「迎火」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「迎火」について
【表記】迎火
【読み方】むかえび
【ローマ字読み】mukaebi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・門火(かどび:kadobi)
・魂迎え(たまむかえ:tamamukae)
・精霊迎え(しょうりょうむかえ:shoryomukae)
・苧殻火(おがらび:ogarabi)
・苧殻焚く(おがらたく:ogarataku)
・樺火(かばび:kababi)
・魂待つ(たままつ:tamamatsu)
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季節による分類
・「む」で始まる秋の季語
・「秋の行事」を表す季語
・「初秋」に分類される季語
月ごとの分類
迎火を含む俳句例
迎火や墓は故郷家は旅/正岡子規
撫子に迎火映る小庭哉/正岡子規
迎火の草に移りし匂ひかな/神蔵器
迎火や貝殻山の裾泛べ/石田あき子
迎火や勝手知りたる仏達/高橋秋郊
迎火を焚く山々の影の中/渡辺立男
迎火や北にすぐれし京の峰/今井勲
迎火と送火の間夫婦たり/植村通草
英霊の迎火焚くや石の上/萩原麦草
迎火は母送火は父のため/高橋睦郎
迎火や海よりのぼる村の道/中拓夫
迎え火に門限はない弟よ/平山道子
迎火や風に折戸のひとり明く/蓼太
迎火に檜山仄めく峡十戸/藤谷紫映
迎火や心いそぎの夕間暮/正岡子規
村々や雨乞の火と迎火と/鈴木花蓑
いちはやく迎火焚きし隣哉/正岡子規
ぬかるみに迎火うつる庵哉/寺田寅彦
迎火や思ひがけなき山の上/寺田寅彦
迎火や六親風のはるかより/西島麦南
俳句例:21句目~
迎火や木木に幹あり草に茎/三橋敏雄
迎火の藁を貰ひに川を越す/矢島渚男
舟繋ぐ浜に迎火焚きにけり/岡本敬子
妻がせし如く迎火妻に焚く/岡田南邑
迎火やたそがれ潮の脈めざめ/中拓夫
迎火や草の狭路に浜びさし/木津柳芽
迎火やたかしも虚子も古仏/鈴木貞二
橋近く住み迎火を橋に焚く/田村了咲
迎火や足弱の母しんがりに/斎藤道子
迎火を焚きて動かぬ男の背/池田博子
迎火を焚くや雨歇む樹の雫/大谷句佛
迎火を焚く三代の親子して/小林牧羊
迎火を焚く長兄を見おろせり/中拓夫
迎え火の跡に風吹く朝の月/寺井谷子
迎火を焚く青萩に風絶えず/内藤吐天
迎火焚く横を挨拶して通る/高澤良一
鍬かるく迎火の土平しけり/飯島晴子
迎火は草のはづれのはづれかな/一茶
迎火の灰わが死後も露涼し/松村蒼石
迎火に溝が明るく流れゆく/菖蒲あや
俳句例:41句目~
迎火の炎の淡し小雨きて/鷲谷七菜子
迎火や孫をあつめて老農夫/杉山岳陽
迎火のとろりと浮ぶ下山口/飯田龍太
迎火や夜はやさしき隣人/加賀美子麓
迎火や川しもに婆あつまつて/中拓夫
迎火の代の檜の木を置く戸口/木村蕪城
迎火やほのに霧らへる竹の奧/臼田亞浪
迎火の消えて人來るけはひ哉/正岡子規
迎火やいでて焚きそふ老坑夫/岡崎真也
自繭の家迎火のあとのこす/大岳水一路
大き旅経し身跼めぬ迎火に/稲垣きくの
袖屏風して迎火を焚きにけり/町田裕康
迎火の消ゆるに佛いそぐなり/松村蒼石
迎え火は淋し送り火なほ淋し/工藤芳久
迎火やあちらこちらの山の上/寺田寅彦
迎え火や苧殻は粗き音立てて/高澤良一
迎火や母つゝみ去る風少し/小西敬次郎
迎火に跼む一家の顔浮ける/鈴鹿野風呂
迎火や父に似た子の頬の明り/正岡子規
迎火や父やはらかく膝を折る/あざ蓉子
俳句例:61句目~
迎火を焚き晩酌のながき父/大西八洲雄
迎火や知らぬ他郷の人ばかり/杉山岳陽
迎火や埴輪のごとき日本の母/宮坂静生
迎火に田水動きてゐたるかな/茨木和生
迎火の燃えうつりたる芒かな/臼田亞浪
迎火や足昏れて過ぐ一農婦/馬場移公子
迎火や野にある道がみな山ヘ/飯田龍太
迎火に合歓さん~と咲き翳し/川端茅舎
迎火をもやひにたくや三軒家/正岡子規
迎火を女ばかりに焚きにけり/高野素十
迎火を姑は小さく折りて焚く/山田弘子
迎火を焚いて誰待つ絽の羽織/夏目漱石
迎火の雨となりけり母の闇/成澤たけし
迎火を焚くに楸をかぶりけり/萩原麦草
迎火や媼は笑ふやうに食べ/佐々木六戈
迎火の猛々しきが袖にかな/佐々木六戈
迎火の火のいくたびも勢ひけり/原田喬
迎火のけむり腕にまつはれり/茨木和生
迎火に雨の炎をつぎにけり/佐々木六戈
迎火を焚けば生者の寄りきたる/大串章
俳句例:81句目~
迎火の藁灰のこる茂吉の墓/工藤みのる
逆縁の迎火焚いて老ひとり/上林白草居
迎火はすべて裸火小さくとも/谷野予志
迎火の見ゆるもありて舟住ひ/田中貴美子
迎火の跡ひとつ過ぎひとつ過ぎ/石田勝彦
迎火のひととき明く顔照らす/深見けん二
迎火やほそき苧殻を折るひゞき/渡邊水巴
迎火の門をたましひほどに開け/坊城俊樹
いざたまへ迎火焚てまゐらせん/正岡子規
一束の地の迎火に照らさるる/橋本多佳子
別れたる人の迎火焚きにけり/松本ヤチヨ
夕餉はてゝ迎火を焚くいそぎ哉/正岡子規
戻り路の木曾の迎火見えわたり/木村蕪城
迎え火に門土焦げぬうすうすと/芝不器男
迎火や生きてをる顔照らさるる/中村金鈴
迎え火を一昨日焚きてけふは雨/高澤良一
迎火を焚くやふるさと待たぬ妻/金子森童
迎火に傘さし逝きし妻を待つ/有働木母寺
迎火に老婦かがみて消ゆるまで/大井雅人
迎火に魂をみちびく蛾が舞へる/木田素子