「懐手」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「懐手」について
【表記】懐手
【読み方】ふところで
【ローマ字読み】futokorode
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
懐手を含む俳句例
昂然と今無為ならぬ懐手/林翔
懐手して鶴番の大男/染谷秀雄
柩担ぐ男片手を懐手/香西照雄
決断の十指の力懐手/岩橋/勲
懐手して上段に瀧の音/古舘曹人
玄関の人声に出て懐手/高浜年尾
龍馬思へば海舟の懐手/橋本榮治
から駕や梅の中行懐手/高井几董
日本の夜霧の中の懐手/高柳重信
懐手坂一枚に突き当る/柏原眠雨
懐手して宰相の器たり/高浜虚子
口癖の勇退もせず懐手/斉木永久
懐手トロ箱の足で買ふ/粕谷弘子
買物の妻にしたがひ懐手/上村占
懐手大空に解き大欠伸/山田雲洞
寒椿つひに一日の懐手/石田波郷
空想が深み深みへ懐手/能村研三
並べたる鮪の中の懐手/綾部仁喜
中庸を佳しと心得懐手/柴田奈美
乳いじる癖の女や懐手/高浜虚子
俳句例:21句目~
懐手橙の実の一つかな/長谷川櫂
初鳩や創口かばふ懐手/吉田鴻司
懐手嘘もほんとも聞き流し/杉本零
懐手して俳諧の徒輩たり/高浜虚子
新聞配達今了りたる懐手/香西照雄
ほうかぶりして懐手して暦売/曲室
懐手して論難に對しをり/高浜虚子
懐手して躓きぬ老あはれ/川端茅舎
敷島の似合ひし父の懐手/今泉貞鳳
懐手故郷の町も久しぶり/福田蓼汀
懐手解きてふたたび懐手/水野柿葉
懐手する手の無くて大欅/高澤良一
右手は勇左手は仁や懐手/高浜虚子
英霊車去りたる街に懐手/石田波郷
達磨売だるまの中の懐手/渡辺菊江
問ふ人も答える人も懐手/水沢源治
寒菊や顔も洗はず懐手/京僧-通達
笹鳴や大望の身の懐手/佐々木有風
山の子は山の入日に懐手/福田蓼汀
懐手犬と月とに触りけり/攝津幸彦
俳句例:41句目~
序破急の急の齢や懐手/北見さとる
懐手海鴎擾乱の中にあり/古舘曹人
懐手むしろ艶なり女佇つ/田村無径
牛乗せし貨物見送る懐手/宮坂静生
沖暮れて何握りゐる懐手/増成栗人
懐手解かぬは御空広きゆゑ/斎藤玄
春風や大江戸に入る懐手/会津八一
懐手俳諧無頼通しけり/深見けん二
畑売りて早起き癖の懐手/白岩てい子
競馬見る終に懐手を解かず/西村和子
納得のあとも解かずに懐手/田中政子
考への何時としもなく懐手/輪湖琴女
ごむ鞠をあたゝめ顔や懐手/羅蘇山人
その先は言はずに夫の懐手/西村博子
としごろの娘の懐手冬紅葉/後藤夜半
聞き役に徹して深き懐手/宮内キヨミ
自我を捨て従ふ余生懐手/蟹江かね子
道よぎるほろほろ鳥の懐手/堀口星眠
選句地獄のただなかに懐手/鷹羽狩行
ゴヤの妄わたくしの妄懐手/鈴木照江
俳句例:61句目~
ベンチに居昃るときの懐手/高濱年尾
雪の上に懐手して集まれる/高野素十
飛火野の鹿に蹤きゆく懐手/水野朱堂
騙されてやるも度量や懐手/柴田奈美
取り敢へず与り聞くや懐手/柴田奈美
夕顔やひとりながむる懐手/井上井月
奥に手のあるとも見えぬ懐手/神崎忠
女菩薩とまがふ妻居て懐手/吉田未灰
富士山に雲ひとつなき懐手/黛まどか
影法師の吾があはれや懐手/高浜虚子
懐手して万象に耳目かな/松本たかし
懐手して人込にもまれをり/高浜虚子
懐手して半生を省みる/千石/比呂志
懐手して駅柵に母待つ子/柴田白葉女
懐手三日の客の波郷かな/桐生あきこ
懐手人に見られて歩き出す/香西照雄
懐手墓一せいにこちら向く/河合照子
対岸の浮子に眼がゆく懐手/加藤憲曠
懐手解いて何かを言ひ出す気/瓦玉山
懐手解いて窯主火色読む/岸川鼓蟲子
俳句例:81句目~
日脚伸ぶ懐手して山を見る/田中冬二
昨夕に似て昨夕より深き懐手/斎藤玄
朝霜やちょぼに勝ちたる懐手/泉鏡花
渦疾し見るとなく佇つ懐手/原田種茅
漁止めの海を見てゐる懐手/宮田蕪春
父の座の弱くなりたる懐手/守谷順子
刺客待つゆとりのごとし懐手/吉田未灰
年寄りて気力失せたる懐手/吉良比呂武
おばさんを姐さんと呼ぶ懐手/岸本尚毅
懐手して鍛冶の火を見る子かな/上野泰
どう見ても子供なりけり懐手/岸本尚毅
八つ口ヘ吹きこむ風や懐手/加藤三七子
ままごとのわらべのしたる懐手/飴山實
懐手して石ける子見てゐる子/羽生敏子
妹恋ひに似て懐手してゐたり/清水基吉
医のわざと無縁となりし懐手/小坂蛍泉
荒波を見つめ海女等の懐手/沖崎玻瑠子
根っからの空想好きの懐手/上田日差子
椋鳥逃げず映画へ急ぐ懐手/田川飛旅子
懐手してゐる山もありにけり/丘本風彦