「蚯蚓鳴く」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蚯蚓鳴く」について
【表記】蚯蚓鳴く
【読み方】みみずなく
【ローマ字読み】mimizunaku
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「み」で始まる秋の季語
・「秋の動物」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
蚯蚓鳴くを含む俳句例
呪詛で蚯蚓鳴かせず庵の僧/乙二
板壁の木の丸殿や蚯蚓鳴く/蝸茗
蚯蚓鳴く辺に来て少女賢しや/稚
蚯蚓鳴く顔して山のひとり姥/澄雄
蚯蚓鳴くや冷き石の枕元/寺田寅彦
蚯蚓なく明日は日和ぞ蓼の花/風斤
蚯蚓鳴きテレビ女の顔写す/皆吉司
裏山の雨雲深し鳴く蚯蚓/会津八一
一日の如き十年蚯蚓鳴く/佐藤漾人
露と波とに蚯蚓鳴くらん芥川/才麿
餌箱の蚯蚓鳴くなり流元/寺田寅彦
蓙ひえて蚯蚓鳴き出す別かな/寅彦
蚯蚓鳴く間宮海峡真暗に/小檜山繁子
蚯蚓鳴く遺愛の硯中くぼみ/安田優歌
湯気絶えし茶殻の下や蚯蚓鳴く/麦光
蚯蚓鳴く草むら月は七日頃/右城暮石
監獄の裏の小溝や蚯蚓鳴く/寺田寅彦
争ひし後の沈黙蚯蚓鳴く/相河美智子
蚯蚓鳴くや油に生きし昔の灯/東洋城
降り足らぬ闇の深さや蚯蚓鳴く/芦大
俳句例:21句目~
飯盗む狐か蚯蚓鳴き止みぬ/羅蘇山人
この村の土の俳諧蚯蚓鳴く/射場秀太郎
蚯蚓鳴く道より低き木地師村/道川虹洋
みみず鳴く日記はいつか懺悔録/五千石
鳴く蚯蚓肺と覚ゆる痛みどこ/富田木歩
焼跡や井戸は埋れて蚯蚓鳴く/寺田寅彦
蚯蚓鳴く永井荷風を読む夜は/廣崎龍哉
童子呼べば答なし只蚯蚓鳴く/子規句集
蚯蚓鳴いて隣の咄きこえけり/森川暁水
背中曲げ歩く教師や蚯蚓鳴く/藤井彰二
蚯蚓鳴き故郷の夜道今も同じ/福田蓼汀
蚯蚓鳴く大滑走路ひびわれて/山田春生
蚯蚓鳴くかなしき錯誤もちつづけ/青邨
手洗へば蚯蚓鳴きやむ手水鉢/正岡子規
蚯蚓鳴くあたりに非常口灯る/五島高資
蚯蚓鳴くや肺と覚ゆる痛みどこ/木歩/
通夜番の角々に立ち蚯蚓鳴く/山田節子
君もまた長子の愁ひ蚯蚓鳴く/藤田湘子
仕置場の裏を通れば蚯蚓鳴く/寺田寅彦
鳴く蚯蚓破船は誰が倒せしか/今瀬剛一
俳句例:41句目~
仮の世に秘めごと多し蚯蚓鳴く/市堀玉宗
座ひえて蚯蚓鳴き出す別れかな/寺田寅彦
肩に胸に抜毛するなり蚯蚓鳴く/森川暁水
泥吐いて胸の痩せたる蚯蚓鳴く/佐原トシ
蚯蚓鳴くこと延々と不意に止む/山西雅子
蚯蚓鳴くらしきあたりへ眠り落つ/徳弘純
蚯蚓鳴く不義理重なり重ぬるも/清水基吉
蚯蚓鳴く六波羅蜜寺しんのやみ/川端茅舎
蚯蚓鳴く疲れて怒ることもなし/石田波郷
蚯蚓鳴く病母励ます術なくて/秋川ハルミ
蚯蚓鳴く空気うすしと思ふとき/橋本榮治
蚯蚓鳴く耳鳴りもまた闇のこゑ/山口草堂
蚯蚓鳴く蚯蚓にも閨ものがたり/辻田克巳
みみず鳴く夜は暁へすこしづつ/坊城俊樹
俳句史に発禁/検挙/鳴く蚯蚓/池田澄子
みみず鳴く鋳物の町の溶滓捨場/高橋冬竹
雑器窯すこし卑しみ蚯蚓鳴く/文挟夫佐恵
雨あがり蚯蚓鳴き子ら家にある/田村了咲
テレパシー感じる右手蚯蚓鳴く/斉藤浩美
三味線をひくも淋しや蚯蚓鳴く/高濱虚子
俳句例:61句目~
丸きもの地球がひとつ蚯蚓鳴く/栗栖浩誉
他に鳴くもののなければ蚯蚓鳴く/蔦三郎
蚯蚓鳴くこの世に終りあるごとく/郡司野鈔
宇陀郡は月光の捨て場蚯蚓鳴く/河原枇杷男
古き悔かかる夜蚯蚓鳴くなめり/下村ひろし
口に入りし抜毛を噛めり蚯蚓鳴く/森川暁水
みみず鳴く古き指輪の愛の文字/稲垣きくの
みみず鳴くや肺と覚ゆる痛みどこ/富田木歩
みみず鳴くそを聞く顔を怖るゝか/石田波郷
えさ籠に明日をもしらで蚯蚓鳴く/羅蘇山人
蚯蚓鳴く鳴かねばならぬ訳を聞く/岡野洞之
指先より何か逃げゆく蚯蚓鳴く/沖田佐久子
蚯蚓鳴く上戸にまじる下戸ひとり/橋本榮治
蚯蚓鳴く人の来ぬ夜のつづきけり/森川暁水
蚯蚓鳴く古文書にある飛騨一揆/西村三穂子
駅前の蚯蚓鳴くこと市史にあり/高山れおな
みみず鳴く眼鏡ふたつに使はれて/岡本まち子
みみず鳴く引きこむやうな地の暗さ/井本農一
どぶくさき路地を這入れば蚯蚓鳴く/寺田寅彦
蚯蚓鳴く睡り浅きはかなしきこと/八幡城太郎
俳句例:81句目~
蚯蚓なくあたりへこゞみあるきする/中村草田男
蚯蚓鳴く路地を死ぬまで去る気なし/鈴木真砂女
蚯蚓鳴くエゴン/シーレの絵の中に/和田耕三郎
蚯蚓鳴くあたりへこゞみあるきする/中村草田男
必ず来る要らなくなる日みみず鳴く/田川飛旅子
みみず鳴く草履編みため編みため死に/武田伸一
もの提げて手が抜けさうよ蚯蚓鳴く/八木林之助