「秋蚕」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「秋蚕」について
【表記】秋蚕
【読み方】あきご/しゅうさん
【ローマ字読み】akigo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・初秋蚕(しょしゅうさん:shoshusan)
・晩秋蚕(ばんしゅうさん:banshusan)
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季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の動物」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
秋蚕を含む俳句例
白障子よりの慈光に秋蚕飼ふ/長田等
炎天や秋蚕の為の桑の出来/高濱年尾
秋蚕守る猫神さまの大きな目/辻桃子
暗がりに秋蚕が眠り馬籠宿/竹前康子
家家に一人づつ婆秋蚕済む/高野素十
梯子段一歩より闇秋蚕飼ふ/木村蕪城
固まつて秋蚕の眠る平家村/佐川広治
歳月や秋蚕の棚にひびきあう/安西篤
杣仕事休みわづかの秋蚕飼ふ/原孚水
真田砦ありし山里秋蚕飼ふ/伊東宏晃
秋蚕飼ふ老二人とは父と母/倉田紘文
裏戸開け秋蚕光らす朝の嫁/金子兜太
山下る秋蚕ひた喰む音を過ぎ/中島斌雄
教材に秋蚕飼ひけり分教場/佐野たけ子
秋蚕の灯目指して帰る棚田道/広瀬直人
横山を下りれば秋蚕飼へる家/高浜虚子
桑籠の紐の細りし秋蚕飼ふ/大岳水一路
秋蚕眠る肩が寒いと母のいう/遠山郁好
秋蚕繭になりし話を風が吹く/細見綾子
秋蚕飼ふ村の夜更けの通り雨/田中冬二
俳句例:21句目~
秋蚕飼ふ村の高みのかがひ跡/沢木欣一
裏山に日が赤々と秋蚕かな/小笠原和男
貰ひ桑あての秋蚕を少し飼ふ/鈴木秋翠
近江路は秋蚕あがりし風の音/杉浦範昌
屋根石に雨さだめなし秋蚕飼ふ/皆吉爽雨
更くる夜の秋蚕の知恵の貌を見る/日原傳
村は夕べ障子の中に飼ふ秋蚕/長谷川素逝
桑をやる秋蚕を全くおほひつつ/皆吉爽雨
棚の上の昏きに秋蚕すきとほり/井沢正江
浦凪をかさね秋蚕の繭ごもり/下村ひろし
男ひとり秋蚕飼へる山家かな/藤田あけ烏
秋蚕にも桑にも悪き雨つづく/野中/穂浪
お祭もすみし秋蚕を掃き立てゝ/宮下翠舟
秋蚕糸干しさらさるる次第かな/飯田蛇笏
しんかんと秋蚕眠るに取巻かる/萩原麦草
秋蚕飼ふひつそりさ散り鳳仙花/細見綾子
秋蚕飼ふものやはらぎを兵還る/細見綾子
街道の灯の明るきは秋蚕飼ふ/吉村ひさ志
秋蚕飼ふ手やめて案内一茶堂/鈴鹿野風呂
しんしんと秋蚕眠るに取巻かる/萩原麦草
俳句例:41句目~
ふるさとの秋蚕のこもる繭白し/中村瑞穂
もの探す形虚空の秋蚕あり/阿部みどり女
繭に入る秋蚕未来をうたがはず/木下夕爾
電球の紐ながく吊る秋蚕かな/藤田あけ烏
三齢三眠さめて秋蚕の薄みどり/川井玉枝
夕日すこし川底にあり秋蚕村/古賀まり子
天の川に障子開け放ち秋蚕の家/萩原麦草
天井に梯子秋蚕のねむりどき/殿村菟絲子
阿蘇荒もなくて秋蚕の育ちよし/島津唖草
秋蚕飼ひ新野の人は炉を焚ける/加藤三七子
秩父人秋蚕あがりぬと来て踊る/水原秋桜子
秋蚕飼ふにほひの奥に人病めり/能村登四郎
秋蚕ゐて天地へめぐりゐたりけり/平井照敏
たちつ居つ高麗人の見る秋蚕かな/飯田蛇笏
山の気や秋蚕もわれも健康に/阿部みどり女
トラックの轟き秋蚕まろびけり/殿村莵絲子
年々に飼ひへらしつゝ秋蚕飼ふ/大橋桜坡子
雨つゞく秋蚕の炉火を熾んにす/金子伊昔紅
秋蚕飼ふ帯無きうしろすがたかな/京極杞陽
土間に紙延べて飼はるゝ秋蚕かな/藤原風驚子