「紙漉」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「紙漉」について
【表記】紙漉
【読み方】かみすき
【ローマ字読み】kamisuki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・寒漉(かんすき:kansuki)
・紙干場(かみほしば:kamihoshiba)
・紙漉女(かみすきめ:kamisukime)
・楮晒す(こうぞさらす:kozosarasu)
・楮蒸す(こうぞむす:kozomusu)
・三椏蒸す(みつまたむす:mitsumatamusu)
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季節による分類
・「か」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
紙漉を含む俳句例
卯花や塵紙漉が垣の隙/昌夏
紙漉を見て彳めば暮早き/風生
雪匂ふ鳥の子紙の漉雫/影島智子
春風や紙漉く水に玉襷/野村喜舟
紙漉の梅の日向は猫歩く/森澄雄
紙漉の槽に匠の息太し/大川輝子
紙漉の舟の上なる鏡餅/市川三三
百漉けば百の祈りや紙漉女/林翔
紙を漉く静かな業の為人/森田峠
紙漉きし昔の家の窓低し/森田峠
粗壁を貫く筧紙を漉く/谷口雲崖
紙漉の天気都合や初霙/井上井月
紙漉くや小学校と谷距て/沢木欣一
名人は概ね無口紙を漉く/鎌倉園月
紙漉の手鏡己れのみ映す/津田清子
三椏や紙漉村は渓沿ひに/鈴木良花
雪を来て紙漉く人と立話/高橋睦郎
紙漉の神技手技里に雪/文挟夫佐恵
紙漉を三日休めば水逸る/行方克己
焚火して紙漉村の川辺なる/所山花
俳句例:21句目~
秋祭すめば女は紙漉きに/藤後左右
粗壁に裸灯淡し紙を漉く/山田和子
紙を漉く明治と同じ雪明り/長田等
紙漉きの廃れし沢に花楮/黒岩保行
朝顔や塵紙を漉く一つ家/正岡子規
紙漉女冬百日の手炉ひとつ/石田波郷
山裾や落花引き込み紙漉女/河野南畦
紙漉女冬万灯をゆくごとし/栗林千津
廃屋と思ひしが紙漉く音す/今瀬剛一
たゞ一戸たゞ一槽や紙を漉く/森田峠
頬照りて若き紙漉き雪解川/橋本榮治
紙漉く家白鷲流るごと渡る/西村公鳳
曇り日の水の粘りや紙漉女/宮坂静生
あはき灯の紙漉工房秋時雨/緑川啓子
崖下に沈む一戸や紙を漉く/鳴沢富女
紙漉く灯月の庇の奥にかな/川村紫陽
死金を一壺に蓄めて紙漉婆/近藤一鴻
雪解風紙漉小屋をゆさぶりぬ/森重昭
きさらぎや獣くさき紙漉村/丸山嵐人
雪しろや紙漉村の畦もつれ/西本一都
俳句例:41句目~
紙漉を天職として村を出ず/清宮文江
貫ける太梁一つ紙を漉く/深見けん二
紙漉きの薄紙かさぬ雪の界/大野林火
薄氷か紙の水子か紙漉場/百合山羽公
翠巒や風を漉き込む吉野紙/倉田勝栄
秋澄むや紙漉く里の水の音/稲垣一雄
紙漉やとぷとぷ水の裏返る/山田弘子
天井を汚すなりはひ紙を漉く/森田峠
紙漉くや天の羽衣より薄く/有馬朗人
初晴れの蔀戸を揚ぐ紙漉場/立半青紹
跡つぐ子槽を並べて夜紙漉/大野林火
口寒く紙漉女紙を使ひをり/萩原麦草
一画家の望みに叶ふ紙を漉く/森田峠
紙を漉く国栖の翁の昔より/田畑比古
紙を漉く四角に水を掬ひては/柊愁生
一枚の雲の如くに紙を漉く/井桁白陶
紙を漉く音を正しく繰返す/橋田憲明
妊りて紙漉く乳房冷々と/井筒紀久枝
漉きなほす紙の臭や冬の蝿/内田百間
水責の道具揃ひて紙を漉く/後藤夜半
俳句例:61句目~
枯野宿陸奥紙は漉けるかな/野村喜舟
紙漉くや水泳選手出でし家/大島民郎
一峡に充ちし一姓紙を漉く/林十九楼
新しき波を育てて紙を漉く/稲田眸子
紙漉の娘と浮舟のことなどを/橋本薫
嗣ぐ子あり漆漉く紙すき続け/田中英子
そうめんが川に沈める紙漉村/細見綾子
如月の漉く紙水にうつりけり/萩原麦草
一と朝の紙漉き家族の蜆殻/加倉井秋を
一枚を念ずるごとく紙漉けり/山口誓子
子に託す一縷の望み紙を漉く/小川翠畝
山茶花や羽衣いろに紙を漉く/伊藤敬子
書き初めの紙は石見の手漉紙/田中冬二
漉きあげし紙まだ水の光もつ/金藤優子
漉き紙の仮の世界に雪降れり/和田悟朗
大いなる日めくり紙漉女の上に/辻桃子
女の月日白き紙漉き重ねては/津田清子
娘と嫁の紙漉きし嵩ほゞ同じ/大橋敦子
紙を漉く一人一人の音ちがふ/大西不葉
紙を漉く技も曾っての武蔵紙/高澤良一
俳句例:81句目~
谿を出ぬ一生や紙を漉く女/長谷川素逝
廃されず老母の坐る紙漉場/百合山羽公
谿空に錆びし日輪紙を漉く/長谷川素逝
雁やひと日漉きたる紙の量/鈴木真砂女
風の音なき日は淋し紙を漉く/原田青児
杉に降る雪さらさらと紙漉場/西村公鳳
枇杷咲いて紙漉一戸一乙女/赤松ケイ子
枯木星ひとつぶ紙漉村眠る/迫田白庭子
残菊や日ざし乏しき紙漉場/成瀬桜桃子
水ぎわの光を揺らす紙漉女/武藤あい子
汚れたる灯の一つ垂れ紙漉場/大橋敦子
泡を吹き塵をつまみぬ紙漉女/湯浅五生
紅梅のしんじつ紅き紙漉村/馬場移公子
紙漉いて九官鳥も可愛いがり/京極杞陽
紙漉きの乾きし土間に手毬つく/長田等
紙漉きの紙とならざる滴りよ/塩川雄三
紙漉きの言葉の端も地の處女/津田清子
紙漉き女黙せり何か怺へをり/津田清子
紙漉くは寂しき故によく喋る/桜井一尾
紙漉くや水あるところ氷張り/大橋敦子