「フレーム」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「フレーム」について
【表記】フレーム
【読み方】ふれーむ
【ローマ字読み】furemu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・温室(おんしつ:onshitsu)
–
季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
フレームを含む俳句例
温室や紫広葉紅広葉/歌原蒼苔
温室に檄文貼られ農学部/山本源
温室の中の温室食虫花/保尾胖子
光点は大温室や岬晴/櫛原希伊子
温室に写生学生入り浸る/右城暮石
温室の内外暗き夜になる/右城暮石
大甕が立つ温室の中の土/平畑静塔
温床の紙りんりんと風の村/北光星
温室に水したたるや猫の恋/日原傳
花室や戸口に二つ上草履/岡本松濱
温室を出でて椿が正面に/岸本尚毅
フレームの光の先の波頭/藤永誠一
雪解けて大温室は水の音/長谷川櫂
花温室がはじく海光粉なす蝶/林翔
空見つつ温室の塵身にまとふ/原裕
温室の内翳らせて低空機/右城暮石
温室村海に日迎へ海に送る/大野林火
潮風や輪飾ゆらぐ温室の口/新井英子
霜柱の針の山中蘭の温室/殿村莵絲子
温室の世話も結局主婦の用/稲畑汀子
俳句例:21句目~
温室に掻きて妖しき冬の汗/大屋達治
温室に置く事務机事務用品/右城暮石
温室のもの運び出す大日覆/後藤夜半
傷兵の食膳にふれ温室の花/横山白虹
温室の花買ひぬ信濃の深雪中/及川貞
温室の天暗くして芭蕉の葉/清嶋静恵
温室の花粉に窓の曇りたる/近澤杉車
夜の温室のうるむ光や冬苺/広沢道代
温室の花色失ひて来る痛み/朝倉和江
妄想の湧くに任せて温室内/右城暮石
温室をかこむキャベツの畠かな/篠原
温室一歩曇る眼鏡に蘭百種/大津希水
温室仕事冬日二つを戴きつ/羽部洞然
温室耀りて産土神つつむ苺村/大熊輝一
フレームに机椅子あり農学部/大橋純子
フレームに色を零してゐる苺/山田弘子
温室の葡萄の放恣われ愛す/川島彷徨子
フレームに蘭を育てて彫金師/水野征男
水遣って客間に運ぶ温室の蘭/稲畑汀子
晩稲台風来るか温室村低く/平井さち子
俳句例:41句目~
温室越しに初日蕾の赤殖やす/大熊輝一
温室の中に蜂の巣あるらしく/山田静雄
温室の灯るうしろの黄泉の国/有馬朗人
温室の蕾ふくらむガラス越し/竹内鈴子
フレームの蜂の遊べる紅き花/寺岡捷子
白や温室つくりの胡瓜の花と/田中冬二
羽音もたぬ蝶の音階満つ温室/伊丹公子
温室咲を卓上に人の世に貧富/石塚友二
温室のメロンに灯す晴夜かな/飯田蛇笏
温室にトマト熟れたる朧かな/岸本尚毅
郭公や温室より移すレタス苗/久田澄子
温室の中にひゞかせ釘を打つ/右城暮石
温室の行き詰りなほ別室あり/右城暮石
重陽や温室の七棟灯ともりて/加藤草杖
ゴムホースうねりて次の温室ヘ/森田峠
温室べなる水の凍光苣枯るゝ/飯田蛇笏
メロン守昼の休を温室にゐず/田村了咲
フレームや万の蕾の紅兆し/山崎ひさを
温室の花を照らすや冬の月/広江八重桜
大温室全開バナナに風入れて/高澤良一
俳句例:61句目~
宴席へ運ぶ温室花や芝落花/楠目橙黄子
温室花を摘む温室花に身を沈め/森岡花雷
フレームに音楽欲しと思ひけり/岩崎照子
温室の花病室賑やかなるがよし/相馬遷子
フレームの小さき花の匂ひけり/小路紫峡
温室に飼はるる鯉やはたた神/中村まゆみ
フレームをはみ出してゐる蕾かな/星野椿
フレームを出て来し鉢を飾る窓/稲畑汀子
温室出でて緑雨浴びたき旅人木/大島民郎
温室のうつぼかづらは虫を得ず/山本歩禅
湯の赤子出すごと温室の花抱く/大熊輝一
温室を出る夕景のフオークソング/穴井太
寒明くる繊月温室にあふがれぬ/西島麦南
皇太子蘭の温室出し酔ひごころ/筑紫磐井
注射針憎し温室花眼に沁みる/柴田白葉女
花さはに温室より届く成人祭/塩谷はつ枝
温室は蘭ばかりやがて雪消えん/橋石和栲
フレームに入りて囁き通しなり/宮坂静生
花温室に漁具ものめきて寒の内/飯田蛇笏
花温室の年立つ雨もふりやみぬ/飯田蛇笏
俳句例:81句目~
壺の花温室恋ふと見ゆ夜半の冬/林原耒井
温室に時が許せばなほゐたし/山口波津女
海光に千鳥鳴きつぐ温室の前/岡本まち子
海近しサロメは赤き温室の蘭/野見山朱鳥
形見ともなく手入れせし温室の蘭/稲畑汀子
鞦韆やみなひらきある温室の窓/大橋櫻坡子
温室ぬくし女王の如きアマリリス/杉田久女
温室呆けするほどに入り浸りたし/右城暮石
温室の戸にすさまじき夜露かな/石島雉子郎
フレームの一歩の花の香に噎せる/河野美奇
花温室に聖日懶情なるにもあらず/飯田蛇笏
フレームの中小さき鉢大きな芽/今井千鶴子
蘭の香の温室にまはりて年賀かな/大熊輝一
足しげく訪ふ花温室やシクラメン/遠藤はつ
夜をこめて保美のフレーム輝けり/恩智景子
白鳥を見てフレームに立寄れり/中戸川朝人
初空のひかり盈ちつゝ温室のみち/飯田蛇笏
百合讃ふ温室の百合みな聴けり/橋本美代子
温室せまし洋蘭玻璃にふれ咲きて/田中/七草
温室の花仰臥のほかの日は知らず/柏木真紀女