「雪沓」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「雪沓」について
【表記】雪沓
【読み方】ゆきぐつ
【ローマ字読み】yukigutsu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・藁沓(わらぐつ:waragutsu)
・深沓(ふかぐつ:fukagutsu)
・爪籠(つまご:tsumago)
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季節による分類
・「ゆ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
雪沓を含む俳句例
眼に余る風紋へ雪沓を置く/原裕
雪沓を吊せし下の石枕/福田蓼汀
雪沓をはかんとすれば鼠行/蕪村
癩園に暮れ雪沓の青き穴/大野林火
雪沓の沓底かけて藁の艶/橋本鶏二
雪沓の音なく来たり湖の際/桂信子
雪沓に唐辛子入れ山の僧/河村静香
新藁の能登雪靴の赤き糸/沢木欣一
雪沓もあり教室の下足箱/前山松花
恪勤の雪沓を穿く汝かな/清原枴童
雪沓に赤紐身の上相談所/桂樟蹊子
雪沓でゆく雪山の発電所/和知喜八
雪沓や風につまりし涙穴/古舘曹人
旧正や藁沓も吊り小商ひ/小国三平
雪沓を穿き淪落の女かな/下村梅子
雪沓や兄弟らしき二人の子/上野泰
雪沓やうち揃へぬぐ日高縁/飯田蛇笏
雪沓の百の口開け嫁を待つ/山崎秋穂
雪沓も脱がで炉辺の話かな/正岡子規
雪沓を脱ぎ全身を解き放つ/寺井満穂
俳句例:21句目~
音もなく雪沓はいて女来る/佐藤朴水
藁沓の欲しき足もと寒牡丹/八染藍子
雪靴に常の勤めの三日かな/相馬遷子
雪靴に添へて賜はる塩五合/沢木欣一
雪靴の気後れ雪のなき街に/稲畑汀子
雪靴の疲れ雪にて拭ひけり/北川英子
雪沓の跡が雪嶺と駅を結ぶ/加藤楸邨
老村医ただ雪沓を頼みとす/佐藤木鶏
雪沓の鷹匠誰も跡継がず/百合山羽公
雪沓が片隅にあり茂吉館/今井恵美子
雪沓で踏むふるさとの雪の音/湊一春
山人の雪沓はいて杖ついて/高浜虚子
雪沓のまま絨緞を歩み来る/長谷川櫂
雪沓の跡明らかに獲物得し/小島左京
雪沓の駅長の声が叱陀せり/加藤楸邨
雪沓の喜ぶ雪の深さあり/後藤比奈夫
雪沓の客ある常照皇寺かな/小西須麻
雪沓の音が雪なき道あるく/稲畑汀子
雪沓を借りて若狭の水送り/三橋迪子
土間暗く雪沓のみが真新らし/姫井苔青
俳句例:41句目~
夜勤めの雪沓に雪きしむなり/木村蕪城
大いなる雪沓混じる湯治宿/下元きみ子
山神に供ふ餅/柿/雪沓添へ/羽部洞然
新しき雪沓なればあたたかし/石田峰雪
新しき雪沓軽く踏み出づる/入江月凉子
日本海昏し雪沓の孫に蹤き/土橋朴人子
穿きながら編む雪沓を諾ひて/後藤夜半
雪沓を欲しとおもへる勤かな/木村蕪城
雪沓を穿きたるままの厨ごと/橋本鶏二
格子漏る月に雪沓ぬぎそろへ/木村蕪城
雪沓の挾まつてゐる薬師の戸/西野文代
雪沓を買ふには空の青過ぎて/加藤楸邨
雪沓のきしみゆくより大旦/金尾梅の門
三浦綾子展雪靴の人ばかり/勝又星津女
藁の香の雪沓を脱ぎ昇殿す/山崎ひさを
林檎売雪来れば穿く雪沓か/水原秋櫻子
明るみに翳る藁沓もう居ぬ君/成田千空
雪のまだ降らぬ雪沓とは軽し/今瀬剛一
藁沓猟のもどりの乱れ脱ぎ/中戸川朝人
雪沓や隣りへくらき月のみち/黒木夜雨
俳句例:61句目~
途中まで送る雪沓履きにけり/高瀬竟二
老村医ただ雪沓をたのみ行く/佐藤木鶏
雪沓に雪踏めば鳴るうれしさよ/上村占
温泉を出でてすぐに雪沓穿く勤/木村蕪城
雪沓を軒に干したる山家かな/吉野左衛門
雪沓穿く広き背にいふ頼みごと/村越化石
雪沓をはいてふるさと人とあり/宮木砂丘
鮎焼きの炉辺の雪沓うつくしき/前田普羅
雪沓をはいて上手に羽子をつく/原田青児
緊めつける雪沓友が抜きくるる/松村蒼石
雪沓を借りて満座の寺を発つ/野島無量子
雪沓の並びし木曽の宿に着く/松沢みさ女
茶の花や焚火の飛火藁沓に/安斎櫻カイ子
雪沓の揃えてありし木地師小屋/田口風子
藁沓は巨人の沓にあらねども/小川双々子
藁沓を脱ぎなまはげは酒ねだる/佐川広治
雪沓の跡より雪のとけはじむ/安藤徳太郎
降誕祭雪靴脱げばうなだれぬ/田川飛旅子
雪沓をすつぽすつぽと抜き歩む/大橋敦子
一人子の雪沓いとけなかりけり/後藤夜半
俳句例:81句目~
雪靴のまま産小屋にのこさるる/古舘曹人
雪靴の小樽の雪になれにけり/鈴木しげを
雪沓を穿くときどつと屠蘇の酔/木村蕪城
一茶の地訪はむ雪沓干しながら/村越化石
蹤いて来る子の雪沓も鳴りにけり/黒木野雨
雪沓を脱ぐ間もあらで酒を呼ぶ/仁村美津夫
雪沓や土間の広さを踏みて待つ/石島雉子郎
雪沓や男女もわかず行き合へる/楠目橙黄子
茂吉忌に雪沓履いて集ひけり/宇都木水晶花
土間ありて巫女の雪沓そろへあり/新井英子
雪沓を持ちて迎へに来てくれし/近藤いぬゐ
雪沓をかの世より踏みきたりけり/平井照敏
雪沓の吊りあり湯女の部屋らしく/樋口陵雨
おのがじし雪沓そろへ人住めり/殿村菟絲子
雪靴をもてセザンヌの前に立つ/田川飛旅子
ごつたがえす雪靴雪下駄わが喪なり/寺田京子
雪沓より砂金のやうなごみを出す/田川飛旅子