「火事」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「火事」について
【表記】火事
【読み方】かじ
【ローマ字読み】kaji
子季語・関連季語・傍題・類語など
・昼火事(ひるかじ:hirukaji)
・夜火事(よるかじ:yorukaji)
・大火(たいか:taika)
・小火(ぼや:boya)
・近火(きんか:kinka)
・遠火事(とおかじ:tokaji)
・山火事(やまかじ:yamakaji)
・火事跡(かじあと:kajiato)
・火の見櫓(ひのみやぐら:hinomiyagura)
・火の見番(ひのみばん:hinomiban)
・半鐘台(はんしょうだい:hanshodai)
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季節による分類
・「か」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
火事を含む俳句例
汽車が走る山火事/尾崎放哉
男娼と鶏走る火事の跡/須藤徹
山火事の北国の大空/尾崎放哉
船火事の夢覚め朝の馬冷す/皆吉司
山火事や乾の空の雪曇り/寺田寅彦
白桃に潜みおり朝の火事/坪内稔典
火事雲の映り港区橋多し/羽田岳水
山火事の灰降って来る渡舟/澤草蝶
火事跡の貼紙にある遠い町/林菊枝
小火騒ぎありて今宮宵戎/後藤鬼橋
月若しくらま祭の大火焔/野澤節子
天窓に炎手を出す夜の火事/皆吉司
門柱に朝刊置かれ火事終る/皆吉司
火事跡に鮮しき朝の午乳壜/高島茂
雪深し火事桃色に迫りくる/秋澤猛
火事近し鍵穴急に小さくなる/穴井太
おぼろ夜や本所の火事も噂ぎり/蛇笏
火事近く母は仏に灯すなり/田上鯨波
檣に佃の火事の見えにけり/籾山柑子
いく度の大火の草津繁盛記/高野素十
俳句例:21句目~
朧夜や本所の火事も噂ぎり/飯田蛇笏
麦秋の遠火事明り雨こぼす/椎橋清翠
我思ふ故に猫あり春の小火/攝津幸彦
火事盗人に似て火祭の人中に/岸田稚
大迂回して山火事へ消防車/右城暮石
美作の空を横切る火事の雲/赤尾兜子
天王寺駅前の火事騒ぎけり/小杉余子
火事あはれ人の一代美しく/橋本鶏二
宵火事の消えて霙となりにけり/繞石
遠火事や夫の外泊父に秘め/毛塚静枝
まぎれなき火事の煙や鬼ケ島/森田峠
満貫の桜浮べる火事明かり/北見弟花
鶏頭の小火出す火の見櫓下/高澤良一
火事煙凧の大空よごしけり/椎橋清翠
萬屋の火事いま物に就く思ひ/竹中宏
眼帯に涙沁みつつ火事近し/白岩三郎
山火事のありたる地肌夏蕨/茨木和生
火事見舞団十郎の養子かな/籾山柑子
菜の花や遠き喧嘩と遠き火事/仁平勝
晝火事の烟の細さよ麥の秋/会津八一
俳句例:41句目~
湖に山火事うつる夜寒かな/内藤鳴雪
遠火事に物売通る静かかな/富田木歩
火事の荷や提灯立ちて人もなし/篠原
山火事の如き日落とし御命講/林昌華
蟻の如消火夫登り火事の屋根/皆吉司
荷を捨てゝ火事に走るや金売/原月舟
眦に山火事懼れ旅をゆく/佐藤惣之助
南国の山火事ひたにひろがれり/原裕
抽斗に螢しまひし夜の火事/齋藤愼爾
荷を捨てゝ火事に走りぬ金売/原月舟
蛇穴を出づ近隣の小火騒/大塚あつし
暗黒や関東平野に火事一つ/金子兜太
山火事の北へ~と廣がりぬ/寺田寅彦
遠火事や焦がしあまれる空の色/畑耕一
火事跡を見て老犬は帰りけり/佐藤和夫
遠火事や父の背中を思ひゐる/福島壺春
雪吊を火事装束の駆けぬけて/田中裕明
きさらぎの昼火事ありし港町/原田青児
雪山の向うの夜火事母なき妻/金子兜太
汽車黒く通りて赤し火事の村/齋藤愼爾
俳句例:61句目~
電話局尖るそびらに火事の雲/宮武寒々
首都はいつも匿名希望の火事/江里昭彦
魔法瓶抱きて火事の火を逃ぐる/皆吉司
一九来し宿は大火に零落し/成瀬正とし
大火聚の金色しばし野焼かな/松瀬青々
大火西に流れて陛下深ねむり/筑紫磐井
浦びとの褌駈けして春の火事/石田勝彦
火事跡のバケツの縁につもる雪/皆吉司
火事ひとつあり大阪の仏生会/辻田克巳
火事の夜の女がつかふ銀の匙/古舘曹人
小火跡の良夜の空家匂ひいづ/福海一幹
庵主のしはがれ聲に近火かな/村上鬼城
火事跡のまた匂ひ出づ雪催ひ/鷹羽狩行
昼の小火/見ている俺と寒鴉/星永文夫
火事の夜は狐の影絵して遊ぶ/古館曹人
火事跡に虚空を掴む一樹あり/薮脇晴美
一月の火事いきいきと風下へ/三橋敏雄
一月や火事いきいきと風下へ/三橋敏雄
月西に大火下火となりにけり/小澤碧童
橋涼み小火の人出のくずれ来る/悌二郎
俳句例:81句目~
白雲の大火の中のわらびかな/田中芥子
討入りの日や下町に小火騒ぎ/鷹羽狩行
賃搗が山ほど呉れし大火かな/松瀬青々
火事既に隣人門に彳てりけり/久米正雄
近火はや迫りし犬を解き放つ/村上杏史
雲焼けて血垂る大火の夜深し/高田蝶衣
倒影として火事の空外濠に/田川飛旅子
蒼白な火事跡の靴下蝶発てり/赤尾兜子
初霜や火事跡といふ黒きもの/鷹羽狩行
風向きの又も不安となる近火/小玉艶子
印泥をこねる力や遠くに火事/内田美紗
又しても火事日暮里や酉の市/増田龍雨
古鏡火事は牡鹿の瞳の奥に/八木三日女
夕ベ空天才が駆け火事終る/宇多喜代子
火事跡に横丁の跡鶏あゆむ/秋元不死男
夜空染め遠火事消ゆる猫の恋/宮武寒々
大木の雪真赤なる火事明り/井上白文地
大橋の潮の早さや火事遠し/大場白水郎
大鏡火事をうつして崩れけり/柿本多映
対岸の火事見る心咎めつゝ/沢井山帰来