の真似や煤払/炭太祇
俳句例:21句目~
気象台風速計の煤払ひ/品川鈴子
消防士表影状の煤払ふ/大島民郎
煤帚象の脊中も一と払ひ/山田人
煤竹の映る金色の御柱/山口青邨
大寺の煤掃すみし松に鵯/住吉青秋
仏顔の金箔畏れ煤払う/邑上キヨノ
信楽の狸の煤も払ひけり/今泉貞鳳
男手も女手も足り煤払/高橋淡路女
煤掃や玻璃に黒影の蜜柑山/中拓夫
御肩に煤掃のゐる多聞天/野平椎霞
吊鐘の中掻きまはす煤払/吉岡句城
命綱つけて天守の煤払ふ/伊藤一子
回廊に潮の匂へる煤払ひ/鈴木厚子
煤掃や水戸街道の一軒家/青木月兎
夢殿の戸へなさはりそ煤払/炭太祇
古傘で風呂焚く暮や煤払/高浜虚子
うそ寒う昼めし喰ぬ煤払/高井几董
煤払ひ畳に仏寝かせあり/阿部静雄
煤掃や日の当りたる庭の松/原石鼎
夫婦してはづれぬ戸あり煤払/乙由
俳句例:41句目~
平仲が顔ともはやせ煤払/黒柳召波
雲水の袖の背結び煤払ひ/佐藤良子
煤払ひ鏡かくされし女哉/正岡子規
思ふ人に此顔見せし煤払/尾崎紅葉
煤掃いて家広々や繭問屋/河野静雲
尼宮のお煤籠や猫も居り/山口民子
晦日の風出て空の煤払ひ/高澤良一
玉垣の内に百人お煤掃/有川/淳子
本の塵本に舞ひ降る煤払/高澤良一
鼻水の黒きもあはれ煤払/正岡子規
煤払ふ二十五菩薩善光寺/西本一都
煤掃や左次郎眼七河波卒八/龍岡晋
僧正のうと~と居る煤籠/山口燕青
煤掃や先祖の槍の置き処/中川四明
煤逃げの隣村まで来てをりぬ/黛執
ひるからは隣の家へ煤籠/永松西瓜
煤払仕舞を書棚の愛蔵本/関森勝夫
煤を着て払はれ顔の行燈かな/白鷺
煤逃げの低き段差に蹴躓く/大越晶
煤掃や一帙見ゆる草の宿/村上鬼城
俳句例:61句目~
三年程用なきものや煤払/矢野奇遇
煤払したる顔もて客迎ふ/高木晴子
煤掃は杉の木の間の嵐哉/松尾芭蕉
煤払すみしばかりの仏達/江口竹亭
山椒の擂木をいまも煤籠/石川桂郎
二三軒煤掃出すや鳰の海/松瀬青々
煤掃の覆面の母子が仰ぐ/辻田克巳
煤掃酒庫の神棚忘れじな/西山泊雲
煤掃の二階障子や屋根の上/原石鼎
煤払ひ亀甲澄める掛行灯/西本一都
煤竹の女竹の青く美しく/高野素十
煤掃に出仕の法鼓とう~と/奥野素径
煤掃に砧すさまじ雪の上/亡士-嵐蘭
けふばかり背高からばや煤払/千代尼
煤掃の一番竈燃えにけり/大橋櫻坡子
とこしへの黒本尊や煤払/川名句一歩
煤掃の朝の御膳は馬屋にて/中村史邦
まろび落つ羅漢の首も煤払/市堀玉宗
煤掃の済みたる寺の鐘響く/川澄裕勝
煤掃の馬を出したる畑かな/岩木木外
俳句例:81句目~
煤掃は己が棚つる大工かな/松尾芭蕉
煤掃やあけ放ちたる堂幾つ/貞永金市
わびしさや思ひたつ日を煤払/炭太祇
煤掃やもの立てかくる門柳/尾崎迷堂
煤掃や二階をおろす古皮籠/伊賀望翠
煤掃や増長天をとり囲み/大橋櫻坡子
仏の手握りて煤を払ひけり/木内彰志
仏壇に顔入れて煤払ひけり/永方裕子
煤掃や左京区松ケ崎御所の内/龍岡晋
余す日の三日となりぬ煤払/松村鬼史
煤掃や師は徘徊す湖ほとり/飯田蛇笏
出番なき古事類苑の煤払ひ/高澤良一
煤掃や折敷一枚踏みくだく/広瀬惟然
煤掃や格天井の花の絵も/穂坂日出子
煤掃や虎渓の庭の竹青し/名和三幹竹
煤掃や馬おとなしく畑ヶ中/村上鬼城
天井の天女の煤も払ひけり/内藤鳴雪
天人の笛の払ひし煤ならん/川崎展宏
煤逃げて来て大洋の端にあり/脇祥一
煤逃げにして煎餅を伴へる/山本一歩