「襖」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「襖」について
【表記】襖
【読み方】ふすま
【ローマ字読み】fusuma_
子季語・関連季語・傍題・類語など
・冬襖(ふゆぶすま:fuyubusuma)
・襖紙(ふすまがみ:fusumagami)
・絵襖(えぶすま:ebusuma)
・白襖(しろぶすま:shirobusuma)
・唐紙(からかみ:karakami)
・襖障子(ふすましょうじ:fusumashoji)
・唐紙障子(からかみしょうじ:karakamishoji)
・古襖(ふるぶすま:furubusuma_)
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季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
襖を含む俳句例
唐紙や敷居の細道蔦葛/露甘
島や金箔擦れの大襖/辻桃子
襖絵の梅や湯婆賜りて/松本進
冬籠観音経を襖かな/角田竹冷
冬襖父母近き安心に/橋本榮治
雛の間へ幾唐紙や開通し/篠原
枕辺に夜の水賜る蟲襖/斎藤玄
凍蝶や襖はづせし太柱/上村占
襖絵の一瀑緊る鏡餅/関森勝夫
唐紙に鼠溺す夜長哉/寺田寅彦
青嵐龍の襖と虎の襖/川崎展宏
越中を寸分見せず雪襖/長田等
庭先に剣襖の葉水仙/高澤良一
襖絵は古式捕鯨の島の宿/中/裕
聞法の襖外して大根焚/坂田流枕
襖外して大辞典小辞典/山田弘子
襖絵の波頭畳へ鑑真忌/浦野芳南
襖絵の鴉夜長を躍り居る/原石鼎
八枚の襖が真白鴨の宿/茨木和生
桜など描きて冬の寺襖/橋石和栲
俳句例:21句目~
浄土寺の夜寒の襖太柱/黒田杏子
襖絵に起る浪音鑑真忌/小畑晴子
産褥や闇と灯頒つ冬襖/中山純子
白襖の黒枠不吉隙間風/香西照雄
書初や草の庵の紅唐紙/飯田蛇笏
寂かなる雨六月の白襖/石原舟月
襖絵の老人の背に年移り/黒田杏子
紫の袱紗をしごく冬襖/百瀬ひろし
襖絵の海の青さや鑑真忌/中川幸子
木枯や寺の襖のみな動く/増田龍雨
襖絵を拝し底冷え畏みし/古沢太穂
国旗買ひ帰るや冬の白襖/赤尾兜子
狐火に長門の寺の大襖/大峯あきら
襖絵や蓮枯れ水は敏感に/大井雅人
文字の虚しき刻を葭襖/鈴木六林男
聴きすます霙襖の奥の声/加藤楸邨
襖絵の墨の薄るる実千両/古田紀一
大寒の夕日をはじき竹襖/荒井正隆
木枯を秘色としたり白襖/齋藤愼爾
萩の宿白き襖の貧ならず/鈴木花蓑
俳句例:41句目~
白襖幼児笑へば亡母来る/飯田龍太
柿襖ほめて大和の薬売り/平田桃江
壁を背に唐紙を背に狸汁/高木晴子
一切を断ち雪国の重襖/鷲谷七菜子
母と居るたゞ朧夜の古襖/小林康治
襖絵の雲が雨呼ぶ鑑真忌/谿/昭哉
唐紙に眠れる虎や松の花/高田蝶衣
鵯ひびく十枚襖松が占め/岡田貞峰
鴨引いて真宗寺の大襖/大峯あきら
永き日や庭より見ゆる襖の絵/誓子
山路来て報恩講の白襖/大峯あきら
僧と俗へだつ真白き冬襖/吉野義子
雑炊に寺の子四方の襖より/赤松子
金色に襖百枚うちかさね/佐藤琳子
入れ違ふ襖絵花の宴あと/中尾杏子
海ざばと襖に通ひ病職工/細谷源二
絵襖の前に眠れり十二月/飯島晴子
襖開け熟睡児の息雛の息/山田弘子
福寿草襖いろはにほへとちり/青畝
戸をくれば襖の奥の雛かな/上村占
俳句例:61句目~
おのづから夫婦の圈の粗襖/石塚友二
げぢげぢや風雨の夜の白襖/日野草城
襖絵の早池峯合はす冬座敷/古舘曹人
襖絵の波うつろはず鑑真忌/鶴嶋博子
襖絵の猿猴木の實貯ふる/八木林之介
襖絵の酒呑童子のどけしや/巌谷小波
襖絵の金銀を着る鳥けもの/尼崎/澪
ひろびろと襖はづして広座敷/山本綾
襖絵の青夜の瀾や鑑真忌/田平龍胆子
襖絵の青濤ひかる月点前/奥村木久枝
遠雪崩妻と襖をへだてをり/山田素雁
襖絵の鶴相寄りて枯野閉づ/橋本榮治
一徹の襖や重く閑ざされて/羽田岳水
雪原を分つ落葉松襖かな/古賀まり子
雪嶺襖鳶は翔たんと息つめる/松本旭
風除の大藁襖日をかこふ/長谷川素逝
香焚いて香のとゞまる襖入れ/及川貞
冬の灯に花鳥色濃き襖かな/橋本鶏二
冬襖開ければ人の匂ひして/高橋将夫
利休忌の海鳴せまる白襖/鷲谷七菜子
俳句例:81句目~
去年今年やぶれ襖のせんなさよ/梨屋
鬱金の襖を倒す月が土足で/西川徹郎
叭叭鳥を四方に翔ばせ露襖/高澤良一
鴛鴦の襖を隔て眠りけり/佐々木六戈
黒髪町あかずの襖夜歔きせり/穴井太
埋火やそむきて坐る襖きづ/桂樟蹊子
枝もろし緋唐紙破る秋の風/松尾芭蕉
夕映のしばらく倚るは冬襖/巌谷小波
燈火親し壁唐紙の赤き間に/京極杞陽
大寺の冷えから冷えへ襖数/細井みち
大服の沸りてかすむ襖かな/勝峰晋風
雪の世のいつかは倒る白襖/齋藤愼爾
引きまはす襖の外も稲屏風/立花北枝
恵那の日の冷やかに射す古襖/岸田稚
早苗饗の襖ひらいて主かな/橋本鶏二
湯豆腐寺僧俗区切る板襖/百合山羽公
画襖の人にもとしのくれゆくか/成美
白襖染みを鳥とも茄子とも/依光陽子
立山やこゑ跳ねかへす雪襖/新田祐久
絵襖の古き牡丹に利茶かな/高浜虚子