季語/蓼の花(たでのはな)を使った俳句

「蓼の花」を使用した俳句についてまとめてみました。

スポンサーリンク

季語「蓼の花」について

【表記】蓼の花

【読み方】たでのはな

【ローマ字読み】tadenohana

子季語・関連季語・傍題・類語など

・穂蓼(ほたで:hotade)

・蓼紅葉(たでもみじ:tademomiji)

季節による分類

・「た」で始まる秋の季語

・「秋の植物」を表す季語

・「初秋」に分類される季語

月ごとの分類

8月の季語

蓼の花を含む俳句例

山の辺や天蓼拾ふ青嵐/白雄

三徑の十歩に盡て蓼の花/蕪村

砂川や或ハ蓼を流れ越す/蕪村

毛蓼の花のみゆる塀うら/執筆

涸川の一むら赤し蓼の茎/鼠骨

蓼の葉を此君と申せ雀鮓/蕪村

浅水に浅黄の茎や蓼の花/太祗

水底を水の翳ゆく桜蓼/根岸善雄

炎天に蓼食ふ虫の機嫌かな/一茶

白雲の寂花蓼の露百顆/石原八束

大蓼や百済の翁口論す/三好達治

日盛りの一本蓼や飛鳥川/原田喬

甲斐が根や穂蓼の上を鹽車/蕪村

桜蓼神武天皇舟出の地/高澤良一

蓼の花小屋一杯の舟作る/堤京子

春の夜や階多き蓼雨亭/田中冬二

さび鮎やいつを栄の蓼の花/寛満

侘助も其下草の蓼も末/小澤碧童

川床の蓼に雨ふる秋暑かな/舟月

早鮓や東海の背戸の蓼/子規句集

俳句例:21句目~

鯛の子やかざしの桜蓼の花/山夕

熊の鼻骨まだ軟かし蓼の風/林翔

千人の病者冬待つ蓼の花/有働亨

青蓼の厨も見えて麻暖簾/泉鏡花

行水や水引の花蓼の花/田中冬二

大峯の頂暮れず蓼の花/角川春樹

秋風は蓼の渚に起りけり/松瀬青々

湖渡る手草にしをり蓼の花/森澄雄

桜蓼ささやく湖に頷ける/西本一都

水赤く泡流れけり蓼の花/正岡子規

子に低く傘さしかくる蓼の花/林翔

朝風に蘇聯や近し蓼の花/小林康治

小学校唱歌へ歩く蓼の花/松山足羽

蓼の花静養と言ふ旅終る/山田和子

漬蓼の穂に出る月の名残かな/其角

花蓼や縹色もめん晒す川/野村喜舟

鹽蓼の壺中に減るや自ら/高濱虚子

蚯蚓なく明日は日和ぞ蓼の花/風斤

老人に童心のふと蓼の花/飯田龍太

朝寒や花より赤き蓼の茎/内藤吐天

俳句例:41句目~

蓼の穂の風や鶉の夜明顔/寺田寅彦

川よごれその上蓼の花の錆/阿部堂

厨出て夕焼烈し蓼を摘む/桜井亜石

門前に舟繋ぎけり蓼の花/正岡子規

舷に蓼摺小木や夕すゞみ/加舎白雄

蓼に風少女が買ひし犬大き/原和子

萩叢と睦み合ひつつ蓼は蓼/岡本眸

塩蓼の壷中に減るや自ら/高浜虚子

夕帰る籃おもたし蓼の雨/幸田露伴

水亭に風薫るなり膳の蓼/戸沢古鐸

古池やほうけて蓼の花盛/藤野古白

蓼倒れの京の祭を見に来り/高浜虚子

蓼咲くや油まみれの指の傷/古沢太穂

蓼紅し十年がほどは疾迅裡/清水基吉

蓼赤し野川にたるむ鳴子縄/石井露月

うつむきて歩く心や蓼の花/石田波郷

花淡く茎のかがよふ雨の蓼/飯田蛇笏

花を見て蓼の多さよ此の辺/黒柳召波

逝く水もたとへば縁桜蓼/金箱戈止夫

雨風の貧乏穂蓼咲きにけり/小林康治

俳句例:61句目~

霧雫ふくらみにけり蓼の花/杉若輝枝

鶴の影穂蓼に長き入日かな/夏目漱石

しののめや雲見えなくに蓼の雨/蕪村

水跡の水なし川や蓼の花/小玉真佐子

沖塩のはやせを恋や蓼の雨/高井几董

なかなかに穂蓼はつよし秋の水/唐水

ふり止みて再びはげし蓼の雨/桂信子

ふるさとの水美しや蓼の花/本岡歌子

米磨げば水賑はしや蓼の花/岩木躑躅

空はもう暗くて水に映る蓼/岩田由美

内湖の細江になりて蓼の花/高浜虚子

沼風の仮借するなし蓼の花/石田波郷

淋しさや夕日横たふ蓼の花/松瀬青々

湖波の畔にたゝみて蓼涵る/飯田蛇笏

大蓼や海を塗り込む留萌川/深谷雄大

大蓼や遠見に見ゆる牛の市/三好達治

秋霖す蓼のふる道人ゆかず/石原舟月

小出水の風があるなり蓼の花/齋藤玄

山河の野路に成行や蓼の花/高井几董

山門の風吹きぬけし蓼の花/竹内節子

俳句例:81句目~

幣たてて卸す田舟や蓼の花/井口秀二

径に沿ひ曲れば曲る蓼の川/石塚友二

溝を出て鶏が足拭く蓼の花/高田蝶衣

捨水の波を打ちゆく蓼の溝/山口青邨

火の山の裏白蓼のみな黄葉/岡田日郎

月の夜や蓼穂を散らす水車/八十島稔

本読めば水流れけり蓼の花/田中裕明

母見舞ふ心となりぬ蓼の花/藤田湘子

花蓼の小径上りに露の富士/松村蒼石

葛飾は蓼咲く水の曇り易し/内藤吐天

蓼の花揺れゐて海の夕明り/澤村昭代

蓼の花昏くなりつつ濤高む/松村蒼石

蓼の花酒は温むべくなりぬ/石井露月

蓼の花野路より高き細流れ/大谷句佛

生前のこと蓼の花咲きしこと/田中裕明

あさら井に蓼の葉浸し夏来る/田中冬二

いのちなり露草の瑠璃蓼の紅/石田波郷

花蓼に一つとなりし水溜り/野中/穂浪

この方が面白さうな蓼咲く路/高澤良一

こぼれ日の桜蓼咲く万里忌かな/齋藤玄