「橇」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「橇」について
【表記】橇
【読み方】そり
【ローマ字読み】sori
子季語・関連季語・傍題・類語など
・雪橇(そり:sori_)
・雪舟(そり:sori__)
・箱橇(はこぞり:hakozori)
・荷橇(にぞり:nizori)
・客橇(きゃくぞり:kyakuzori)
・郵便橇(ゆうびんぞり:yubinzori)
・手橇(てぞり:tezori)
・馬橇(ばそり:basori)
・うまぞり(うまぞり:umazori)
・犬橇(のそ:noso)
・いぬぞり(いぬぞり:inuzori)
・橇酔(そりよい:soriyoi)
・橇の宿(そりのやど:sorinoyado)
・橇の鈴(そりのすず:sorinosuzu)
・帆橇(ほぞり:hozori)
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季節による分類
・「そ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
橇を含む俳句例
青炎の星空に澄む橇の鈴/沢聰
柩橇百千の墓佇ち迎ふ/細川加賀
登校の箱橇曳かせ牧の犬/原柯城
橇に葱夕日が深む山の襞/上村占
開墾の父の臭ひや橇の馬/湊元子
氷海やはるか一連迎ひ橇/山口誓子
箱橇の鰤の荷のゆく鉄砲町/下田稔
箱橇の曲つて消えし一位籬/上村占
吹雪中忍路の方へ橇の点/藤田湘子
子燕や軒に立て乾す救助橇/原柯城
一鞭が街の灯見せつ犬の橇/有働亨
門の前雪橇を置き寒河江姓/森澄雄
氷上の最短距離を橇走る/藤野弥生
空青くして力生む橇の馬/村越化石
城うらや橇の道に星光る/加舎白雄
潟橇の跡の一水夕焼くる/奈良文夫
氷海や船客すでに橇の客/山口誓子
すれちがふ犬と男と柩橇/黒田杏子
月輪の右に左に橇を駆る/西田浩洋
穴釣に炭配るとふ橇遠し/手島靖一
俳句例:21句目~
橇馬の袋の中の耳うごく/田村了咲
橇行や氷下の穴に海溢る/山口誓子
祝言の門の内なる橇溜り/吉村刀水
休日の学校に来て橇遊び/太田土男
道のべの婆叫ばしめ柩橇/細川加賀
妙高も天も茫々橇絶えつ/大島民郎
橇引いて犬黙々と従へり/黒沼草生
橇犬の渦巻く太尾突堤ヘ/成田千空
迎へ橇送り橇友遠きかな/石川桂郎
いさかうて一つの橇を兄弟/大家湖汀
氷橋荷を傾けて橇を曳く/松原地蔵尊
いとけなき霊はや橇の白轍/成田千空
いと遥か彼方の橇となり了る/森田峠
橇帰る飛雪の底に町ありて/堀口星眠
橇の犬息そろふとき林過ぐ/澤田緑生
満載の橇に銀漢尾を垂れつ/栗生純夫
炉に遠く凭れ合ひ寝の橇の犬/有働亨
さむく~橇道消ゆる震源地/萩原麦草
産神に雪の夜さりの橇の鈴/深谷雄大
雪車立てて少し春めく垣根かな/一茶
俳句例:41句目~
終章の橇の鈴かと外へ出る/杉野一博
耕牛となり変りをり橇の牛/石塚友二
聖夜めく二頭の馬が曳く橇は/有働亨
榾橇に声かけていざ木曾の人/上村占
花嫁の馬橇の鈴の遠ざかる/鈴木舜子
荷を下す橇馬つつむ汽車煙/大野林火
橇の馬丸胴の汗筋をなす/永田耕一郎
橇馬の耳の動きに吹雪泣く/石川桂郎
軒深く納めし橇の今年傷/立川きよし
逸りとぶ懸巣鮮し橇のまヘ/堀口星眠
一つ行く橇に浪うつ最上川/前田普羅
橇馬の積荷に耐えている憩い/飴山實
酒の甕ずつしりと橇動きだす/朔多恭
雪原の極星高く橇ゆけり/橋本多佳子
雪掻きし市内に来り橇難渋/中村汀女
橇ゆきし奥処夕澄む火口壁/小林碧郎
頑なに赤き木の実よ橇作り/堀口星眠
停りても瞼ひらかず橇の酔/田村了咲
頑丈な馬橇のベンチ金草/八木林之介
冬山の笹に橇道消えにけり/渡邊水巴
俳句例:61句目~
顔洗い洟かみ朝や雪とぶ橇/寺田京子
凍江や船より船へかよふ橇/田村了咲
橇で着く初刷折るや雪の上/久米正雄
馬の足太く短く橇行けり/稲畑廣太郎
馬橇馳す蹄がとばす雪の塊/大橋敦子
馬橇駆る父は男の匂ひせり/関根礼子
橇遊びどの子が風の又三郎/太田土男
橇迅し空研ぎ立てる白馬岳/堀口星眠
地吹雪の夜の涯より橇の鈴/佐藤国夫
夕映や角ひかり立つ橇の牛/三宅句生
橇に逢ひ側壊したる家に逢ひ/森田峠
奥の湯へ橇おしのぼる大旦/小林碧郎
妹のせて牧の起伏の橇遊び/太田土男
子供橇立掛けてある朧かな/太田土男
橇のあと鋭く深く雪を截つ/高濱年尾
橇知らぬ犬も聖夜の雪の上/村越化石
夜橇駆る教会暗く町はづれ/成瀬正俊
御岳の額割る風に橇を組む/岡田貞峰
或時は星ほど遠く橇を駆り/京極杞陽
橇をひく犬立ち止り主見る/高野素十
俳句例:81句目~
曳く橇の氷湖に沿へり注連貰/村上光子
橇の道竹林に入り凍てにけり/佐野良太
橇馬の鼻のもゝいろ湯を覗く/山口草堂
さいはての町の馬橇に鈴もなし/上村占
しまひ橇して大吹雪また来る/二唐空々
どの橇も膝掛赤く日に匂ひ/大場白水郎
橇馬の臀毛少なに老いにけり/飯田蛇笏
橇失せぬ雪原と星あふところ/平野露子
橇下りる深雪に足を下したる/高濱年尾
わが橇の馬が大きく町かくす/高濱年尾
オリオンは韃靼の星橇を駆る/依田明倫
橇あそび雑木林の雪に来る/石橋辰之助
橇がゆき満天の星幌にする/橋本多佳子
橇馬の昏れたる貌の近づけり/依田秋葭
丸太橇崖の氷柱を薙ぎゆけり/飯塚秀城
橇の馭者坂も老馬に鞭打たず/小島左京
柩橇母振りきつて曳き出でぬ/細川加賀
児の睡る橇を氷湖に曳き渡る/品川鈴子
橇馬の怖れすゝまず吹き溜り/高濱年尾
橇馬に荒鞭くれて馭者酔へり/田村了咲