「茎漬」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「茎漬」について
【表記】茎漬
【読み方】くきづけ
【ローマ字読み】kukizuke
子季語・関連季語・傍題・類語など
・菜漬(なづけ:nazuke)
・葉漬(はづけ:hazuke)
・青漬(あおづけ:aozuke)
・古漬(ふるづけ:furuzuke)
・近江漬(おうみづけ:omizuke)
・顔見世茎(かおみせぐき:kaomiseguki)
・茎の桶(くきのおけ:kukinoke)
・茎の石(くきのいし:kukinoishi)
・茎の水(くきのみず:kukinomizu)
・茎圧す(くきおす:kukiosu)
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季節による分類
・「く」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
茎漬を含む俳句例
行年や河原で積る茎の石/とく
茎の石一点滴と置かれたる/林翔
茎石洗ふ笛吹川の白水泡/中拓夫
茎桶に立てかけてある箒哉/篠原
茎漬の大樽磨く渓の音/西村和江
累卵を敢て試む茎の石/中川四明
初霜の置く石の臼茎の石/青木重行
茎漬の飴色ゆかし母の里/今泉貞鳳
茎石が廃めし旅館の玄関に/辻桃子
茎桶に雪の呵責や波郷の忌/齋藤玄
茎の石煤の夕に洗ひけり/仲岡楽南
茎の石厨終生母のもの/古賀まり子
茎漬の石の大中小を備ふ/大熊一枝
茎漬は鼈甲いろに花と雲/栗生純夫
焼原の夕日の末や茎の石/増田龍雨
月光のはじめて中る茎の石/齋藤玄
茎漬や妻の生涯わが生涯/佐藤漾人
大凡にまろき形や茎の石/松瀬青々
茎漬や日曜版に巴里紀行/大島民郎
夜は凍の力加はり茎の石/大竹きみ江
俳句例:21句目~
酸茎漬全身星に濡れてきて/小原俊一
茎漬の石のしづめる落葉風/石原舟月
曇りぐせつきし北上酢茎漬/安福春水
茎漬の石は長子の手を借りて/林民子
茎漬の石も古りけり母の年/清水基吉
茎漬や金の指輪を二つして/鈴木花蓑
茎の石珠と洗ひて眺めけり/細川加賀
茎の石母の力の底知れず/片山由美子
北上川の茎石持ちて転勤す/石川文子
大寒や水あげて澄む茎の桶/村上鬼域
波郷忌の日の残りをり茎の石/齋藤玄
茎の石母あつかへば素直なり/谷迪子
体育の日や茎石の面洗ひ/殿村菟絲子
大徳寺その茎石のおよそ百/宮坂静生
茎漬や妻なく住を問ふおゝな/炭太祇
それとみる松の戸尻や茎の桶/炭太祇
茎漬けや言伝くるゝ嫁が里/羅蘇山人
茎漬に霰のやうに塩をふる/細見綾子
軒並や酸茎の桶の上の比叡/寺内笛童
潮時の空明り茎漬くるなり/金尾梅の門
俳句例:41句目~
茎漬けの石のしづめる落葉風/石原舟月
茎漬の母でなかりし姉なりし/高野素十
茎漬の水上りたる納屋明り/刀根川美都
茎漬も氷る中なり一茶の地/加藤知世子
茎漬やさざんか明る納屋の前/室生犀星
茎漬や北山しぐれあまたたび/立木大泉
茎漬や手もとくらがる土の塀/室生犀星
茎漬や髪結へば雪ふるといふ/増田龍雨
茎漬を噛んでこの世に浅くをり/森澄雄
風の日の茎漬けてゐる女かな/高浜虚子
この辺の家のたつきの酢茎桶/稲畑汀子
茎漬や明日柏木に月舟忌/阿部みどり女
妻留守の厨守るかに茎の石/鈴木しげを
庭も狭の茎桶の家々相似たり/西山泊雲
水はって大きかりける茎の桶/下村槐太
花嫁の手をあはれめや茎の桶/尾崎紅葉
茎の石ころげしゆゑの柱疵/大橋櫻坡子
茎桶を洗ひふさげし戸口かな/石田勝彦
茎の石洗ひて顔のごとくなり/細川加賀
茎の石結婚用意洩れなきや/成瀬正とし
俳句例:61句目~
茎石に寒の没日のしばしあり/宮田正和
茎石や泥にもならで泥まみれ/村上鬼城
強運の女と言はれ茎漬くる/波多野爽波
過去帳に代々のをみなや茎の石/飴山實
酢茎桶見て上賀茂に遊び居り/野村泊月
味噌可なり菜漬妙なり濁り酒/坂本四方太
茎漬や世帯はいつか嫁のもの/渡辺志げ子
茎漬も味頃諏訪の温泉を浴びに/内藤吐天
茎漬や吹きさらされていろね達/清原枴童
茎漬けのひとの素足を遠く見る/石原八束
ベランダに忘れられゐし茎の石/館岡沙緻
茎漬けの茎鳴くはたを通りけり/石原八束
茎の石抱いて日暮と思ひけり/小笠原和男
茎の石やぶにてあそびゐたる石/辻田克巳
茎漬けて足らへる心土間を掃く/松島文子
茎漬の土間のでこぼこ昔より/石川星水女
茎の石効きをるならむ妻寝落す/乾鉄片子
茎の石納屋の静かを守りけり/村上壺天子
人の家にままごとじみて茎の石/石橋秀野
老母とは見えぬ素早さ茎漬ける/鈴木貞二
俳句例:81句目~
茎の石動かすのみに呼ばれけり/浅井紀丈
君見よや我が手いるゝぞ茎の桶/服部嵐雪
忘れられゐしにはあらず茎の石/大橋敦子
あかあかと藷ゆたけしや茎漬も/石田波郷
月の出てひかりそめしや茎の石/石田波郷
茎漬や伊那をゆつくり風の神/磯貝碧蹄館
枕ともならで茎石となりにけり/小杉余子
茎の石よりふるさとのことに触れ/新津静香
石一つたす茎漬の手くらがり/長谷川久々子
あかるみへ出して古さよ茎の桶/鈴鹿野風呂
茎石の角なめらかに五十路われ/石田あき子
茎漬くるやたま~主人書斎より/楠目橙黄子
梅が枝にしぐれかかりて茎漬ける/室生犀星
玉の手を入れて見せまいか茎の桶/尾崎紅葉
訣れむと一茎の石蕗をあたへける/小林康治
茎の水あすはこぼれんけしきかな/高浜虚子
茎漬くるきたなき浄き水なりけり/星野石木
しみじみと母のものなる茎の石/古賀まり子
霜来るが早しと言へり緋の菜漬け/細見綾子
圧へきつたる茎石おのれ沈み果てぬ/加藤秋邨