「蜻蛉」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蜻蛉」について
【表記】蜻蛉
【読み方】とんぼ
【ローマ字読み】tombo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・蜻蜓(やんま:yamma)
・鬼やんま(おにやんま:oniyamma)
・銀やんま(ぎんやんま:ginyamma)
・ちゃん(ちゃん:chan)
・渋ちゃん(しぶちゃん:shibuchan)
・腰細やんま(こしぼそやんま:koshibosoyamma)
・黒やんま(くろやんま:kuroyamma)
・更紗やんま(さらさやんま:sarasayamma)
・青蜻蛉(あおとんぼ:aotombo)
・塩辛蜻蛉(しおからとんぼ:shiokaratombo)
・塩屋蜻蛉(しおやとんぼ:shioyatombo)
・塩蜻蛉(しおとんぼ:shiotombo)
・麦藁蜻蛉(むぎわらとんぼ:mugiwaratombo)
・麦蜻蛉(むぎとんぼ:mugitombo)
・猩々蜻蛉(しょうじょうとんぼ:shojotombo)
・虎斑蜻蛉(とらふとんぼ:torafutombo)
・高嶺蜻蛉(たかねとんぼ:takanetombo)
・こしあき蜻蛉(こしあきとんぼ:koshiakitombo)
・胡黎(きやんま:kiyamma)
・精霊蜻蛉(しょうろうとんぼ:shorotombo)
・仏蜻蛉(ほとけとんぼ:hotoketombo)
・秋卒(あかえんば:akaemba)
・秋茜(あきあかね:akiakane)
・深山茜(みやまあかね:miyamaakane)
・眉立茜(まゆたてあかね:mayutateakane)
・のしめ(のしめ:noshime)
・のしめ蜻蛉(のしめとんぼ:noshimetombo)
・八丁蜻蛉(はっちょうとんぼ:hatchotombo)
・蝶蜻蛉(ちょうとんぼ:chotombo)
・腹広蜻蛉(はらひろとんぼ:harahirotombo)
・昔蜻蛉(むかしとんぼ:mukashitombo)
・あきつ(あきつ:akitsu)
・えんば(えんば:emba)
・えんま(えんま:emma)
・とんぼう(とんぼう:tombou)
・蜻蛉釣(とんぼつり:tombotsuri)
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季節による分類
・「と」で始まる秋の季語
・「秋の動物」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
蜻蛉を含む俳句例
蜻蛉の夢や幾度杭の先/漱石
朝市に托鉢多し鬼やんま/春樹
萍に添うて下るや川蜻蛉/天笑
蜻蛉や沖釣舟の舷に/小杉余子
弥勒堂蜻蛉ひびく蔀かな/林之助
引潮にいよ~高き蜻蛉かな/石鼎
蜻蛉や勢田の合戦古に/尾崎迷堂
蜻蛉や隔心の門出て一人/原石鼎
厚底の靴に鉄漿蜻蛉かな/西田孝
蜻蛉やなにの味ある竿の先/探丸
蜻蛉を十四階の景として/橋本博
いつ見ても蜻蛉一つ竹の先/子規
蜻蛉やこの頃芦は櫛り/小杉余子
蜻蛉や村なつかしき壁の色/蕪村
秋風や蜻蛉の翅蝉の羽/会津八一
聖時鐘蜻蛉ら露を啣へ飛ぶ/林翔
朝皃や夜明の蜻蛉一つ飛ぶ/龍雨
音立てて枯葎出る蜻蛉かな/桐明
鬼やんま往来白き埃道/高澤良一
蜻蛉や叩くも墓の船大工/細谷不句
俳句例:21句目~
葭叢の中に蜻蛉の通り道/高澤良一
蜻蛉の極めて人間臭き季/高澤良一
蜻蛉釣採集などゝ小癪なり/森鴎外
蜻蛉や多摩の横山どこまでも/龍雨
河童忌の燈心蜻蛉鼻の先/飯田龍太
蜻蛉やとりつきかねし草の上/芭蕉
蜻蛉やとぶ翅触るたのしさに/誓子
杉垣に女顔出す蜻蛉かな/会津八一
朝の富土全し蜻蛉交みをり/杉本寛
蜻蛉を止りつかせぬ尾花かな/杉風
蜻蛉らも夕日まみれや殉教址/耕二
蜻蛉は翅を頼れる楽天家/高澤良一
萍や蜻蛉すでに翅鳴らし/黒木野雨
蜻蛉や逆落し来る潮の上/西山泊雲
琴歌や蜻蛉池を羽摶きつ/永井龍男
蜻蛉や留り損ねて羽の光/夏目漱石
蜻蛉や畑に据はれる籬影/西山泊雲
蜻蛉や杭を離るる事二寸/夏目漱石
蜻蛉の消え入る空の信濃かな/一透
蜻蛉の早や夕暮の翅遣ひ/高澤良一
俳句例:41句目~
蜻蛉や明治匂へる煉瓦館/河野南畦
蜻蛉の見る~ふえて入日かな/篠原
蜻蛉や散歩の教授細面/柴田白葉女
蜻蛉の行手波立つ最上川/斉藤夏風
蜻蛉や市が磧になる処/東洋城千句
蜻蛉や少女が憩ふ氷河跡/堀口星眠
秋晴の寄宿の窗に蜻蛉哉/内田百間
蜻蛉の空蜻蛉の空の上/後藤比奈夫
蜻蛉の人懐こさも奥会津/高澤良一
石の上蜻蛉は翳おろしたり/中田剛
白壁に蜻蛉過る日影かな/黒柳召波
静なる水や蜻蛉の尾に打も/炭太祇
蜻蛉のおのが影追ふ水鏡/星野立子
蜻蛉に磨きあげたる鏡空/高澤良一
蜻蛉に湛へて白し雲の海/林原耒井
蜻蛉の目配り岩の稜掴み/高澤良一
蜻蛉の目玉ほど空輝くよ/高澤良一
蜻蛉の生れ水辺を燿かす/岸風三樓
横丁に硯学隠れ墨とんぼ/加藤郁乎
蜻蛉に大阪の空の煙かな/島田青峰
俳句例:61句目~
蜻蛉の瀞を舟やる童あり/森川暁水
高原の蜻蛉は空を従へり/角川春樹
考へてをれば蜻蛉交むなり/辻桃子
蜻蛉と風の世界の乳母車/斉藤夏風
鎮西に蜻蛉一縷晴れ上る/古舘曹人
釣竿の長き短き飛ぶ蜻蛉/石井露月
とんぼ交む女二人の前後/吉野義子
釣橋の下は空なる蜻蛉哉/寺田寅彦
蜻蛉の流さるる方鶏頂山/高澤良一
筆箱の中の宇宙の鬼やんま/正岡豊
足弱の母見返れば群蜻蛉/福田蓼汀
蜻蛉や友禅干せる草の上/小原菁々子
あきつ湧き宙にとどまる地獄谷/欣一
蜻蛉や今の一葉に居り直り/西山泊雲
蜻蛉やはつたとにらむふじの山/一茶
お先にと単身赴任鬼やんま/丸山佳子
蜻蛉やいま起つ賤も夕日中/芝不器男
蜻蛉やいざりながらに鱗雲/鈴木花蓑
蜻蛉やあたりを払ふ棟と堂/石塚友二
蜻蛉も一差し舞へる能舞台/高澤良一
俳句例:81句目~
蜻蛉はや金閣映す水を打つ/大橋宵火
草の葉をちぎる灯心蜻蛉ごと/中田剛
とんぼうの影をはなさず旧き道/原裕
蜻蛉の高く飛びをり夕立晴/星野立子
蜻蛉の面白がりぬ草の揺れ/高澤良一
ひら~と黒蜻蛉ゆく竹の径/野村泊月
蜻蛉の通り抜けたる大広間/岡安仁義
木道に人に蜻蛉の寄り易し/高澤良一
やどり木に蜻蛉もかよへ捨梯子/辰下
蜻蛉の翅音のひゞく菊日和/片山桃史
とんぼうは枕詞をもたらしぬ/佃悦夫
若犬が蜻蛉返りの花野かな/小林一茶
芦の葉の蜻蛉風無し蟹の泡/子規句集
蜻蛉の空澄みわたる上へ~/高濱年尾
一つ二つ蜻蛉とべり彼岸過/山口青邨
蜻蛉の空のいよ~深かりし/高浜年尾
蜻蛉の空となりゆく古墳群/稲田眸子
とんぼうや白雲の飛ぶ空までも/几董
蜻蛉の眼を持つ郷の男の子/高澤良一
亡びのこる池の面蜻蛉交むなり/林翔