「鉦叩」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鉦叩」について
【表記】鉦叩
【読み方】かねたたき
【ローマ字読み】kanetataki
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「か」で始まる秋の季語
・「秋の動物」を表す季語
・「初秋」に分類される季語
月ごとの分類
鉦叩を含む俳句例
耳底にゐて懸命の鉦叩/斎藤玄
暁は宵より淋し鉦叩/星野立子
朽舟を浄土と籠り鉦叩/松原安治
横顔の蔭の方なる鉦叩/佐藤漾人
耳底は胸底いつも鉦叩/鷹羽狩行
羅漢寺尼ゼは有髪鉦叩/星野立子
紀の国の闇大きかり鉦叩/森澄雄
鉦叩豆粒ほどの僧います/中田剛
鉦叩母の齢の先を打つ/矢部白芳
鉦叩朝より叩く含み墨/村上麓人
鉦叩戻りて旅は白き霧/野澤節子
浅学の枕つらぬく鉦叩/岡澤康司
消壺の昔のままや鉦叩/佐藤和枝
既にして夕心なり鉦叩/下村非文
先住忌すみし夕の鉦叩/小林翠岱
鉦叩女に深き闇ありぬ/齋藤愼爾
又語る夫の遺影に鉦叩/稲畑汀子
命惜し命惜しとて鉦叩/稲畑汀子
鉦叩元関取も老後にて/飯田龍太
肉体が器となりぬ鉦叩/久保純夫
俳句例:21句目~
紀の国に闇大きかり鉦叩/森澄雄
一つ叩き一つ確め鉦叩/後藤比奈夫
一燈下この無心なる鉦叩/秋光泉児
一芸を守る淋しさ鉦叩/堀之内和子
鉦叩水琴窟は地下に鳴る/吉年虹二
鉦叩闇の深浅おのづから/島谷征良
鉦叩音を重ねて急に雨/加倉井秋を
鉦叩黄泉より茅舎は石枕/福田蓼汀
仏頭をあづかる寺に鉦叩/高澤良一
雑寝して一人一人に鉦叩/古舘曹人
残されし夜を数へて鉦叩/関口美子
母の文追書き多し鉦叩/河野柏樹子
夕五音更けて二音や鉦叩/吉野義子
音短かに一度々々の鉦叩/野澤節子
月明の陰へ陰へと鉦叩/小檜山繁子
繋ぎ打つ鐘は別なる鉦叩/原田青児
落日の奢りのあとの鉦叩/友岡子郷
街騒にふとある静寂鉦叩/榊原知之
近きより海の暮れゆく鉦叩/後藤章
追憶が我をさいなむ鉦叩/福田蓼汀
俳句例:41句目~
墓守の火種も消えて鉦叩/斎藤夏風
野路暮れて草の陰より鉦叩/星野椿
鉦叩たゝきて孤独地獄かな/安住敦
鉦叩ひとり遊びの独り言/長田群青
わが心ひそかに聞ゆ鉦叩/中村汀女
鉦叩少し急いでゐる如く/岸本尚毅
鉦叩山鳴熄めばまた叩く/米谷静二
ひそと忌を修すに囃す鉦叩/稲畑汀子
あるだけの山星いでぬ鉦叩/兒玉南草
鉦叩すがれの鉦を二つ三つ/大橋敦子
鉦叩たたきつかれて雨到る/菖蒲あや
逝きし人憶へる耳に鉦叩/五十嵐播水
頬杖のおのづと伏目鉦叩/稲垣きくの
誰がために生くる月日ぞ鉦叩/桂信子
鉦叩たゝきやめたる虫の声/富安風生
鉦叩ところを移す幽かかな/中村汀女
だんだんと地中へ沈む鉦叩/野中亮介
だんだんに心一つに鉦叩/深見けん二
とぎれしがまた訥々と鉦叩/重見和子
なきそめし今夜の虫は鉦叩/高野素十
俳句例:61句目~
なき初めて今宵の虫は鉦叩/高野素十
眠られぬ夜は光りをり鉦叩/大屋達治
鉦叩なきをり暇申しけり/小原菁々子
鉦叩ひかへめにして正確に/中嶋秀子
鉦叩ひとり尋ねてきたりけり/中田剛
まつくらな那須ヶ原の鉦叩/黒田杏子
鉦叩まひるの鉦はけどられず/樋笠文
鉦叩一打も弛みなかりけり/倉田紘文
鉦叩今日の余白を埋めをり/吉田節子
鉦叩他人の運命定めをれば/川村紫陽
目を病めば今宵も早寝鉦叩/小坂蛍泉
滴中に打たせゐるもの鉦叩/石田郷子
中興の鉦叩とぞ最期の打/佐々木六戈
亡き子あらば今頃帰る鉦叩/福田蓼汀
亡父の夢覚めて懐かし鉦叩/河津紅子
眠たさの一途の子かな鉦叩/石塚友二
吾れのみの刻過ぎ易し鉦叩/高木晴子
やがて暁そゆゑの闇の鉦叩/石塚友二
胸倉という倉のつめたさ鉦叩/澁谷道
姨石の闇にしるべの鉦叩/佐藤美恵子
俳句例:81句目~
己れ打つ音ひたすらに鉦叩/高橋悦男
鉦叩思ひだしてはまた叩く/杉山青風
御遺影の花にまた来よ鉦叩/田中由子
鉦叩星の生死を音としたり/秋山貞彦
戸に触れし風の広さや鉦叩/斉藤夏風
鉦叩昼を淋しくすることも/稲畑汀子
気兼なき一人のくらし鉦叩/翁長恭子
毎晩の鉦叩なりなつかしく/河野静雲
黒塗りの昭和史があり鉦叩/矢島渚男
掃き終へし畳つめたき鉦叩/菖蒲あや
母逝きて幾夜を経たる鉦叩/三好潤子
鉦叩近づきし忌を違へずに/山田弘子
繕つてをればやすらぎ鉦叩/松山足羽
月出でて四方の暗さや鉦叩/川端茅舎
確かめて確かめて打つ鉦叩/西村和子
母恋ひの二タ夜の同じ鉦叩/高田秋仁
連衆の数をたのまず鉦叩/佐々木六戈
離れいるときを大事に鉦叩/高澤晶子
雨脚に早打ちとなる鉦叩/松尾崎明美
いねがての潮騒のなか鉦叩/佐野まもる