「手袋」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「手袋」について
【表記】手袋
【読み方】てぶくろ
【ローマ字読み】tebukuro
子季語・関連季語・傍題・類語など
・手套(しゅとう:shutou)
–
季節による分類
・「て」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
手袋を含む俳句例
子の中の手袋なき子固拳/林翔
豆拾ふ革手袋の女来て/萩原麦草
耕してゴム手袋の型戻る/山崎篤
手袋が鏡の中で花を買う/渋谷道
氷上に手袋落しすぐ拾ふ/森田峠
湖風を真正面の黒手套/山田弘子
手袋の手を置く車窓山深み/上村占
手袋をはめわが醜をわが掴む/林翔
魂ぬけの手袋ありて窯休み/森田峠
更衣せめて真白な手袋も/高木晴子
手袋の裏のわが色折返し/後藤夜半
道の辺に手袋春の落し物/中村祐子
寒雀わが手袋の色に似る/田中冬二
指先の出し手袋の暦売り/今泉貞鳳
手袋は心定めず指にはめ/中村汀女
襟巻と手袋買つて年忘れ/田中冬二
手袋や母情華やぐ席隣る/石塚友二
手袋の単色派手に吊皮に/高濱年尾
亭薄暑手袋をしてゐる女/高濱年尾
神学生手袋黒くカミユ読む/高島茂
俳句例:21句目~
手袋の真白き道士語りだす/日原傅
白鳥の村に手袋忘れたる/石田勝彦
特攻碑手袋赤き子ら遊ぶ/田尻牧夫
手袋のほか何か忘れし坂の上/林翔
手袋を展望台に忘れ来し/石川文子
手袋の布地薄れし処かな/高澤良一
手袋の如く袋の掛けられし/上野泰
手袋で拝む虚空蔵菩薩かな/石寒太
手袋や端麗にして邪に/軽部烏頭子
手袋の手にはや春の月明り/中村汀女
手袋を美しくして家を出る/松山足羽
手袋の手をかざしゐる芦火かな/篠原
てのひらの上で畳みて春手袋/檜紀代
手袋をはめ終りたる指動く/高浜虚子
炭掴む手袋にして妻のもの/竹原梢梧
漂へる手袋のある運河かな/高野素十
手袋の片手穂高に忘れけり/冨村みと
海黒し子の手袋に掴まれて/田原千暉
海茜みる手袋は黒が佳し/柴田白葉女
海に浮く手袋何を掴みしぞ/福田蓼汀
俳句例:41句目~
白の中の純白手袋妻へ買ふ/本宮鼎三
手袋の片方ぬいで立読みす/川原程子
宙吊りにわが手袋と鵠と/宇多喜代子
代田出て泥の手袋草で脱ぐ/西東三鬼
皮手袋を忘れたり朝の喫茶店/中拓夫
決闘のごと手袋を脱ぎすてる/堀政尋
汚れれば父の匂ひの皮手袋/長沼紫紅
砂に落ち鳥の形の春手袋/猪俣千代子
手套がつつむ十指寒礁横並び/三谷昭
柚子買の皮の手袋新しく/今井真寿美
月光が革手袋に来て触るる/山口青邨
観音の手に手袋の忘れもの/綾部仁喜
麗人をいざなふ僕の白手袋/筑紫磐井
チゴガニの応援団の白手套/高澤良一
晩学の手袋を遁ぐ一新書/千代田葛彦
手袋をつかむ一切は男なり/赤尾兜子
切通し手套の拳固めすぐ/大岳水一路
手袋白し森に遊べる一少女/草間時彦
手袋へ紐つけ首へ掛け幼な/福田蓼汀
月光に軍醫の手套ま白なり/横山白虹
俳句例:61句目~
白手套手綱を取つて汚れなし/森田峠
慰まぬ事の慰霊祭手袋をとる/及川貞
戯れに触れ手袋に恋をさす/三好潤子
皮手套葬後の指を嵌め違ふ/大石悦子
紫外線防止のための長手套/高澤良一
手袋を六つ失くして冬終る/黒田杏子
手袋にダイアモンドの指沈め/星野椿
手袋に忘れし暖とわが脈と/赤尾兜子
手袋の己れの指の短かけれ/行方克巳
手袋をはめつつ師弟論納む/桂樟蹊子
手袋の中の水仕の嫌ひな手/前内木耳
手袋の五指恍惚と広げおく/対馬康子
手袋の左許りになりにける/正岡子規
手袋の忘れてありし懺悔台/三枝正子
手袋の手くびのあたり縞多し/上村占
手袋の指組めば日しみにけり/佐野良太
かの枯野子の手袋を隠し了ふ/福永耕二
炭を挽く手袋の手して母よ/河東碧梧桐
手袋の水に浸つて落ちゐたり/茨木和生
ふかふかの手袋が持つ通信簿/井上康明
俳句例:81句目~
久々の夕日手袋の手をかざす/細見綾子
仲直りできぬ手袋脱ぎにけり/藤田弥生
手袋をゆつくり外し七七忌/大木あまり
右左子と手袋の手をつなぐ/東浦津也子
大いなる手袋忘れありにけり/高浜虚子
妙齢を保つレースの手袋に/百合山羽公
手袋の片方拾ふてみたものの/高澤良一
忘れたる手袋ひとつ止り木に/角川春樹
悴みて手袋ぎらひ足袋ぎらひ/太田育子
愛わかつごと手袋に十指編む/橋本榮治
手袋をとりたての手の暖かく/星野立子
手袋や人を見まじとする疲れ/高橋馬相
手袋のうへより握手君はをとめ/上村占
手袋を編みくれし人いまは亡く/上村占
手袋の手をつき憩ふ砂の丘/山口波津女
手袋を握りしめたる湿りかな/久米正雄
手袋を脱ぐ妙薬の無かりけり/松山足羽
手袋をして現実に触れざりし/中村正幸
手袋をあちこちと置く卓の上/久米正雄
手袋に年をかくして夫人かな/星野立子