「寒の水」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「寒の水」について
【表記】寒の水
【読み方】かんのみず
【ローマ字読み】kannomizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・寒九の水(かんくのみず:kankunomizu)
–
季節による分類
・「か」で始まる冬の季語
・「冬の地理」を表す季語
・「晩冬」に分類される季語
月ごとの分類
寒の水を含む俳句例
寒の水喉元を過ぎ大曲り/原裕
花絶えし壺拭き浄む寒の水/林翔
朝寒や寒水石の手水鉢/寺田寅彦
白やさぞな都は寒の水/高井几董
一徹の一志を通す寒の水/塙きく
一言で荒れる唇寒の水/高澤晶子
喜びの面洗ふや寒の水/前田普羅
大淀の源にして寒の水/西村和子
旋回の澱沈みゆく寒の水/如月真菜
掌の窪に死水ほどの寒の水/齋藤玄
行末や今こそ恃め寒の水/清水基吉
情念の身の寒水を渉り居り/桂信子
地下工場寒水通ふ管太き/細谷源二
汲かへていとゞ白さや寒の水/浮流
一矩形光通さぬ寒の水/佐々木六戈
林間に見通す日向寒の水/藤井孝子
古草履寒水に澄み聖農奴/香西照雄
寒の水不動明王浴び給ふ/小川千代
鮒跳んで苗代寒の水の上/岸本尚毅
寒の水喉越す辛口と思ふ/小倉涌史
俳句例:21句目~
寒の水百薬の長併せ飲む/大宮良夫
銭洗ふ新笊抜ける寒の水/村井信子
寒の水今日の終りの薬飲む/朝倉和江
寒水の韻き収めし壺の闇/鷲谷七菜子
梅女の足海草つけて寒水に/横光利一
寒の水怖る渕なす女の眼/柴田白葉女
礁上の寒水海苔を湛へけり/渡邊水巴
ひたひたと寒九の水や廚甕/飯田蛇笏
仏にも寒九の水をたてまつる/森澄雄
寒の水榊の影を折り畳み/佐々木六戈
寒の水湛へつくばひ一穢なし/林大馬
寒の水溢れる音を聞いてをり/星野椿
寒の水腹背の創いたみけり/小林康治
切昆布洒すや寒の水まけて/石塚友二
包丁の先より垂るる寒の水/加藤耕子
含嗽して舌の根甘し寒の水/石塚友二
寒の水荒使ひして鯉を切る/新田祐久
命あり家あり寒の水を飲む/坂田栄三
山吹の反り枝も蒼し寒の水/岩田昌寿
恙なき五臓六腑や寒の水/青木起美子
俳句例:41句目~
檻に猿をみて手に濺ぐ寒の水/竹中宏
歳寒の水みつ陶の梅もどき/石原舟月
現世のひと口漱ぐ寒の水/藤井冨美子
百薬の長にもまさる寒の水/福山英子
藺表へていねいに吹く寒の水/斉藤大
諸手つき墓洗ふべし寒の水/小林康治
金大鱗海の日に汲む寒の水/巌谷小波
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく/西島麦南
寒水に豆腐沈めしままの闇/赤尾恵以
寒水のひと口に勘とり戻す/多田菊葉
三寒の水甕に日のそだちをり/長谷川双
寒の水寒餅ひたしたくはへぬ/室生犀星
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ/西島麦南
焼跡に透きとほりけり寒の水/石田波郷
寒の水提げて漁船の中に消ゆ/大屋達治
寒の水飲み干す五臓六腑かな/細見綾子
寒水に楮をさらす身をさらす/松井利彦
一条入り一条あふれ寒の水/千代田葛彦
一滴の厳しさ寒の水にあり/深川正一郎
寒の水になひこぼせる閾かな/石原舟月
俳句例:61句目~
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水/小林康治
寒の水棒の如くに呑みにけり/藤松遊子
咽喉を落つ法悦に似て寒の水/小林康治
寒の水あびし巡査や玉せゝり/佐野不老
寒水を焚き汽罐車を野に放つ/細谷源二
寒の水あをあをとして吉野川/日野草城
寒の水泥酔漢をつたい落つ/鈴木六林男
寒水にうたれる行者遠く見ゆ/清水昭子
耳さときものも眠れり寒の水/久保純夫
寒水や裏ごしの糊まろやかに/三並蘭香
胃に落ちて甘さ戻りぬ寒の水/石塚友二
寒の水ひたひたと呑む猫の舌/大橋敦子
舌頭にとろりと甘き寒の水/高橋淡路女
潦そのまゝ寒の水となる/阿部みどり女
よき甕に寒九の水を封じけり/武田酔仏
出来過ぎの話寒九の水呷る/種子田誠子
山河眼にさやか寒九の水のめば/朔多恭
歓べる寒九の水ののんどかな/石塚友二
わさび田のまろ石寒の水ながれ/皆吉爽雨
寒の水かそけき音に煮たちけり/西島麦南
俳句例:81句目~
寒の水ごくごく飲んで畑に去る/飯田龍太
ごくごくごく水のまことの寒の水/齋藤玄
寒の水のみてうつし身二分けに/皆吉爽雨
寒の水もろもろのもの制し澄む/右城暮石
寒の水をたゝへて噴井煙りゐし/島田青峰
寒の水念ずるやうにのみにけり/細見綾子
寒の水柄杓飲みして山暮し/ながさく清江
老移民波止場の寒の水を飲む/伊丹三樹彦
寒の水飲めばたやすく心満つ/殿村菟絲子
寒の水胃の水琴の鳴るごとし/目迫のりを
寒の水澄む喋ることなくなりぬ/吉田紫乃
汲み上げて地の温みある寒の水/松下晴耕
寒水をのみはなちたる柄杓かな/飯田蛇笏
寒水を飲みはなちたる柄杓かな/飯田蛇笏
寒水速し深夜を少年少女といて/寺田京子
おささらの列へ寒九の浄め水/小枝秀穂女
父というおとこにありぬ寒の水/大西泰世
汲みあふる寒水の杓よるべなし/飯田蛇笏
焦土より寒水はしりいづるかな/加藤秋邨
生理日の渇き寒水ごくごくのむ/草村素子