「鹿垣」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鹿垣」について
【表記】鹿垣
【読み方】ししがき
【ローマ字読み】shishigaki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・鹿小屋(ししごや:shishigoya)
・犬垣(いぬがき:inugaki)
・ししぐね(ししぐね:shishigune)
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季節による分類
・「し」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
鹿垣を含む俳句例
鹿垣の門鎖し居る男かな/原石鼎
猪番に金星強き鈴鹿山/宮田正和
猪垣の上植林の大斜面/茨木和生
蒼朮の花や猪垣崩れをり/飴山實
猪垣を組むに荒縄荒丸太/岬雪夫
猪垣の門鎖しゐる男かな/原石鼎
猪垣の母なる山に傾きぬ/斉藤夏風
猪垣の内石垣の上に住む/藤田雅子
焼帛の煙夜明に動き出す/茨木和生
猪垣に余寒はげしや旅の空/炭太祇
猪垣をことに手厚く水の秋/飴山實
猪垣や伊勢神領の尽く処/秋谷鉄朗
猪垣の一ケ所に向け投光器/林周作
丹波には猪垣長き砦なす/塩川雄三
学校の裏猪垣の続きたる/茨木和生
猪垣のむすびめきれて秋の風/暁台
猪垣の袖重ねたり出入口/舘野翔鶴
猪垣をせり一枚の沼田にも/茨木和生
百選の棚田鹿垣連ねけり/竹綱弓紀子
猪垣を組む老若の影重ね/渡邊千枝子
俳句例:21句目~
凍豆腐月の猪垣遠巻きに/大竹きみ江
猪垣を結びしといふ山便り/松田義朗
鹿垣といふは徹底して続く/後藤立夫
石の島石積み上げて猪垣に/塚田正子
夕虹に焼帛立つる野中かな/高田蝶衣
猪垣にぬけ道のあり犬通る/飯島正人
鹿垣に番かけ込きゞすかな/加舎白雄
猪垣に三輪山の猪封じたり/右城暮石
猪垣のとつぷり暮れし土瓶蒸/森澄雄
鹿垣のはしる縦横無尽かな/舘野翔鶴
鹿垣のかゝる人里近くまで/阿部夕礁
猪垣の低さに少し不安あり/吉川遊壺
猪垣の日を返しゐる谷の底/茂里正治
猪垣の杭束ね置く村の口/島田刀根夫
猪垣の端見えてゐる霞かな/綾部仁喜
猪垣の途切れてそこに登窯/山田弘子
鹿垣や念仏講は夜のこと/大峯あきら
鹿垣や里にのこりし合戦記/古館曹人
鹿垣や青々濡るる蔦かづら/飯田蛇笏
猪垣の長篠道の田水かな/八木林之介
俳句例:41句目~
猪垣は粗にして低く長きもの/米谷孝
猪垣をせし田に山に海鴨れり/茨木和生
猪垣へ消えゆく径や釣舟草/八木林之介
身構へる形に鹿垣組み終る/島田一耕史
茶が咲いて猪垣へゆく背負籠/綾部仁喜
繕ひて猪垣の知恵生きてゐし/山田庄蜂
鹿垣に小鳥群れゐる日和かな/古川芋蔓
鹿垣に抜け道ありぬ神の島/冨田みのる
焼帛に焼酎吹いてゆきにけり/茨木和生
猪垣の高く榛名湖近づける/稲畑廣太郎
猪垣の事々しくて村しづか/大峯あきら
猪垣の月光年を越えむとす/千代田葛彦
鹿垣の檜原がかりは常陰かも/下村槐太
鹿垣の片方で足り地の利の田/上坂召子
鹿垣も夢前川をさかのぼる/加藤三七子
猪垣の更に高きへ組まれあり/藺草慶子
猪垣の守る四五枚の峡田かな/宮下翠舟
蚕笊もて猪垣結へり衣文村/松本たかし
ふる里の猪垣の辺で一と休み/細見綾子
一族の墓に猪垣して住めり/出羽智香子
俳句例:61句目~
猪垣が見えて吾家もその中に/渡辺公代
猪垣が見え四五戸見え奥近江/久米幸叢
猪垣といふものありて人はばむ/関成美
猪垣や星といふ星出てしまふ/脇本星浪
猪垣に日のありながら鳥帰る/山尾玉藻
栗むいて食べたる跡や猪の垣/細見綾子
過疎の里猪垣続く人家まで/国方佳根子
猪垣のひとところ切れ人通す/岡田日郎
焼帛のけぶりのすゑに野菊哉/高井几董
焼帛や風のまにまに露しろき/松瀬青々
猪垣にあはれ猪突の跡もなし/平畑静塔
鹿垣や奈良もはしなる雑司町/吉住白鳳子
猪垣のまばらの跡に来りけり/八木林之介
猪垣をまたいで山に入りにけり/石田郷子
猪垣の根まで均らして大根蒔く/宮田正和
鹿垣に鹿鳴く顔を見たりけり/岡本癖三酔
路は又鹿垣沿ひとなりにけり/竹内南蛮寺
鹿垣のずり破れたる山路かな/阿波野青畝
鹿垣を結ひたるあとの山の冷え/角川春樹
焼帛の融けたるものの黒しづく/茨木和生
俳句例:81句目~
猪垣の一枚は朱のトタンかな/九鬼あきゑ
猪垣の用なさぬほど荒れてをり/五十嵐櫻
猪垣のひとつ見しより次々現る/茂里正治
猪垣のほころびゐたる雨水かな/大石悦子
谿更けて猪番の灯をとがらしぬ/佐野鬼人
猪垣をして菊花展してをりぬ/上野さち子
鹿垣に又沿ふ道となりにけり/山内/年日子
猪垣のさほど頑丈には見えず/長谷川十四三
鹿垣を見つつもぞ行く有馬かな/阿波野青畝
猪垣の霧のあたりに浮かびけり/八木林之介
焼帛の火の炎とならずかたまれり/茨木和生
しののめの色に鹿垣のびにけり/加藤三七子
猪垣も結はぬ過疎地となりはてし/稲畑汀子
猪垣に神酒なみなみと注ぎけり/白岩てい子
猪垣にはやき灯をいれ山まつり/小山/寒子
鹿垣の天駈くるごとのびにけり/加藤三七子
猪垣のこころもとなく組まれあり/小坂蛍泉
道は鹿垣の上を行く真盛りの梅に/河東碧梧桐
猪垣に草生ふからすびしやく生ふ/八木林之介
鹿垣のみち阿夫利嶺に入りにけり/鈴木しげを