「虫籠」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「虫籠」について
【表記】虫籠
【読み方】むしかご
【ローマ字読み】mushikago
子季語・関連季語・傍題・類語など
・むしご(むしご:mushigo)
・むしこ(むしこ:mushiko)
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季節による分類
・「む」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
虫籠を含む俳句例
虫籠の軽さ夕空の軽さ/百瀬美津
虫籠に朱の二筋や昼の窓/原石鼎
虫籠に罪深き紐残りけり/大串章
虫籠の中味の話訥々と/高澤良一
忘れ物に虫籠もあり盆の寺/林佑子
虫籠をかかえて書店素通りす/間石
虫籠の美しからぬ昼間かな/上野泰
葉隠れに虫籠見えけり庭の萩/几董
虫籠に蜥蜴を入れて兄貴分/高澤良一
虫籠の去年の草の音なりし/浜口高子
虫籠を覗けば蛙入れてゐし/茨木和生
虫籠を覗けば何と瑠璃蜥蜴/高澤良一
虫籠の闇を見てをり生家見ゆ/今井聖
虫籠に酒吹きたかり誕生日/石川桂郎
虫籠の総角さめぬ致仕の君/黒柳召波
虫籠の桟に掴まり弱りをる/高澤良一
虫籠にすきとほりをる緑かな/上野泰
虫籠の邯鄲淡し月させば/水原秋櫻子
虫籠の螢の街に子と遊ぶ/金箱戈止夫
虫籠の虫放つ日や母癒えて/西谷義雄
俳句例:21句目~
虫籠の下に姙りゐたりけり/斎藤蕗葉
虫籠に虫ゐる軽さゐぬ軽さ/西村和子
鈴虫の死んで虫籠焚く日なり/中山純子
雅楽やみ虫籠の灯に書を献ず/宮武寒々
深川の露路に虫籠釣りて棲む/吉屋信子
百円ショップ香奠袋も虫籠も/高澤良一
簾して虫籠めく家外を見をり/高澤良一
虫のゐぬ虫籠つるし精神科/本庄登志彦
虫籠に生きのこるみな金亀子/福永耕二
虫籠に虫籠突きだし比べっこ/高澤良一
虫籠に蝉の御報謝ありにけり/高澤良一
虫籠の洗はれてゐる井水かな/石田勝彦
虫籠の虫鳴き出でし真昼かな/神戸鼕々
虫籠を揺らして中の蝶発たす/高澤良一
虫籠吊る野より淋しき十階に/有馬籌子
金銀の虫籠の外の虫時雨/小松原みや子
よべとりし虫籠の虫なきにけり/野本城山
虫籠になすび夜食になすびかな/岸本尚毅
灯に馴れて虫籠の虫鳴き出せり/伊藤文子
虫籠や財過去のもの愛とても/鈴木真砂女
俳句例:41句目~
捕れたかと云へば虫籠掲げ見す/高澤良一
虫籠をこわす小石を振り上げて/対馬康子
虫籠を吊せる軒に日の廻る/阿部みどり女
虫籠を持ちスカートに捉まつて/行方克巳
虫籠を月さす方へ吊りかへて/古賀まり子
子等海へまぶしき光虫籠に/阿部みどり女
声絶えし虫籠に闇あつまれり/ほんだゆき
虫籠を買うて裾野にむかひけり/上島鬼貫
虫籠に顔貼り付いてゐし息子/稲畑廣太郎
虫籠に軒星ぞらを垂らしけり/徳永山冬子
虫籠に午前と午後のありにけり/あざ蓉子
高々と虫籠吊つて聴きにけり/高橋淡路女
鳴き交ふや買ふて来た虫籠の虫/尾崎紅葉
くれなゐの虫籠抱いて高麗の子よ/並木葉流
虫籠に入れたるものの萎えやすく/藺草慶子
虫籠をさげし虚空のかたむける/成瀬正とし
虫籠の木かげに小さく明けてゐる/太田鴻村
虫籠を残暑の枝に吊りはなす/長谷川かな女
虫籠のうつくしければあはれかな/堀端蔦花
虫籠につられ笑ひやぢき失せぬ/阿部みどり女
俳句例:61句目~
虫籠提げ蝉など捕ってちょうだいと/高澤良一