「棉」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「棉」について
【表記】棉
【読み方】わた
【ローマ字読み】wata
子季語・関連季語・傍題・類語など
・桃吹く(ももふく:momofuku)
・棉吹く(わたふく:watafuku)
・棉の桃(わたのもも:watanomomo)
–
季節による分類
・「わ」で始まる秋の季語
・「秋の植物」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
棉を含む俳句例
棉吹くや河内も見ゆる男山/凡兆
棉の実や秩父街道土埃/新間絢子
棉吹くや母が遺愛の糸車/栗田素江
小廻りに蒟蒻の蝶棉の蝶/石田波郷
家もなし棉の畠の雲の峯/子規句集
棉摘婦棉に孕みし袋さげ/大場白水郎
棉摘めり四辺の棉の静かなる/森田峠
中国や棉吹いて空果てしなし/森澄雄
国境を越え来る人夫棉の秋/田口梅子
朝霧に漂ふごとく棉摘みぬ/三宅孤軒
雇ひたる異人も移民棉の秋/佐藤念腹
鍔広きメキシコ帽や棉の秋/渡利渡鳥
棉車驢馬を気儘に歩かする/太田土男
しろがねの一畝の棉の尊さよ/栗生純夫
水牛立つ朝の棉摘みは星摘み/金子皆子
満目の棉吹く中に踏み入りぬ/能田みち
爽やかに木棉橋より歩きけり/山本洋子
白といふ色に疲れて棉を摘む/宮木砂丘
白骨もみゆ畑の棉みのりゐる/瀧井孝作
腰布もサリーも汚れ棉車/佐々木とみ子
俳句例:21句目~
貝に似し小さき蝶や棉吹ける/小松虹路
飛行機も農具の一つ棉の秋/吉良比呂武
駱駝より降りて握手や棉の秋/安田北湖
峡の雲棉吹く雨をこぼしけり/富岡計次
廚まで棉屑ちらし冬仕度/八反田かすみ
旅にして棉笑む風の北よりす/臼田亞浪
棉吹いて心の軽き日なりけり/後藤立夫
棉摘の見えざる畑も棉白く/大場白水郎
アメリカの宝庫加州の棉の秋/吉良比呂武
大水のあとに取るべき棉もなし/子規句集
山風に棉ふき出でてましろけれ/太田鴻村
棉を摘む髭美しきメキシカン/吉良比呂武
棉摘むと人びと漂ひはじめけり/熊谷愛子
棉摘むや黄河が吐きしこの泥土/加藤秋邨
神饌の今年の棉を摘みて干す/野津八洲範
絹の道縷々と棉干し豆も干す/小檜山繁子
棉ひとつ夢ひとつ摘み昼の月/文挟夫佐恵
棉の実や日落つる沼は横に展ぶ/斉藤英石
棉熟るる日和ながらも海の荒れ/木村蕪城
鶏林のまひるの夢に棉吹けり/文挟夫佐恵
俳句例:41句目~
ゆたかなる今年の棉にめぐりあふ/栗生純夫
売る程も買ふ程もなき木棉摘む/石島雉子郎
外海二三日鳴つて棉ふき尽しけり/西村竜児
二番摘みの棉こぼしゆく無蓋貨車/毛塚静枝
棉一と日摘みて浮浪者旅つゞく/吉良比呂武
洪水によごれし棉を摘みにけり/古久根蔦堂
棉吹いて空の微塵の見ゆるかな/後藤比奈夫
箕と笊に今年の棉はこれつきり/中田みづほ
朝鮮唐棉たんたん狸のふぐりぞな/高澤良一
ゆたかなる棉の原野にいまいくさ/長谷川素逝
山あれば富士と名づけて棉を摘む/木村要一郎
棉はじきつきさす弾は見ゆるごとし/片山桃史
棉の実を摘みゐてうたふこともなし/加藤秋邨
驢馬/騾馬の没り日をいそぐ棉車/つじ加代子