「寒造」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「寒造」について
【表記】寒造
【読み方】かんづくり
【ローマ字読み】kanzukuri
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「か」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「晩冬」に分類される季語
月ごとの分類
寒造を含む俳句例
碓の十梃だてや寒造/召波
厳島祀る太梁寒造/山田弘子
雪厚き蔵の閂寒造り/及川貞
柱暦の大吉日や寒造/西山泊雲
暁に蔵唄きこえ寒造/松尾静子
新旧の酒蔵二つ寒造/澤村啓子
酒槽の金紋総朱寒造/西本一都
寒造金柑神に供へあり/山本洋子
寒造海見えて川速くなる/中拓夫
佇めばつぶやく醪寒造/岸風三樓
桶渡りあける高窓寒造/安川汪洋
月山の水を祓へり寒造/丹羽/啓
寒造り杜氏潔斉點火しぬ/及川貞
寒造り渚の如く米沈む/山口誓子
門前に竜の玉あり寒造り/森澄雄
磨かれし米の小ささ寒造/長谷川櫂
寒造米の滝より始動して/平畑静塔
一徹な杜氏を恃みの寒造/伊東宏晃
生きてゐる泡の力や寒造/猪野翠女
大樽に伊耶那伎の櫂寒造/西村和子
俳句例:21句目~
摺り減りし一番櫂や寒造/西本一都
寒造伏見の水を誇とす/鈴木喜代子
泡を読む天窓あかり寒造/山田弘子
寒造働く杜氏湯気まとひ/幸まつ子
寒造り千石桶に雲満ちて/品川鈴子
寒造切なき唄を朗々と/堀口まゆみ
酒庫口のはき替草履寒造/西山泊雲
雀罠つくるいとまや寒造/西山泊雲
室の神かまどの神や寒造/藤井佐保女
寒造り一つの深井市井にも/栗生純夫
寒造り杜氏案内に興もなげ/高濱年尾
寒造り糀は母のにほひして/藤岡筑邨
寒造り見に雪止んで月射して/及川貞
寒造終えて杜氏も背広かな/奥田一夫
来て見れば雪の中なる寒造/岸本尚毅
柿渋を塗りし手桶や寒造/阿部月山子
歌詠みの杜氏もをりし寒造/能村研三
水に浸し寒造り米青みさす/右城暮石
水を揉むことよりはじめ寒造/石川優
洗ひたるものを重ねし寒造/浜/秋邨
俳句例:41句目~
父祖よりの赤城の里の寒造/伊東宏晃
白壁のままに倉古る寒造/榎本冬一郎
洞然と湯気をさまりし寒造/中村丹井
おとがひに糀の花や寒造/阿波野青畝
ほのと燈や裸身酒男の寒造り/及川貞
酒米の冴えたる白さ寒造/水谷たつ子
みちのくの深雪の倉の寒造/遠藤梧逸
大風の坂日あたりて寒造/大峯あきら
寒造り水といふこの温きもの/坂巻純子
汲み水によき日溜りや寒造/藤田あけ烏
寒造り息もろともの声にあふ/今瀬剛一
寒造なべて浄らに狂ひなく/下村ひろし
湯気ひいてはしる蔵人寒造/大橋桜坡子
寒造りの百の甕おく大野蔵/柴田白葉女
二階より桶つりおろす寒造/西山小鼓子
杜氏が身を賭けて働く寒造り/右城暮石
蔵の外たばしる温泉あり寒造/木村蕪城
酒好きになるやも知れず寒造り/及川貞
寒造りしたゝる甕のひゞき哉/田中王城
樅山のなかほどに日や寒造/藤田あけ烏
俳句例:61句目~
能登杜氏のなべて小柄や寒造/福井貞子
寒造仕込むも見るも湯気の中/下村ひろし
寒造はじまる水の生きて来し/後藤比奈夫
ごんぶりもためもささくれ寒造/西本一都
くらがりの土間のでこぼこ寒造/村上青史
米つぶに背と腹のあり寒造り/小島千架子
寒造酒徒も末なるわれに見す/百合山羽公
寒造りこの泡底に切なきもの/天野莫秋子
寒造寝かせておく間の倉の闇/宗像夕野火
寒造り見るいくつもの注連くぐり/森田公司