「苧殻」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「苧殻」について
【表記】苧殻
【読み方】おがら
【ローマ字読み】ogara
子季語・関連季語・傍題・類語など
・麻殻(あさがら:asagara)
・あさぎ(あさぎ:asagi)
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季節による分類
・「お」で始まる秋の季語
・「秋の行事」を表す季語
・「初秋」に分類される季語
月ごとの分類
苧殻を含む俳句例
苧殻束半分残し霊迎え/高澤良一
我箸も苧殻に数へ紛れけり/乙二
自転車に苧殻音たつ盆支度/林翔
苧殻箸剪る花鋏新しく/大場美夜子
母迎ふ苧殻の梯子低うして/向井久子
苧殻火や死後多辨なる父迎へ/神蔵器
炎明りに雨粒見ゆる苧殻焚/高澤良一
一対の太さ揃はぬ苧殻箸/清水佳津子
苧殻火を映せる父の床柱/沼尻巳津子
苧殻買ふ象牙の色の五六本/木田千女
苧殻箸立てて三河の山や川/古舘曹人
苧殻箸子に供ふるは短うす/伊藤糸織
老母の苧殻の炎ぽと消えぬ/永方裕子
苧殻焚く新聞紙は吾が持ち/高澤良一
押黙り苧殻の焔見つめをり/高澤良一
苧殻たく傘に音する小雨かな/中勘助
人形町夕べの苧殻買ひにけり/森本芳枝
約束の橋のたもとに苧殻焚く/中嶋秀子
苧殻焚く姉弟言葉なきまゝに/菖蒲あや
苧殻折る音を遠祖聞きをらむ/高澤良一
俳句例:21句目~
風の来る方を開けおき苧殻焚/高澤良一
四五本の苧殻軽々手渡され/深見けん二
紙ひねり妻は苧殻火起こす役/高澤良一
送火に残す苧殻の一と握り/久保ともを
迎え火や苧殻は粗き音立てて/高澤良一
草市の苧殻ばかりとなりて果つ/森田峠
苧殻焚く頃ぞとひねる新聞紙/高澤良一
往き交へる人も苧殻のひと包/高澤良一
苧殻買ひ自分のことも少し話す/岡本眸
苧殻火の山瀬焦して了りけり/加藤岳雄
亡き母の杖の長さの苧殻買ふ/樋口嘉江
束ね売る苧殻の丈を不揃ひに/納漠の夢
若死の父のあはれや苧殻折る/橋本鶏二
いくらかはおのれ涼しみ苧殻焚く/森澄雄
おほわだの父呼ぶ苧殻焚きにけり/板東紅
頼りなき苧殻の箸をそろへけり/佐藤信子
麻殻をひたすらに折る仕度あり/綾部仁喜
はらからは屈んですなり苧殻焚/高澤良一
一人子に見する苧殻を焚きにけり/轡田進
世に軽きものの極みの苧殻買ふ/手島靖一
俳句例:41句目~
人散りて売れ残りたる苧殻かな/高濱虚子
子の疣を抓む苧殻を買ひにけり/茨木和生
一円玉かさかさ嵩み苧殻買ふ/平井さち子
後後のことを苧殻を焚きながら/高澤良一
昨年はちょっと降られし苧殻焚/高澤良一
暮らしむき見せぬ男や苧殻焚く/石川桂郎
母とある日の何時までか苧殻焚/高澤良一
焚く苧殻少しの風にまろび行く/島村静枝
自転車の風に苧殻のとびたがり/吉年虹二
苧殻売る河童来さうな沼の店/町田しげき
麻殻鳴る檐端の燕疾く見えず/大須賀乙字
苧殻折る悲しき音よ幾つも折る/山岡優介
苧殻折る手力われに残りをり/文挾夫佐恵
苧殻火に先づ父来しか風立ちぬ/菖蒲あや
苧殻火の白きほむらに膝染めて/高澤良一
苧殻火の間の絶妙に燃えにけり/鈴木栄子
苧殻焚きなど大切にしませうや/高澤良一
苧殻焚き了へたる指の煙くさき/高澤良一
苧殻焚く炎を明るませ路地の風/高澤良一
苧殻焚く苧殻の箸も火となりぬ/安川掴雲
俳句例:61句目~
草市の苧殻の丈けを選りもする/原田種茅
買ひおける苧殻の束やその出番/高澤良一
迎火やほそき苧殻を折るひゞき/渡邊水巴
かき立つる焔ひととき苧殻焚く/深見けん二
かりそめの母と呼ばれつ苧殻焚く/青木蔦女
苧殻折るひびきに迎へごころかな/高澤良一
燃えのこる苧殻にも炎を廻らしむ/高澤良一
苧殻火や火を焚くはこの一事のみ/大井雅人
買ひ足して苧殻に重さなかりけり/角川照子
苧殻火の燠しばらくはもたれ合ふ/谷田部栄
苧殻焚いてもとの暗さに草匂ふ/常盤けい樹
苧殻折るひびきを苧殻を折る前に/高澤良一
苧殻火に漁師の胸の照らさるる/青山多佳子
雨だれのとびくる苧殻焚きにけり/岸風三楼
苧殻焚く己れに背く火を見たり/河野多希女
苧殻たくあとすぐさらひ走り波/鈴鹿野風呂
きりぎりす苧殻のごとく息絶えぬ/中野弘一
老の手にほきほき折るる苧殻の火/後藤夜半
苧殻火のけむりの糸を噴きにけり/荒井正隆
手の内にほきほきと折る苧殻かな/南上北人
俳句例:81句目~
苧殻箸こんにやくを取り落したる/関戸靖子
名を呼びて犬のためにも苧殻焚く/品川鈴子
荷仕舞にかかりし苧殻買ひにけり/松井春篁
ひとたばの苧殻のかろさ焚きにけり/轡田進
苧殻火のまだ焚きたらぬ海の闇/松村ひさき
燃えさしの無きやう苧殻焚き了えぬ/高澤良一
苧殻火吹く風のうごきを見てゐたり/高澤良一
苧殻火に降り出す雨のすまなささう/高澤良一
仕舞ひまできれいに苧殻燃えにけり/高澤良一
薄き火とおもふ苧殻を焚きにけり/石川サト子
生きのびし思ひの苧殻焚きにけり/能村登四郎
一家して苧殻焚く火をかばひ合ふ/鈴鹿野風呂
召されませ軽ろき苧殻の箸とりて/佐田かずえ
苧殻火また消え入りさうになりにけり/高澤良一
澄める炎に苧殻の燃えさしくべ足して/高澤良一
折り足して折り足して子へ苧殻焚く/七田千代子
苧殻焚く父母在りし日は父母が焚きし/直井烏生
とある路地苧殻たく火のほのぼのと/長谷川素逝
こまごまと折りねんごろに苧殻焚く/深見けん二
銀河明りほのぼのと麻殻踏み出づる/金尾梅の門